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お金のために配信者になります〜えっ、人気がないとお金はもらえないんですか?〜  作者: 霞風太
三十四章 文化祭の準備

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二百十三話

「それじゃあ、まずはクッキーから作るぞー!!」


「「「「「おぉー!!」」」」」


 週末、早速とばかりにクライシスたちは料理教室を開くことになった。

 ホットドックやピザ等は省略したり、また後日にして今日はクッキーや一口サイズのケーキを作る予定だ。


「まずはクッキーだけどクライシスくんは作り方を知っている?」


「知ってる。前に配信したことがあるし」


「そういえば…。ならクライシスくんも教える側としてお願い!」


「まぁ、良いけど」


 作れるのならとクライシスも教える側に回る。

 そして教える相手は男子たちだった。


「クライシスくんって料理できるの?」


「配信だといつも押しせてもらう側じゃなかったっけ?」


「だから教えることも出来るんだよ。配信を見て知っているなら、それなり上達していることも知っているだろ」


「……たしかに!」


 クライシスの言葉に納得するクラスメイト。

 配信で少しずつ上達しているのを見ている。

 それを考えればマトモに料理を作れない自分たちよりマシだろう。


「いや。もしかしたらクライシスくんが初めて料理を教えた相手になれるのでは?」


「否定はしない」


「っ!!」


 肯定されて思わずガッツポーズを作るクラスメイトたち。

 その言葉が聞こえたのか回りから羨ましそうな視線がいくつか飛んでくる。


「じゃあまずはクッキーを作るから言われたように準備して。最初は嫌でも俺の指示通りに動いてもらうから」


「はい」


「最初は?」


「慣れたら多少は作り方を変えても良いだろうし。基本的なことができれば作れるだろ」


「そんな簡単なんだ」


 クライシスの言葉に頷く男子たち。

 余計なアドリブを入れて失敗するのも嫌だし素直に従って作っていった。



「完成!」


 クッキーが完成するとクライシスが教えた相手だけでなく教わりながら作った全員が歓声を上げる。

 そしてクッキーの美味しそうな匂いが充満し誰からともなく腹の音がなる。


「そろそろ昼だしクッキーでも食べようか」


 その言葉にクラスメイトたちは互いに顔を見合わせ頷く。

 お腹が減ったのも事実だし早速食べることにした。


「なぁ、クライシスくん」


「どうした?」


「お前の作ったクッキー形が綺麗じゃね?」


「味はそんなに変わらないだろ」


「ほんとにか?」


 クライシスは料理を教えながら自分でも作っていた。

 それは他の教えていた者たちも同じだが予想以上にクライシスの作ったクッキーは上手に作れていた。


「うまっ」


「まぁ、料理の練習を実際にしているし当然か……」


 なんならその様子も配信で見ている。

 それを考えると美味いのも納得だ。

 ただ予想以上に美味かっただけで。


「俺も食ってよいか?」


「別に良いぞ」


 予想以上に美味しいという様子に他の者たちもクライシスのクッキーを食べたいと声を掛けてくる。

 クライシスも自分の分は減るが、そのぐらいなら構わないと頷く。

 どうしてもお腹が空いたのなら適当に買って食べればよいと考えていたからだ。


「クッキーを食べて少し休憩したら次はケーキかな。皆は作る気力ある?」


「別の日にしない?流石に疲れた……」


「ごめん。ちょっとキツイ」


「本当に何日もかけて悪いけど別の日にしてほしい」


 慣れない作業のせいか、これ以上はキツイというクラスメイトたち。

 一人二人ならともかく、殆どがキツイと言っているから今日は諦めて別の日にすることに決まる。


「じゃあクッキーが食い終わったら解散で良いか?」


「良いけど?何か用があるのか?」


「適当に買い食いする」


「なるほど。俺もついて行って良いか?美味しいけど全然足りない」


「わかる。……というかクライシスって食べてた?」


 クライシスが一足先に解散しようとするのを理由を聞いて納得する男子たち。

 正直、自分たちもクッキーだけじゃ足りない。

 何か更に食べないとキツイ。


 その様子に女子たちは少し驚いている。

 自分たちだと、このぐらいでも結構食べてる感じなのに男子には足りないというのは性差を感じてしまう。


「………というかクライシスくんって何か食べてた?俺の記憶だと分け与えていただけで何も食べてない気が……」


「「「「「「…………」」」」」」


 その言葉に全員が記憶を思い返す。

 たしかに分け与えていただけで何も食べていない。


「クライシスくん!?」


「どうした?俺はもう食べに行きたいんだけど」


「いや。何も食ってないなら分けてあげるから何か食べよう?」


「?ここまで来たらもう空腹がスパイスだから良いかなって」


「そこまで腹が減ってるなら何か一つでも食べていきなよ」


 そこまで腹が減っているならむしろ食べて行けというクラスメイトたち。

 だがクライシスはそれを無視してさっさと出ていく。


「あれ、話聞こえて無かったな」


「もう腹が減ってしょうがないから出ていった感じだよね……」


「クライシスくんが作ったからと言って全部食べてしまった俺等も悪いな」


 反省するクラスメイトたち。

 クライシスの作ったクッキーを見ると一つも残ってなかった。

 男子たちはクッキーを食ってもまだ足りないのだ。

 一つも食べていないクライシスはもっとキツイだろうなと予想していた。

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