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お金のために配信者になります〜えっ、人気がないとお金はもらえないんですか?〜  作者: 霞風太
二十四章 夏休み明け

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百六十三話

「クライシスくん、お前逃げたな!」


「なんか逃げれたので逃げた」


「途中でクライシスくんがいなくなったことに気づいて声を上げてしまったんだが!?しかもそれで怒られるし!」


「一時間以上も退屈な話を聞かされて、それとかクソじゃん」


「いや、それもそうだけど!お前だけ逃げるのズルくね!?」


「俺は逃げて正解だったと自画自賛している」


 その言葉にクライシスに向かっていろんな感情が込められた視線が向けられる。

 特に込められているのは嫉妬や苛立ちという感情。

 クライシスだけ校長の話しを聞いていないのがズルいとしか思えなかった。


「そもそも校長の話から逃げて何をしてたんだよ」


「色々」


「色々ってさぁ……」


「はい全員こっちに注目!色々とクライシスくんに聞きたいことはあるだろうけど、これからの予定について話すから聞いて!」


 教師のその言葉に全員が姿勢を正して視線を向ける。


「はい。まずは先生の話が終わったらバーベキューの片付けをして今日は終了です」


「「「「っし」」」」


 数名がガッツポーをつくる。

 そのことに教師は苦笑して話しを続ける。


「それで学園としての予定だけど1週間後に学園別の大会が始まる。学年別、学園別で条件も違ってくるからこれに大体一ヶ月ほどかかる。それが終わったら通常通りの学園生活に戻る。大会に参加しない者も出来る限りフォローしてやってくれ」


 頷く生徒たち。

 クライシスは正直面倒くさいなと思っていた。


「クライシスくん!!」


 今後の学園生活の予定の説明が終わると別のクラスの教師が教室に入ってくる。

 よく見ると別のクラスの生徒も覗き込んでいた。


「もしかして校長の話をしている間、片付けていた!?」


「「「「「「は?」」」」」」


「何か問題でもありましたか?問題ない部分は全部片付けたつもりでしたけど?」


「「「「「「え?」」」」」


「いや後は持ち帰るだけだったら。ありがとうね!」


「…………クライシスくん。お前片付けていたの?」


「時間が無駄だったので。じゃあ後は片付けだけで良いですよね?なら俺もグリルを持ち帰りますので。お先に」


 この後は昨日のバーベキューの片付けなのに既にほとんど終わらせていて後は持ち帰るだけ。

 ほとんどの人はこの後にやる事がなくなっていた。


「………殆どやってくれたのは有り難いけど暇になったんだけど」


「え?この後、どうすんの?」


「つうか校長の話の時に片付けていたのかよ……」


 クライシスだけが校長の話から逃げたことに不満は代わりに片付けをしてくれていたことでなくなった。

 だが片付けをしていたなら、それを言ってくれという呆れも出てくる。

 少なくともそれを言ってくれたら校長の話から一人だけ逃げたことに不満や怒りを抱くことは無かった。


「とりあえずグリルを持ってきた人はクライシスくんと一緒に帰っても大丈夫!」


 その言葉にクライシスと同じようにグリルを持ってきた生徒は教室から出ていく。

 それ以外の生徒はどうするか黙って互いを見つめ合っていた。




「クライシスくん!」


「なに?」


「何で片付けていたの教えなかったのさ?」


 クライシスはグリルを持ち上げ始めた時に丁度良く後ろから疑問を投げかけられる。

 誰なのか確認すると同じクラスの生徒だ。


「全部が終わったとは思えないし。見る人が見たら甘いんじゃない?」


「そうかなぁ?」


 クラスの学生がズラッと眺めているがゴミが落ちている様子が無い。

 きっとクライシスが拾ったのだろうと予想している。


「念の為、別の人が誰かダブルチェックしてくれたら有り難いし」


「あぁ〜。それクラスの皆に教えて良い?」


「良いぞ?」


 そんなことを教えてどうするんだとクライシスは首を傾げるが、やることがなくなった生徒たちには丁度よいとクラスの生徒は考える。


「ちょっと待ってて!」


「は?」


「待って待って!今、ダブルチェックしてほしいって言った!?」


「はい?」


 クラスの学生がグリルを置いて待っていてほしいと何処かに行こうとしたら横から先輩らしき学生が肩を掴んで止める。

 そこで自分じゃなくてクラスの学生の肩を掴んだことにクライシスは少し疑問に思った。

 聞くのなら走り去ろうしている学生を掴むより今は突っ立っているだけの自分のほうが楽なはずだ。


「俺は付き添いで来ただけだからグリルを運ぶ必要ないし俺が伝えるから!君もグリルを持ってきたんだろ!大変だから俺が代わりに伝えるから大丈夫!」


「えっと……良いんですか?」


「大丈夫大丈夫!」


 どうやらグリルも運んで、教室にいるクラスの皆にも伝えてだと大変そうだから代わりに伝えるつもりだったらしい。

 それなら納得だとクライシスも頷いて寮へと戻ろうとする。


「じゃあクライシスくん一緒に、って待って!?」


「………今度はなに?」


「いや一緒に行こう!?」


 クライシスが一人で寮へと戻ろうとするのを慌てて声を掛けて止めるクラスの生徒。

 一人だとつまらないから一緒に行動しようと思ったのに気づいたらクライシス自身は一人になろうとするから追いかけるのに慌ててしまっていた。

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