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お金のために配信者になります〜えっ、人気がないとお金はもらえないんですか?〜  作者: 霞風太
三十二章 ドラゴンを倒したあと

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百九十六話

「さて………」


 クライシスは先日の配信が終わって1週間後、探していたダンジョンへと挑んでいた。

 そこを教えてくれたのは征竜旅団の者たち。

 結局何もしていなかったからと快く教えてくれた。


「どれだけの巨体のモンスターが出てくるんだろうなぁ」


 クライシスが求めているのは巨大なモンスター相手にも通る一撃。

 少しずつ抉るのではなく、一撃で大きなダメージを与えるような一撃が会得したい。


「あのドラゴンと同じくらいでかいやつがいないかなぁ?」


 あれくらいの巨体のモンスターが何体も出てほしいとクライシスは願う。

 そうでないと練習にもならないからだ。


「まずは一体目」


 出てきたのはゴーレムのモンスター。

 ただし先日戦ったドラゴンよりも一回り二回りも小さい。


「……まぁ、良いか」


 何かアクションを起こされる前に接近し攻撃する。

 イメージするのはハンマー。

 拳をハンマーに見立てて叩き込む。。


「…………」


 その一撃でゴーレムは砕ける。

 ドラゴンよりも脆く感じたそれに練習になるのかクライシスは今頃不安になる。


「次……」


 次のゴーレムには貫くことを意識する。

 簡単に穴が空いた。


 その次は切り裂くイメージ。

 大した抵抗も感じずに真っ二つになった。


 その次は純粋に殺意を込めて殴る。

 一撃で死ぬが、砕けたり貫いたりと一撃ごとに違う形でゴレームが死ぬ。


「殺意だけだと、どういう一撃になるかわからないなぁ?一撃一撃はこちらのほうが上だがイメージしたほうが良いか?」


 今回は一撃の威力の上昇を狙っているから、殺意だけの方が上かとクライシスは考える。


「それにしても脆い……」


 ドラゴンと比べて脆すぎるとクライシスはどうしても不満を口にしてしまう。

 それでも一撃の差がわかるのは、より粉々になっているか、より綺麗に貫通したのか比べることが出来るからだ。


「後で他のダンジョンにも挑むべきだなぁ?」


 巨大なモンスターがいるのは、このダンジョンだけではない。

 征竜旅団から聞いたダンジョンも他にもある。

 次は別のダンジョンに行こうと決める。


「次はどのダンジョンに行くか。今から迷うなぁ?」


 ゴーレムは頑丈らしいが、やはり遅い。

 どれだけ強力な一撃を持ってようが当たらなければ意味はない。

 クライシスからすれば隙が多すぎて攻撃しほうだいだ。


「とりあえず今回はこのダンジョンのボスモンスターを倒して終わらせるべきだなぁ?」


 ダンジョンのボスモンスターを倒して今日は終わらせることに決めるクライシス。

 そうと決まればボスの居るところまで直進していった。



「ついたなぁ?」


 ボスモンスターのいる部屋の前までつくとクライシスは扉を蹴り飛ばして中へ入る。

 ここまで来る途中に何体もゴレームが出てきたが全く相手にもならなかった。


「せめてボスモンスターぐらいは楽しめたら良いんだがなぁ?」


 眼の前にあらわれるボスモンスターを見てため息を吐くクライシス。

 これまで戦ったゴーレムよりも何倍も頑丈そうだがドラゴンよりは弱いんだろうなと考えてしまう。


「…………」


 攻撃もそう。

 いくらか、これまで戦ってきたゴーレムよりは速い。

 だが比較的速いだけで、かなり遅い。

 他のダンジョンのボスでもないモンスターと同程度の速度しかない。

 そして、その程度だったらクライシスには当たらない。


「まずは一撃だなぁ?」


 機動力を完全に殺すために脚を壊す。

 あとは逃げられないゴーレムをタコ殴りにするだけだと思って、その一瞬後距離を取る。


「へぇ?」


 クライシスの眼の前でボスゴーレムは壊れた脚を修復する。

 その速度もなかなかで、あのままタコ殴りにいこうとすれば途中で反撃を食らってもおかしくないかもしれない。


「丁度よいなぁ?」


 完全に壊さない限り、何度でも自分を修復できるゴーレム。

 脆いが丁度よい練習相手ができたとクライシスは面白がる。


 殴り、蹴りと何度もゴーレムへと攻撃し壊していくたびに修復される。

 一撃ごとに壊せるほどに脆いが修復する分、ある意味ドラゴンよりは厄介だ。


 それでも何度も何度も壊し修復し、また壊しと何度も続けていると次第に動きが遅くなる。

 修復する速度も遅くなっており、回復するためのエネルギーがあるのかとクライシスは予想する。


「……………」


 そしてついに修復しなくなり、完全に動かなくなるゴーレム。

 ゴーレムの攻撃は全て当たらず、逆にクライシスの攻撃は何度も壊してきて、その上何度も修復しても直ぐに壊してくる。

 しまいには修復し終わるまで待っていたこともあってゴーレムは心が壊れてしまい、もう壊してくれと動くことも壊れた部分を修復することも辞める。


「つまらないなぁ」


 そしてクライシスはそのことにつまらなそうにため息を吐いて弱点であるゴーレムの核を砕いた。

 修復や動きの速度が遅くなっていったのはエネルギーが減ったのではなく心が折れたからだと理解したからだ。

 何度でも壊せるサンドバッグが使えなくなったことにクライシスは残念に思う。


「脆くて頑丈な相手への訓練にもならなかったなぁ?」


 なんとなく他のダンジョンなら大丈夫なのかクライシスは心配になった。

 そこも今回と同じように諦めて自死を選んだら、どうやって鍛えようか悩み始めていた。

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