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お金のために配信者になります〜えっ、人気がないとお金はもらえないんですか?〜  作者: 霞風太
十八章 夏休み 学園見学会

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百三十三話

「おはようございます!」


「おはようございます。こちらからどうぞ」


「絶対に入学してみせますので待っていてください!」


「……頑張れ」


 クライシスは学園案内の日、保護者と希望者の受付案内をしていた。

 結構な人数から視線を集め、中には絶対に入学してみせると意思表明している者もいる。


「少し良いか?」


「は…」


 声がした方向を向くと目の前に刃が襲ってくる。。

 それを首を傾げて避けながら襲ってきた武器は槍だと判断し柄を掴む。


「やる……」


 何か言っているが掴んだ柄を自分の下へと引き寄せ相手のバランスを崩す。

 そして手が届く範囲に頭が近づいたところで掴み目の前の机に叩きつける。


「急に何をするんだ?この場で攻撃をしてくるなんて危ないだろう?まさか良い歳した大人が周りの迷惑を考えずに急に襲うなんてなぁ?」


「………」


 机に叩きつけられた大人は反撃されて衝撃に何も言えなくなるが、次の瞬間には睨みつけ何かを言おうとしてまた頭を机に叩きつけられる。


「何か言ったらどうだ?」


 鼻の骨が折れた。

 歯も砕けて掛けてしまっている。

 頭からは出血もしていて顔面が血だらけだ。


「応えたらどうだ?こんな場所で喧嘩を売ってきたんだ。少しは俺の質問に答えるべきだろう?」


 髪の毛を掴んで持ち上げ尋ねる。

 襲ってきた以上、相手が誰であろうと容赦するつもりはない。

 問題になってしまっても、何かを失ってでも元凶になったこの男の関係者を全て襲撃すれば良い。

 そう考えて嗤ってしまう。

 きっと強い誰かと戦えると予想してしまったせいだ。


「ごめんなさい!これ以上はお父さんを許してください!」


「何でだ?試合でも申し込みでもなく奇襲を仕掛けてきたんだ?実力差があっても、ついで殺してしまうことも殺されてしまう可能性もあっただろう?」


「それは……」


 クライシスの言葉に何も言い返せなくなる少女。

 それは周りも同じでクライシスの行動に顔を青くした者はいても納得している者が大半だ。


 そもそも奇襲が弱者が強者の隙をついて攻撃する手段の一つだ。

 そして使った武器も刃引きがされていない。

 今はクライシスが奇襲に使われた武器で相手を切り裂いている。


 そして、どれだけ強くても実力差があったとしても事故は起こり得る。

 奇襲はその事故を起こしやすくするためのものでもあるし、刃引きしていない武器を使って襲った以上殺すつもりだったと思われてもおかしくない。


「それとも殺しに来ておいて自分は許されてると思っていたのか?そんなわけ無いだろう?」


「それでもお願いします!父親なんです!」


 涙を浮かべながら、それでも許してくれと少女は声を上げる。

 その様子にこの場で殺すのはマズいかとクライシスは少女の父親を投げ捨てる。


「それで何で俺を殺しに来たのか教えてくれるだろう?」


「多分ですけど実力を知りたかったんだと思います……」


「へぇ」


 娘だから自分も殴られ蹴られるんじゃないかと怯える少女。

 流石に彼女は何もしてないのだから許してほしいと動こうとし押さえつけられてしまう数名。

 自分たちの家族が被害にあってほしくなかった。


「取り敢えず、これをどうぞ?」


 そして差し出されたのは受付案内と一緒に渡していた学園のパンフレット等。

 流石にクライシスも奇襲に協力したわけでもない少女にまで暴力を振るう気はなかった。


「親御さんはいないが一人で頑張ったらどうだ?」


 他にも一人で見学に来た子はいる。

 それを考えればおかしくないし、何よりもこれ以上ここにいるのは怖くて逃げるように学園の中へと走り入る。

 そして校舎へと入ったのを見送ってクライシスは学園案内の受付を再開しようとした。


「何をやっているんですか!?クライシスくん!?」


「殺しに来たから反撃しただけだろう?」


「実力差があったんですから、少しは手加減してください!絶対に余裕ありましたよね!しかも学校の備品まで壊して!」


「奇「修理費とかどうするんですか!あなたが変わりに払うとでも言うんですか!?修理費を出すからと言ってすぐに直る理由じゃないんですよ!直るまでどうすればおっ!?」うるさいなぁ?まくし立てるなよ?」


「クライシスくん……!ごっ!?」


 その直後に叱りつける教師。

 クライシスが反論しようとしても大声で遮り聞こうとしない。

 だから殴り黙らせ、相手はクライシスの名前を呼びながら睨む。


「お前自分が言いたいことを言い終えたら去るつもりだったんだろう?こちらの話を一切聞くことなくなぁ?」


「ちがう゛っ!?」


「ならちゃんと話を聞こうとするだろう?それなのに話を聞こうともせずに責めてきたのはお前だろう?」


「………」


「なぁ?」


「お゛っ!?」


 応えない教師にクライシスは腹を思い切り蹴る。

 教師相手にすら暴行するクライシスに早まったかと見学に来た子や親たちは後悔し始める。


「……クライシスくん。……やり過ぎじゃあ」


「こういう相手は自分が言いたいことを好き勝手言って去るだろう?しかも頼み事をして頷いてもいないのに引き受けたことにしてくる。それで無視したら責めてくるんだよなぁ?」


「「「「「……………」」」」」


 心当たりがあったり経験したことがあるのか見学に来た人たちや学園の関係者も何も言えなくなってしまう。


「こういう奴らは自分がどうなろうと暴力でわからせないと理解しようとしないからなぁ?」


 だが、その言葉に自分には無理だなと諦めてしまう。

 そのせいで仕事を失って家族が養えなくなるようなリスクは重すぎた。

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