百四十八話(配信回)
『料理配信』シクレとのコラボ『クライシス、シクレ』
「みなさん、こんにちは」
「暇人ども、こんにちわ。今日もコラボだ」
【ちわー】
【1000円 勉強代】
【1000円 待ってました】
【相変わらずのコラボ】
「今日はクライシスくんとの料理のお勉強配信です。みなさんも一緒に学んでいきましょう」
「これから定期的に料理の配信をする予定です。最初から最後までやるつもりなので配信時間は思ったより長いかもしれませんので覚悟だけはしてください」
【5000円 楽しみです】
【最初から最後までって?】
【1000円 作り始めから盛り付けまでノーカットでやるのかな?】
【大体三十分から一時間ぐらいか?】
【説明しながらだからもっと時間がかかってもおかしくないな】
「さて、これから作る料理は肉じゃがにしますね。材料はこちらです」
【肉じゃがかぁ】
【やばい 想像だけで腹が減ってきた】
【人気料理から出てきたな】
【楽しみ】
「まずはじゃがいもの芽と皮をむきます」
「ふむ」
【お。芽はって……】
【皮のむき方がダメダメすぎる】
【いったんおろせ】
【シクレちゃん、こいつに皮のむき方を教えてやって!】
「がっつり力を入れすぎですよ。じゃがいもは力を入れなくてもピラーでスライスすれば向けますよ」
「………あっ、くそ」
「うん、だんだん上手くなってますから焦らなくても大丈夫ですよ」
【まぁ、初めてだしな】
【不器用すぎるwww】
【どんまいww】
【力入れすぎ……】
「次は人参の皮むきですね。こうまな板の上に置いて手で抑えながら横にピラーをスライスしましょう」
「……あっ」
「大丈夫ですよ。一回で切る必要はありませんから。もう一回途切れたところからスライスしましょう」
【料理に慣れた人でも偶にミスするからな】
【これミスか?】
【別に一回で端までスライスしなきゃいけないわけではないし】
【それはそう】
「はい、できましたね。次はじゃがいもを一口大に切りましょう。手はこうして抑えて切っていきます」
「へぇ……」
【普通に上手いな】
【包丁の使い方は上手】
【シクレちゃんと見比べてもほとんど違いがないじゃん】
【は?】
【マジで?】
【マジだ 全然違いがねぇ】
「もしかしてピラーを使うよりもやりやすいですか」
「そうですね。包丁で切る方がわかりやすいです」
「そうですか……。それでも慣れればピラーのほうがやりやすいと思うのでピラーも使っていきましょうね」
「わかりました」
【あっ、そうか。ピラーは使い慣れてないもんな】
【ピラーのほうが使いやすいだろ】
【包丁の方がある程度は使い方を覚えてるからか】
【料理をするようになったらピラーの方がやりやすいだろ】
「……そんな風に切ることが出来るのなら以前の配信でもそうすればよかったじゃないですか」
「?見本が眼の前にあるから真似しているだけですよ?こんな眼の前にあるなら見様見真似である程度はきますし」
「……それならピラーはどうなんですか?」
「実際の切れ味とかわからないですし」
「使ったのも初めてですか?」
「はい」
【本当に料理とかほとんどしないんだな】
【料理をしてないなら妥当か?】
【初めて使う道具だから加減がわからないのか】
【あぁ、なるほど】
「なら慣れてくればわかると思います。次はフライパンにサラダ油をひいて肉を炒めましょう」
「わかりました。っと」
「そうそう。油はフライパンにちょっとだけ入れて全体にいきわたるように引き伸ばせば大丈夫です。火加減は中火で肉を入れていきますね」
【あぁ、良い音】
【腹減ってきた】
【今日は肉食べよう】
「色が変わったら水を入れて強火に加工をしましょう。水の量はこのぐらいです」
「どのくらい加熱するんですか?」
「沸騰するまでです」
「………それまで何します」
【何しますってお前】
【火を使っているのに離れる気かよ】
【そこにいろ】
【シクレちゃん説教してやって】
「何しますってクライシスくん?」
「配信を見てくれる人が暇になりません?俺だったら退屈になりますよ?」
「沸騰するのはそんなに時間はかかりませんから……。どうしましょう?」
【そのぐらいなら大丈夫】
【料理配信だから時間かかるのはわかっているし】
【今更】
【料理に集中して】
「あっ、沸騰しましたね。ここでめんつゆと砂糖を加えて弱火で二十分ほど煮込みます。………リスナーの皆さんは大丈夫でしょうか?」
【大丈夫】
【煮込んでいる様子も配信して】
【腹減ったぁぁぁ!】
【我慢出来ないので食べながら配信を見ています】
「……我慢しなくても大丈夫ですからね?」
「……二十分ほどですからその間別の配信を見ても大丈夫ですよ?代わり映えはしないでしょうし」
【は?見るが?】
【舐めんな。最後まで見逃さねぇからな】
「ふぅん。……シクレ先輩」
「どうしました?ん……もう、こんなところでふざけないでください」
「弱火ですし煮込み始めたばかりですから一瞬ぐらいは大丈夫でしょう?」
「そうですけど……」
【は?】
【今何した?】
【え?】
【いつの間にそんな関係になったの?】
【フレール お前らいつの間に!?】
【え?何があったの?】
「見逃してたお前らが悪い。何をしたのかは秘密にしてくださいね」
「もう!もう!!」
【はい!秘密にします!】
【見逃すお前らが悪い!】
【もしかしてこれからも似たようなことをするんじゃ……】
【見逃すことなんか出来ねぇじゃねぇか!?】




