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お金のために配信者になります〜えっ、人気がないとお金はもらえないんですか?〜  作者: 霞風太
二十章 シクレとの約束

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百四十五話

「シクレ先輩、それじゃあ行きましょうか?」


「はい。行きましょう」


 翌日クライシスとシクレは寮の前で待ち合わせをしてデートへ行く。

 当然その姿は他の生徒達にも見られているが直ぐに視線を別のところに向ける。

 配信などの関係で行動を一緒にすることも多いから、その関係だと思っていた。

 何なら先日の配信で経緯も知っていた。


「よぉ!二人とも早速来たかい!この本とかどうだ!?」


「?」


「え……っと?」


 本屋へと入ると早速とばかりに店長が話しかけてくる。

 手に持っている本は料理関係の本。

 題名を見せてシクレもクライシスも理解する。

 この人も配信を見てくれているんだと。


「配信を見てくれてありがとうございます」


「配信を見てくれて嬉しいです。これからもよろしくお願いいたします」


 そう言いながら本を受け取る二人。

 そして早速ながら断りを入れてシクレは流し読みをする。


「うわぁ。良い本ですね。本当に良いんですか?」


「だろう。妻も一緒に見ていてな。クライシスくんがあまりにも危なかっしいから一緒に選んでくれたんだ」


 妻も見ているとの言葉に思わず首を傾げるクライシス。

 ぶっちゃけ自分の配信はかなり暴力的なところがあるし女性も見ているとは思わなかった。

 後、その暴力も一方的でイジメを連想させそうなものだから嫌いな人は嫌いだと考えていた。


「………思ったより女性の人も見ているんですね」


「うん?何か言ったか?」


「いえ何でもないです」


「女性も見ていることに驚いたみたいですよ?」


「……そうか。特にシクレちゃんとのコラボ配信の時は教えてくれって頼まれているな」


「そうですか……」


「……………」


 シクレは顔を真っ赤にしている。

 クライシスもいろいろなコメントやネットでの評価を調べて、そういう感情を向けられているんじゃないかと言われていることは知っている。


「じゃあ買う本は決まりましたし遊びに行きましょうか。金額を教えてもらってよいでしょうか?」


「あっ、お金はいらないよ。前の配信でお客さんが増えて利益も増えているし。これはそのお礼だ」


「良いんですか!?」


 それなら遠慮なくもらっていくことにするクライシス。

 お金も節約できるしありがたく感じている。


「本当に良いんですね?」


「あぁ。これはお礼の品だから本当に気にしなくて良いよ。いつも利用してもらっているしね」


「そうですか……」


 シクレはただより怖いものはないと警戒していた。


「それじゃあ、また来ますね」


「あぁ、また来てくれ」


 クライシスはそんなの関係ないと区切らせて店から離れようとし、店長はまた来て買ってくれるだけありがたいと思っていた。




「これから喫茶店に行きますか?」


「そうですね。早速行きましょう」


 クライシスの提案にシクレは頷く。

 先日の配信でコーヒーが美味い喫茶店に行かないか誘っているのを覚えているのだろう。

 もしかしたらコーヒーも好きなのかもしれないと心のなかでメモを取る。


「こちらから誘っておいてなんですけど美味しいコーヒーのある喫茶店を教えてもらっても大丈夫ですか?」


「はい。約束もしてましたし大丈夫ですよ」


 期待に満ちた目で頼んでくるクライシスにやはりコーヒーが好きなんだなとシクレは確信する。

 その喫茶店はケーキも美味しいし一緒に頼むことを決めてシクレも楽しみになっている。


「私はケーキも頼みますけどクライシスくんはどうします?」


「………。一旦メニューを見てからでよいですか?何があるのか実際に見てから決めたいです」


「そうですか?私は取り敢えずケーキを頼もうと思っています」


 メニューを見てから決めるのも当然だなと納得するシクレ。

 行ったことのない店だから何があるのか予想はできてもわからないし、シクレに聞かないのも何があるのか予想するのも楽しみにしているからだろうと想像できる。


「?そういえば店は今から行っても大丈夫なんですか?」


「時間なら、もう開いていますけど……」


「いえ。流石にお客さんでいっぱいだったら諦めるつもりなので……」


「……まぁ、そうですよね。店内は広いですから大丈夫だとは思いますけどお客様でいっぱいだったら諦めて違う日に改めて行きましょう」


「…………」


 クライシスはシクレの言葉に少しだけ驚く。

 諦めることになったら違う日に改めて行こうと誘ってくるのだ。

 それだけ美味しいのだと期待できる。


「どうしましたか?」


 シクレはクライシスの反応に首を傾げる。

 驚いた表情をしているのが気になったからだ。


「いえ。日を改めてまで行こうとするなんて本当にコーヒーが美味しいんですね」


「はい。きっとクライシスくんも飲んだら気に入ると思いますよ」


 クライシスが驚いていた表情をした理由を知って納得するシクレ。

 実際に飲んだら気にいるだろうという確信もある。

 後は店内が空いていることを祈るだけだ。


「あっ、着きましたね」


「あそこですか?」


「はい」


 そうして二人して店の中に入っていく。

 入ると店員さんや店の中にいる客までもが視線を向けてきてクライシスは不快にシクレは苦笑を浮かべる。

 そして開いた席を見つけるとクライシスは少しだけ乱雑に席へと座った。

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