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お金のために配信者になります〜えっ、人気がないとお金はもらえないんですか?〜  作者: 霞風太
二十二章 夏休み最後の訓練

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百五十一話

「さぁて………」


「づぅっ!?」


 攻撃してきた相手の武器である槍の穂先をぶん殴る。

 それだけで相手の手は震えてしまう。


「意識を失うのと耐えるのは別だなぁ?」


「くそっ!」


 夕方まで持たせたいのだ。

 武器を持てなくなって戦えなくなるのはダメだ。

 それを考えると、こちらからの攻撃はあまりしないほうが良いかとクライシスは考える。


「《(ウィンド)》《(ブレイド)》《(ショット)》!!」


 距離を取ったと思ったら、あらゆる方向から魔法が飛んでくる。

 風の刃の他に炎や水、氷まで飛んでいる。

 こんな時に近くに誰かいれば盾に出来るのにとため息を吐く。


「ふぅ」


 少しだけ気合を入れる。

 全方位から魔法が飛んできて避ける隙間がない。

 そして、それだけの魔法が飛んできているのなら攻撃が止まない間は接近戦を仕掛けてくる者もいないはずだ。

 こんな魔法の雨の中で突撃してきたら、その者も魔法の雨にさらされてしまう。

 そしてクライシスは叩き落とそうにも振り回せる武器を持っていない。


「《(アース)》《(ソード)》」


 だから振り回しやすい長さの剣を魔法で作る。

 欠けても、その度に補強すればよい。

 そして魔法で作った剣で魔法を叩き落としていく。


 その中でクライシスはあえて切っ先を意識して振り回す。

 避けるスペースはないが叩き落とすには余裕がある。

 良い機会だからと訓練気分で叩き落としていく。


 振り払い、切り上げ、切り下ろし、反転して振り向きざまに振り、回転して切り払う。

 自由自在に剣を振って魔法を切り落としていく。


「はぁ!」


 魔法を全て切り落としたのと同時に剣が襲ってくる。

 それを剣で受け流しながらバランスを崩し距離を取る。


「まさか魔法での攻撃が終わると同時に襲ってくるとはなぁ?少しは驚いたじゃないか」


「あの程度でお前が負けるわけがないだろ!」


「!おっと」


 実力を信頼されていることに少しだけ照れ臭くなりながらクライシスは後ろからの槍を半身ずらして避ける。

 その直後に矢が飛んできて飛び退る。

 今度は魔法以外での連携らしい。


「はぁぁぁぁぁぁ!!!」


 連続した突きが襲ってくる。

 盾を持っていないと防ぎにくい速い点での攻撃。

 さらに後ろから奇襲もある。


 それにクライシスは苦笑してしまった。

 先程から決まって背後からの奇襲。

 しかも挟み込む形でだ。


「っ!…うぉ!?」


「っぶなぁ!?」


「へぇ……」


 だから悪戯心がわいてギリギリで避ける。 

 その結果、後ろから奇襲を仕掛けようとした者は槍に突かれそうになり、槍で突いていた者は剣で切り裂かれそうになる。

 だか二人もギリギリで身体を強引にズラして避けクライシスはその姿に賞賛を向ける。


「そこぉ!」


 そしてクライシスはどうせなら積極的に同士討ちを狙おうと考える。

 学生を盾にしたりギリギリで避けたりしないといけないが、そのぐらいのハンデは余裕だ。

 ギリギリで避けて同士討ちさせるのは大変だが、だからこそ気合が入る。


「さぁて、やるか……」


 学生たちもクライシスの先程の行動に何を狙っているのか察してしまう。

 そして、それでやられてたまるかと更に気合が入った。


「てめっ!?」


 とはいえ気合を入れたからといってクライシスの狙いを防げるわけもない。

 学生たちの攻撃を常にギリギリで避け続けて盾にするために確実に近づいてくる。


「っ!さっきからずっとギリギリで避けているのは余裕のあらわれかよ!?」


「ハイリスク・ハイリターンぐらいは知っているだろう?常にギリギリで避けているからこそ確実に近づける。それに、その途中で味方同士で同士討ちをしそうになっているしなぁ?」


「ぐっ!」


 その言葉通りで誰もがクライシスへの攻撃はいつもより控えめになってしまっている。

 当然、手加減でもクライシスを怪我させるとか殺すとか遠慮しているわけではない。

 むしろ本気でやっても殺せないと確信している。


 それでも控えめになるのはクライシスがギリギリで避け続けるせい。

 ギリギリで避けるからクライシスの影に隠れる形になってしまっている味方に攻撃が飛んでいくし、飛ばされる。

 クライシスなら本気でやっても死なない確信はあるが同じ学生相手はそうではない。

 殺してしまうのは言い過ぎでも怪我をさせるのが怖いし飛んでくる攻撃は危ない。


 だから攻撃は控えめになってしまう。

 それもあってクライシスは攻撃が当たっても問題はないとギリギリで避けているのか。

 それともギリギリで避け続けた結果そうなったのか。


「お前たちも少しはリスクを取ったらどうだ?じゃないと攻撃を当てることすら夢のまた夢だろう?」


「黙れ!」


 リスクを取るのが自分だけならまだ良い。

 だけど学生たちは自分以外の誰かがリスクを受けることに遠慮を覚えてしまう。


「だからこうして簡単に捕まえることができる」


 生徒の一人をとうとう捕まえられてしまう。

 盾にするつもりなのがわかってしまっているから、つい攻撃が緩んでしまう。


「甘いなぁ?」


 それがあまりにも隙だらけでクライシスはつい捕まえた学生を武器にして攻撃が緩んだ学生へと攻撃した。


「は?」


「え?」


 その行動に非難の声と何をしたのか理解できずに困惑した反応をしてしまう。

 それ見てクライシスは非難や困惑をするのも良いが、まずは対応しろと手に持った学生で攻撃していく。

 武器にした学生が変な怪我をしないように軽く振るっているから攻撃を当てても気絶なんてしない程度の威力でしかなかった。

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