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お金のために配信者になります〜えっ、人気がないとお金はもらえないんですか?〜  作者: 霞風太
二章 同じ学生の頼みを引き受けて鍛える

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二十話

「どうだ?美味いか?」


「……………っ」


 頼んでいたラーメンの麺を啜りながら口にして答えるのも惜しいと思いながらも頷くクライシス。

 その様子に店長も気を良くして食い終わったと思ったら替え玉を用意する。


「…………?」


「奢りだ。食え」


「じゃあ遠慮なく!」


 既にラーメン、ライスに餃子が胃の中に入っているが、まだまだ余裕だ。

 餃子も追加してもらって食事を進めていく。


「大将、餃子追加!」


「替え玉お願い!」


「おうよ!」


 良い食いつきっぷりに周りの客たちも追加で注文をしていく。

 いつもより注文が倍になっていることに気分を良くしながら店長も調理をする。


「美味しそうに食うなぁ。そんなに腹が減ってたのか?」


「………ふぅ。他人を鍛えて教えるなんて慣れないことをしたのもあるんだと思います。………一々確認して注意してと本当にめんどくさい」


「……ははっ」


「俺もお願いします」


 クライシスの発言にどういうことかと興味を持つ店長。

 もしかして見た目が若いだけで大人なのかと。

 だが連れてきた二人が後輩だと言っているし、でも一人は敬語使っているしと頭が疑問で埋め尽くされる。


「もしかして教師だったりするのか?」


「………普通に生徒です。ただそれなりに実力があるのを知られたので鍛えてくれと頼まれました」


「それなり」


「………嘘は言わないでください」


「?嘘は言ってませんよ。世界を見ればどうせ俺なんて弱いほうだしなぁ」


 急に雰囲気が変わったクライシスに店長も周りの客たちも立ち上がり警戒する。

 下手したら格上だと認識できてしまう実力を今まで感じなかったことに冷や汗を流す。


「それで、それなり……か?」


「そうだろう?世界を俺は知らないからな。もっと上がいてもおかしくないだろう?それよりも何時まで俺に向かって警戒しているんだ?ここは食事をする場所であって暴れる場所ではないんだろう?」


「………そうだな。お前らも警戒するのを止めろ!ここには客しかいねぇんだ!暴れたら追い出すぞ!」


「……すまない」


「……っ」


 クライシスの言葉に世界から見ればそうなのかと思いつつも言っていることは理解できてしまうので他の客たちに注意する店主。

 あくまでも客として来ている以上暴れるつもりは無いだろうという考えもある。

 それに何よりも自分の料理にあんなに美味しそうに食べていた客を追い出すのも気分が悪くなる。


「ふぅ…。悪いな。それにしてもオーラだけでもかなり強いとわかったが、よくそこまで隠しているな。囲まれてカツアゲとかされてないか」


「あぁ、してたなぁ。……………はぁ。すみません、店の中で」


「………二重人格か何かか?」


「いえ。単純に戦闘用にスイッチ入れたままだと無性に暴れたくなって迷惑をかけてしまいそうなので使い分けているだけです」


「なるほど。で、そっちは何で目を逸しているんだ?」


「ヤーキ先輩は俺に喧嘩を売ってトラウマを刻まれたようなので」


「………そうか」


 既にカツアゲをされそうになって、しかも返り討ちにした。

 しかも、その相手が常連の一人と聞いて何とも言えなくなる。

 それで後輩相手に敬語を使っているのかと理解ができた。


「お前何やってんだよ」


「前から聞いていましたけどマジなんですか?ちょっと信じられないんでけど」


「………マジだ。それから心を入れ替えて舎弟もダンジョンで困った人たちを助けるようになったんだよ」


 つまりクライシスがボコボコにしないとチンピラのままでダンジョンで人助けすることなく被害が今以上に増えていた可能性があった。

 そう考えるとクライシスの行動のお陰で助かったともいえるかもしれない。


「ところで俺たちも鍛えてほしいのですがダメでしょうか?」


「別に良いよ。今更一人や二人増えたところで問題ないし。………だけど俺にボコボコにされた程度で何で人助けに走ったんだ?普通にリベンジに燃えると思うし、そうでないとしても人助けに走るのはそれまで真逆過ぎない?」


「………それまでと同じようにカツアゲしようとする奴らもいたんですけど結局トラウマで出来なかったんです。当然、復讐しようとする奴らも」


「ふぅん」


「だけどダンジョンでカツアゲして殺されても文句言えないのに助けてくれたクライシスさんを思い出したんです!」


「へぇ!」


「ほぅ!」


「……………ん?」


 フレールと店主、そして聞き耳をたてていた客たちは感心の声を上げるがクライシスだけは微妙な表情を浮かべる。

 美化されていると思うし、何よりもマッチポンブじゃねと思っていた。

 ボコボコにしたのも自分だし助けたのも自分だからだ。


「あんなに強いのはカツアゲをされそうになっても許し助けてくれる優しさがあるからじゃないかと!」


 続けるヤーキの言葉に集まる視線にクライシスは居心地が悪くなる。

 やっぱりマッチポンプじゃねぇか、と確信していた。

 他の人達もヤーキの勢いに圧されて冷静に考えられていない。


 少なくとも足を舐めさせて金を差し出させられた思い出を美化して忘れようとしているなと予想している。

 そもそもフレールには死んで楽にさせないために助けたことを教えてた気がするのに何でそんな視線を向けてくるのか謎だった。

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