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お金のために配信者になります〜えっ、人気がないとお金はもらえないんですか?〜  作者: 霞風太
三十章 コラボ配信前

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百八十九話

「クライシス君、ちょっと良いかい」


 ある日の放課後、クライシスは事務所のスタッフに呼び止められる。

 なんの用だろうとクライシスが振り返れば興奮した様子だ。


「次の週末は征竜旅団と配信しても大丈夫かい?」


「征竜………」


「無理なら別の日でも良いけど」


「いえ、大丈夫です」


 クライシスは聞き覚えがあるなと思い出して頷く。

 記憶が正しければ知っている相手が所属しているクランだ。


「なら良かった。向こうからも時期に問題があったら引き伸ばしても良いと言ってましたが相手のことを考えると先延ばしもできる限りしたくありませんし。………テストとかもありませんよね?」


「大丈夫です」


 テストなどといった問題があったら先延ばしも仕方ないかもしれないが、そうでないならと安心するスタッフ。

 あとはクライシスに細かいことを頼むだけだ。


「なら週末の配信はダンジョンに一緒に挑んでいる様子を配信してほしい。相手もこちらが配信者だと知っているから文句はないらしい。あと事前に通知するかサプライズにするかは好きにして良い」


「わかりました。じゃあとりあえず週末はコラボだと告知しておきますね」


「サプライズにするのか?わかった」


 それを聞いてクライシスは早速スマホを取り出して告知する。

 瞬く間に流れる残念や楽しみといった通知が流れてきて思った以上に見られているなと実感する。


「それじゃあ週末をお願いしますね。あとこれは挑戦する予定のダンジョンの資料です」


「わかりました」


 資料を手渡して去るスタッフを見送ってクライシスは全く連絡を取らない連絡先を確認した。




「もしもし久しぶりです。もしかして週末に一緒にダンジョンに挑む征竜旅団の一人ですか?」


『初めて連絡してきたと思ったらそれかよ!あと合っている』


「……じゃあ週末はよろしくお願いします」


『それだけ!?もっとなにか話そうぜ!?』


「まだ資料は見てないけど、どこのダンジョンに挑むんだよ?必要な道具はある?」


『そうだな。できれば傷薬といったものができれば持ってきてほしいな。今回は強力なダンジョンのボスモンスターに挑みたいと思っているし。アタッカーは頼んだ!!』


「まぁ、良いけど。特徴とかはわかるのか?」


『さぁ?所見の相手だし。突破できれば世界初だ』


「ふぅん。戦っている様子を配信しても良いと言ってたけどマジで良いのか?邪魔にならないか?」


『良いぞ。逃げることになっても配信してれば後で見返すことができるし、集合知で良い情報を得られるかもしれないしな。それに普段の配信だって邪魔になっているわけではないだろ』


「たしかにそうだけど……」


『むしろ手が滑って壊してしまったら悪い』


「笑って言うことではないけど壊してしまっても怒らないので。意図的だったら殺すが」


『……うっす』


「それじゃあ」


『……こっちも注意しておきます』


 互いにそう言って通話を切る二人。

 クライシスは予想通りの相手だったことにため息を吐く。


「面倒くさい……」


 思わず、そう呟いたのは説教されたことを思い出したからだ。

 配信の途中でも説教や嫌味を言われると思うと面倒だ。


「世界初か……」


 それにしても、とクライシスは思う。

 思った以上に強いのだなと驚く。

 クライシスからすれば弱いと思っていたから信じられない気持ちだ。


「それにしても世界初か」


 情報が無いということは既に到達した者はいても生きて帰れなかったということだ。

 どれだけ強いのか少しだけクライシスは楽しみだった。


「………今週は鍛えるのは無しにするか」


 クライシスは今回も自分のことに集中したいために学園で放課後に鍛えるのは中止にする。

 頼まれても無視するつもりだ。


 それに準備することもある。

 準備自体は向こうがしてくれるとはいえ、ある程度は自分でも準備しておきたい。

 傷薬などがあれば良いと言われたが、どうせなら各種毒消しも持っていきたい。


 あとは逃げるための道具。

 煙玉や閃光弾、それにトリモチなどの道具。

 視界の他に物理的に妨害することができれば逃げれる可能性は上がる。


 これだけあれば大丈夫だろうとクライシスは予想する。

 それにあれこれ持っていっても多すぎて個人では持っていけない。

 多少は諦めることも大事だろう。


「店に寄るか………」


 今から準備すべきだろうな、とクライシスはこのまま薬屋に寄ることに決める。

 買うものは沢山ある。

 今日は薬だけにしようと決める。

 明日は学園が終わり次第、逃げるための道具だ。


「クライシス君!今度は誰とコラボするんですか!?」


 事務所から店に寄る途中シクレが近寄ってくる。


「サプライズなので週末まで秘密です。それと今週はその関係で放課後鍛えないので」


「………別に良いですけど学園の皆にも伝えますか?」


「?明日には俺から言うので大丈夫ですよ」


「そうですか……。同室の子たちに行っても大丈夫ですよね」


「はい。あと誰とコラボするかは秘密ですので」


「そうですか……」


 サプライズ相手は秘密にされ少しだけ残念に思うシクレ。

 だがちゃんとサプライズを守れていることに安堵する。


「今週、時間が空くのならデートしませんか?」


 今週は放課後鍛えず準備に回して時間が余るならデートをしないかとシクレは誘う。

 そしてクライシスは勿論とばかりに頷いた。

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