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お金のために配信者になります〜えっ、人気がないとお金はもらえないんですか?〜  作者: 霞風太
二十三章 夏休み最後のバーベキュー

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百五十六話

「ちょっと待ってください!!」


 クライシスがフレールと一緒に朝食を食べに行こうとしたらシクレに止められてしまう。

 どうやら自分と同じように朝食を一緒に食べないか誘いに来たのだろうとフレールは予想する。

 それならとフレールは二人の邪魔をする気はないと静かに離れようとする。


「クライシスくん、私も一緒に良いでしょうか?フレール先輩も」


「え?」


「俺は良いですよ。それじゃあ行きましょうか。先輩も案内してくださいね」


 離れようとしたが、その前にクライシスが腕を掴んで逃げられなようにされる。

 そのうえでシクレからも一緒にどうかと聞かれ逃げられなくなる。


「ところで先輩のおすすめの店ってどこらへんなんですか?」


「………逃げないから離してくれ」


「誘っておいて何処かに行こうとしていたのにですか?」


「……ごめん。二人きりの方が良いかと思って」


「気にしすぎです」


「そうですよ」


 よく考えればクライシス相手に気づかれずに離れるのは無理だと思い出す。

 それだけの実力差があるのだ。


「それじゃあ行きましょう!」


 一緒に朝食を食べに行くことになっていろんな視線が三人に集まる。

 フレールには恋人同士の邪魔になっていると批判。

 クライシスにも恋人同士なんだから二人きりになれという批判と邪魔されていることに同情、そして恋人がいることに嫉妬。

 シクレには邪魔されていることと、それをクライシスが受け入れていることに同情をされていた。




「ここですか?」


「あぁ、そうだ。ここはかなり朝早くから開いていてな。種類も多く、しかも美味しいパンばかりだからオススメだ」


「本当ですね。もう匂いが凄く美味しそうです」


 案内されたのはパン屋。

 近くに来ただけで美味そうな匂いが漂い空腹感が増す。


「嬉しいことを言ってくれるじゃねぇか。しかもお友達も連れて紹介してくれるとは。おまけしてやるから何でも好きなパンを選びな」


「良いんですか!?ありがとうございます!」


「ありがとうございます」


「本当に良いんですか!?」


 本気で嬉しそうな反応を返してくるクライシスたちにパン屋の店員も気分が良くなる。

 更におまけをしてやりたくなる。


「良いって、良いって。何でも好きなのを選びな」


 その言葉に甘えてクライシスたちは好きなパンを選んでいく。

 合間にフレールにオススメのパンを教えてもらって選んでいたのが店主に印象的だった。



「それじゃあ早速いただきます」


 パンを購入し歩きながら食べる。

 味はフレールがおすすめするだけあって美味しい。


「フレール先輩がおすすめするだけあって本当に美味しいですね」


「だろう?」


「はい。また食べに行こうと思います」


 クライシスとシクレの評価に気を良くするフレール。

 こうして美味しいと言ってもらえると案内したかいがある。


「他のみんなも今頃はそれぞれ食べてるよな?」


「多分、食べていると思います」


「昼間でまだまだ時間があるし何か食べないと保たないだろ」


「なら良いですけど時間まで何します?暇でしょうがなくなりますよ」


「そうなんだよなぁ」


 昼まで何をするか話し合うクライシスたち。

 何もしないでいるのも時間の無駄だ。


「クライシスくんが鍛えたりは……しないですよね」


「しないです。昨日は組手とはいえ散々やったので今日はしません」


「だよなぁ。ボール遊びでもするか?」


「それで子供たちが来たら積極的に誘うんですか?」


「そりゃそうだろ」


「…………」


 ちょっとだけ、それでよいのかクライシスは不安になる。

 子どもたちの中には身体を動かすのが好きではない子どもたちもいるはずだ。

 誘うのは迷惑なんじゃないかとクライシスは考えてしまう。


「どうしました?」


「この場合、子どもたちは年上に誘われたから動くのが好きじゃないのに一緒に運動することになりそうだなって」


「……そうですね。親からもきっと一緒に遊びなさいって強要されそうですよね」


「………」


 クライシスの言葉に死んだ目になって頷くシクレ。

 おそらくは好きでもないことを誘われたからと親に強要されたことがあるのだろう。

 フレールはそれらの心配を聞いて微妙な気持ちになる。


「いや大丈夫だろ。最初はそうかもしれないけどやっていくうちに楽しくなるって」


「……引っ込み思案な子はそうでしょうけど。本当に動きたくないって子もいてもおかしくないんですよね。見極めることって出来ますか?」


「まぁ、たしかに。でもやっぱり考えすぎだとしか思えないって。もう少し気楽に考えたほうが良いぞ」


「そうでしょうか?」


「そうだって!そんなに気にしすぎたら何もかも楽しめなくなってしまう。俺達は怪我しないように気をつければ良いだけだ」


 フレールは気にしすぎだとクライシスたちに注意する。

 子どもの気持ちを考えないのも問題だが気にしすぎるのも問題だろう。


「何か問題があっても先生たちに相談すれば良いんだ。何年も教育してきたんだから子どもたちへの対処だって俺達よりも先生たちのほうが経験も実績も上だ。何かダメなところがあっても注意してくれるだろう」


 先生という経験と実績がある者たちも見守っているのだと聞いてようやく納得するクライシス。

 それなら子どもたち相手にも気を楽にして相手できると思っていた。

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