表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お金のために配信者になります〜えっ、人気がないとお金はもらえないんですか?〜  作者: 霞風太
三章 警察への同行とコラボ配信

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/294

二十九話

「……………」


 教室へと歩いている途中、クライシスは不満を表情に出している。

 その理由は歩いている途中に昨日の動画でのことを聞いてくる生徒がいたからだ。

 全員が心配そうな表情を浮かべているから無下にすることもできない。


「くそっ。学生寮以外にも生徒がいることを忘れてたっ」


 吐き捨てるようにつぶやくクライシス。

 そのことを覚えていれば、ここまで苛立ちを覚えることもなかった。

 やっぱり何度も同じことを聞かれるのは面倒臭い。


「どうしたんですか?」


「シクレ先輩」


 苛立っているところにシクレが苦笑しながら来る。

 何の用かと視線を向ける。


「もしかして色んな人に昨日のこと聞かれました?」


「そうですけど。……もしかして聞こえてませんでしたか?」


「私は聞こえましたけど意識していないと聞こえなかったと思います。パトカーに乗って気になっていましたし」


「……なるほど」


 逆に言えば意識しなければ聞こえなかった。

 それだけ声が小さかったか、場所の問題もあるのだろうと考える。

 今度からは無駄だから止めようと決意した。


「………ところで次の配信は一緒にしませんか?」


「お願いします。何をしますか?」


「そうですね。本の紹介でもしませんか?」


「……良いですね。本は何でも良いですか?」


「漫画でも何でも構いませんよ」


 なら好きな本を色々と紹介しようと考えるクライシス。

 色々とあるから何にするか悩む。


「それじゃあ放課後、部室で」


「わかりました」


 放課後に予定を話し合うんだろうなと考えてクライシスは頷いた。



「はぁ………」


 教室についても何人にも聞かれてため息を吐く。

 これ以上聞かれるのも嫌だからと黒板に警察で厳重注意と勉強で終わったと書き、それを聞いてくる人たちに見せる。

 聞いてくる人たちは黒板を指差し、教室に入って黒板に気づいた者たちは納得してクライシス本人に尋ねては来ない。


「クライシス」


「なに?」


「今日は暇か?」


 警察のことなら無視しようと思ったが、鍛錬の話なら話に乗る。

 今日も暇なら訓練してほしいのかもしれないが先約があるので否定させてもう。


「訓練の話なら無理。今日は先輩と配信の話があるし」


「………そうか。ところで配信って戦闘のばかりなのか?」


「いや。雑談や他のこともするぞ」


 次の配信は好きな本の紹介だしな、と思いながら口にすると何故か周囲から視線を向けられる。

 驚いているそれらに、そんなに戦闘関係ばかりかと思い出そうとする。


「なら次の空いている日はわかるか?」


「………さぁ。でも一週間に一度で良いと行ってなかったか?暇な時間があっても俺は自分を優先するぞ」


「なら来週の空いている日は?」


「週明けじゃダメ?」


 そんなに鍛えてもらいたいのかと視線を向けるクライシス。

 よく周りを見ると他の者達も目の前の男に同意するように頷いている。


「そんなに強くなりたいのか?」


「当たり前だろ」


 皆が深く頷いている姿にクライシスも思わず笑みを作ってしまう。

 そんな姿を見ていると自分も負けられないと、もっと強くなりたいと思うのも当然のことだ。


「………やっぱり無理だ。そんな必死に強くなろうとしたら俺も我慢できない。もっともっと強くなりたいと鍛えたくなる」


「その気持がわかるなら俺たちも「そっちに集中できなくなるだろう?まだ精神を鍛えていたほうが良いように思えるしなぁ?それとも俺と戦って経験を積むか?一瞬で終わったら経験を積めるはずないだろう?」………わかった」


 気持ちがわかるのならと続けようとしたらクライシスは息をつく間もなく言い返す。

 一瞬で終わるほどの実力差があると言われて悔しいが配信で暴れている姿を見ると否定できない。


「精神訓練はいつまでやるんだ?「いつもやれ」」


「……はい」


 精神訓練のことを聞くと即答されてしまう。

 クライシスから見たらかなりレベルが低く見えるのだろうと考えたら少し悔しく感じる。


「一応言っておくが俺も毎日精神訓練だけはしているからな?最低限レベルになるまでは実際に組手をする気はない」


「まじで!?」


 クライシスも毎日やっているのなら文句も言えなくなる。

 そして、そこまで重要視するのなら寮の部屋に戻ってもするべきだと決意する。


「あとどれだけ長い間続けても成長した気にはならないからな。第三者が指摘しても実感がわかないし。むしろ実感を沸くことが出来たら運が良いぐらいだ。まぁ、これは何にでも言えるか」


「………あぁ」


 第三者に指摘されても実感がわかないのは何となく分かる。

 そしてわかるのは数ヶ月前などの成績を見てからだ。

 見に覚えがありすぎて深く納得する。


「ほんと昨日と比べて一秒早くなって、翌日は二秒遅くなった、そしてまた次の日は二秒早くなるを繰り返すからな……。一日ごとじゃなく週ごとの平均や一ヶ月の平均を調べると成長具合がわかるし。それでも変わらなかったら数ヶ月単位で計ったら実力がついてきていることがわかるんだよなぁ」


 ため息を吐きながら言うクライシスにすごい実感がこもっていると感じる。

 もしかしたら実際に計ったことがあるのかもしれない。

 それだけの説得力を感じ自分もまた毎日何かを計り週ごと、次ごとの平均をメモしようと決める。

 そのぐらいでないと成長を自覚するのは難しいのかもしれない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ