二百二十四話
「うわっ。スカスカする」
「さっむ」
「女子こんなの毎日履いてんの?風引かない?」
「スースーするんだけど!?」
男子たちは放課後、それぞれ着替えて廊下を歩いている。
実際にスカートを履いて違和感を感じたり、普段女子がこれを履いていることに疑問を抱いたりしていた。
「キッモ」
「モジモジすんなよ」
「クライシスくんは普通に見れたのに」
「なー。クライシスくんとぜんぜん違う」
「同じ男なのになんで?」
「そう?何人かは普通じゃない?」
「そう?」
廊下を歩いている最中にいろんな声が聞こえてくる。
そのせいで更に縮こまったり恥ずかしそうにするし、逆にだから何だと堂々としている者たちもいる。
そして堂々としている者たちは笑われておらず普通に見られている。
「うわぁ」
「クライシスくんは普通に見えたのに何人かキモい」
「ひどい!!」
「あっ、君は普通に笑えるけど何人か本当にひどいんだけど。なんで?」
クラスの女子達にキモいと言われ思わず文句を言うが女子たちは本当に疑問に思いながらキモいと言ってしまう。
何人かは普通に見えるし笑えるがほかは酷い。
「恥ずかしがって身体を縮こまったりするからじゃないか?仕事だからと割り切って堂々とすればよいだろ?何度も堂々としろって言っているんだし。胸を張るだけでマシになるだろ」
たまらずクライシスもアドバイスをする。
これで女装するのがキモすぎて自分一人になるとなったら嫌だった。
「こうか?」
「あっ、マシになった」
「まじで?」
「まじまじ。やっぱ堂々としているかどうかだね。ほから他の男子も胸を張りなって」
その言葉に恥ずかしながらも他の男子たちも胸を張る。
それだけで最初よりもだいぶマシになった。
「よし。それじゃあ男子たち、そこに並んで。服のサイズのチェックするから」
その言葉に男子たちは並び始まる。
全員、キモく見られないように胸を張ってだ。
「うーん、もしかして少しキツくない?大丈夫?」
実際に着ての感想を聞いたり確認してメモを取っていく女子生徒たち。
一人ひとりが終わるごとに席に戻ったりクライシスへと近づいてくる生徒もいた。
「クライシスくん……」
「なに?」
「スカートって思ったより転びそうになるな……」
「「「わかる」」」
長スカートを履いての行動に他の男子生徒たちは頷く。
クライシスもその言葉には何度も深く頷いていた。
「なにか気をつけていることはあるか?」
「俺はとにかくゆっくり小股で歩くようにしているから真似すれば?」
「なるほど小股でか……」
最近クライシスが転ばなくなった方法を聞いて納得する。
それなら自分も真似できそうだ。
「しばらくは俺もスカートで登校するか……。転びたくないし」
「マジで!?」
「じゃあ俺もそうしようかな……」
一人が転ばないように今のうちからクライシスと同じようにスカートで登校すると宣言すると他の男子たちも俺もすると同意していた。
「これで完了ー!」
全員のチェックを終わり雄叫びを上げる女子生徒。
ほとんど一人でやっていたからクラスの皆が拍手を送る。
「文化祭までの準備は終わりかな。あとはやると言っても当日までの料理の練習と当日に教室の模様替えぐらいだし」
「そうだな……」
あとは当日ぐらいにしかやることはない。
とはいえ料理の練習はしないといけないが。
「そーいやクライシスくんはオススメのメニューとかある?それを貼り付けるとかどう?」
「………良いけど」
「よしっ。それじゃあどうする?」
クライシスはその言葉に頷いて紙を取り出して書いていく。
適当に書けばよいだろうという考えだ。
クラスメイトたちもクライシスの考えを察したが何も言うつもりはない。
誰にも言わなかったらバレないだろうと考えてもいた。
「あっ、やっぱり焼きそばは入れるんだ」
「コーラもある」
クライシスが書いた内容は焼きそばにコーラとポピュラーな内容。
その内容に配信でも麺類が好きだと言っていたしおかしくはないかと納得する。
「当日は焼きそばを大量に準備しないとな……」
「わかる……」
クラスメイトたちは当日は一番売れるのは焼きそばだとコーラだと判断して大量に準備することを決める。
クライシスはたしかに売れるかもしれないが少し多めぐらいで良いだろうなと考えていた。
「クライシスくんは配信でも文化祭の宣伝するんだよな?」
「するけど……。まぁ、いいか」
「じゃあ頼む!」
クライシスの配信でも宣伝してくれと頼むクラスメイトたち。
クライシス自身もそれぐらいなら良いかと頷く。
「とりあえず今日にでも配信するか……」
「頼んだ!」




