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お金のために配信者になります〜えっ、人気がないとお金はもらえないんですか?〜  作者: 霞風太
十七章 夏休み 学生たちへの鍛錬

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百三十二話

「クライシス、今良いか?」


「どうした?」


 クライシスの寮の部屋に隣の部屋の生徒が入ってくる。

 何の用だとクライシスは本を片手に首を傾げる。


「明日、学園に来てもらって良いか?バーベキューのことで色々と相談したいし。思った以上に人が来る予感がしそうだから役割分担もしたいんだよ」


「そうなの?わかった。明日のいつ頃に学園に行けば良い?」


「午後からお願い」


 生徒の言葉にクライシスは頷く。

 午後からなら予定はないし大丈夫だ。


「それにしてもバーベキューのことで相談したいなんて、どれだけ好きなんだ?今日バーベキューしたいって言ってきたばかりだよな?」


「え?クライシスくんも楽しみじゃないの?先生に許可を取りに行ったって聞いたけど」


「それぐらいでやる気が出るなら別に良いかなって。それに後になるほど面倒くさいし。それなら思い立ったら直ぐに行動したほうが良い。無理なら無理ですぐに諦めることもできるし」


「無理なら諦めるって……」


「実際学園の許可が出なかったら別の場所でやるか諦めるしかないだろ」


「別の場所があるのに諦めるのかよ」


「一つの学園の生徒が集まってバーベキューとか目立ちすぎないか?問題ないなら良いけど」


「大丈夫だろ。問題行動を起こすわけじゃないし」


 そんなもんかとクライシスは首を傾げ、生徒は納得させようと頷く。

 そしてクライシスは納得し急に中止になったら別の場所だけでも調べておこうと考えていた。




「あっ、来た」


 そして翌日の午後、クライシスは学園に到着する。

 学園の近くでは他の生徒たちもいてバーベキューについて話し合う生徒たちかと予想する。


「クライシスくん!バーベキューのこと直ぐに相談してくれたんだってね!ありがとうね!」


「本当に助かる。それで予定は最終日だよな」


「家族も連れて来て良い?先生も連れてくるみたいだし」


「…………」


 それぞれが同時に話しかけてくるせいで頭の中が真っ白になるクライシス。

 どれから答えれば良いのかわからなくて何も言えなくなる。


「クライシスくん?」


「……取り敢えず移動しませんか?」


「良いけど……。本当に大丈夫か?もしかして疲れてない?」


 バーベキューのことについて話し合う部屋に移動しようと提案するクライシス。

 その提案に生徒たちは頷くが本当にクライシスが大丈夫なのか不安になる。

 先程は自分たちに声に返答もしなかった。


 返答をしなかったのに不満があるわけではない。

 もう目が回っていたし、ものすごく困惑していて傍から見てもパニックになっていた。

 その状態で堪えられるわけ無いだろうと思ったし、調子が悪いなら休んだほうが良いんじゃないかと心配になる。


「キツそうなら休めよ?」


「?はい」


 よくわかってない様子に何があっても大丈夫なようにしっかりと見張っておこうと決心した。



「こんなもんか……。誰か他に気になることはないか?」


「連絡は寮長がしてくれんですか?掲示板に張り紙でもつけて」


「それ良いな。採用」


「用事があって寮から出る時に玄関の掲示板は見ますからね。あとは目につくように派手な色もしたほうが良いでしょうか?」


「あとは寮の出入り口ドアに張ったり、立て看板を用意して誘導したりとかでしょうか?」


「そんなに必用か?」


「あとで何で誘わなかったって文句を言われるよりはやり過ぎた方安全だと思います。皆バーベキュー好きみたいですし」


 ある程度決まると生徒への連絡はどうするかと話し合う生徒たち。

 教師たちは生徒と比べてかなり人数が少ないし連絡は取りやすい。

 だが生徒は逆に多すぎて連絡するのも把握するのも大変だ。

 なら誰もが見る位置に案内を置くのが一番楽だ。


「…………バーベキューが好きですか」


 それはそれとしてクライシスの発言に他の生徒達は白い目を向ける。

 バーベキューが好きになったのはクライシスが寮でやり始めたせいだ。

 これまでは寮でやるやつなんていなかった。

 だからこそ印象深く記憶に刻まれてしまった。


「その原因はクライシスくんなんですけどね?」


「バーベキューぐらいは普通にするだろ。あれが初めての生徒は流石に少ないだろうし」


「そうだけど。学園の寮でやり始める奴は普通はいないから、そのせいで記憶に刻まれているんだよ」


「あぁ、うん」


 学園の寮でやる奴は普通はやらないと言われてクライシスは何も言えなくなる。

 そのぐらいはクライシスにもわかっていた。

 ただ、ここまで生徒の皆がハマるのは予想外だっただけだ。


「後は参加費として金額をいくらか取る必要もありますけど、金額はどうします?」


「えっ。お金を取るんですか?」


「でないと参加する人全員が満足するまで食べれないと思いますし。もし足りなかったら追加分を買う必要もありますからね。それに余ったら寄付するという手段もありますから」


 生徒やその家族が満足する量はどのくらいの量が必用なのか、たしかにわからないなと納得する。

 まさか全部誰かが出してくれるのも難しいし参加者からある程度回収するのも必然かと理解できる。


「じゃあ早速張り紙などを作りましょうか?あとに回しても面倒ですし」


 その言葉に頷いて生徒たちは早速案内の張り紙などを作り始めるために、それぞれが自然と男子と女子たちで分かれて動き始めた。

 

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