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お金のために配信者になります〜えっ、人気がないとお金はもらえないんですか?〜  作者: 霞風太
十七章 夏休み 学生たちへの鍛錬

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百二十八話

「おつかれさまー。1時間後に組手するから、それまで各自休んでいて」


 クライシスのその言葉に殺意と殺気が消え去り生徒たちは崩れ落ちる。

 それを横目で見ながらクライシスは生徒たちの前から去る。

 午後の組手はどうするか考えながら弁当を買いに行った。



「っぷは」


 クライシスが視界から完全にいなくなったのを確認して生徒たちは漸く一息つく。

 ただただ殺気と殺意を耐えるだけなのに非常に疲れた。

 殺気だけならまだマシだったが殺意で本気で殺しに来ているんじゃないかと思わせに来て気が全く抜けなかった。

 比較的、余裕があった者も殺意で警戒心が抜けなかった。


「っかれたぁ〜。組手は何をすると思いますか?」


「以前は集まった生徒同士で組手をしたからな。今回もそうじゃないか?」


「相手はどうやって決めるんでしょうか?」


「くじ引きだったな」


 生徒たちはそれぞれ近くにいた者たちと話し合う。

 少し離れた場所にいる友人のところまで行く体力は残っていない。

 その場で回復する方が優先だ。


「それにしても本気で殺す気かと思ったぁ〜。皆はどう?」


「わかる」


「すごく怖かった」


「あんな殺気出せるの他にいないだろ」


 殺気が強すぎることに愚痴をこぼしてしまう生徒たち。

 鍛えるために必要だったとはいえ、かなりキツかったのだ。

 愚痴ぐらいはこぼし合いたかった。


「まぁ、でもこれで他の学園の生徒相手にビビることはなくなったし」


「わかる」


 おかげでどんなことをしてきても冷静に対処できる自信がついたと笑い合う先輩たち。

 後輩たちもたしかにと納得している者もいる。


「それにダンジョンでイレギュラーに遭ったときも冷静に対処できそうです」


「ほんとにな!どんな危機でもクライシスくんの殺気をぶつけられたときよりは安全そうだ」


 その言葉に笑い合う生徒たち。

 このままクライシスに鍛えてもらえば学園別の大会は余裕だなと考えていた。


「さてと………」


 話をしている最中、休憩の時間が終わりに近づいてきたことに気付く。

 当然、他の生徒たちも気づいていて準備をし始める。

 午後の訓練は組手だ。

 前回を参考にするなら何度も組手を繰り返すことになりそうだ。




「よし、決めた」


「え?あの……、どうかしましたか?」


「何がでしょうか?」


「いえ、さっき決めたって……」


「こちらの話ですので気にしなくて大丈夫ですよ」


「そうですか?」


「はい。この後の予定を悩んでいたんですが、ついさっき決めました」


「それなら良いのですが……」


 会計の途中で急に決めたと言うから更に注文を増やすのかと気になったが違うらしい。

 それなら安心して、そのまま会計を続ける。

 そしてクライシスはそれを受け取って去った。


「さてと、どこで食うか……」


 なんとなく先程まで訓練していた場所で食べる気にならない。

 だから良い場所がないか軽く探す。

 午後からも組手があるから少しだけだ。


「………ここで良いか」


 見つけたのは学園の屋上。

 風が吹いていて少しだけ涼しく感じる。


「…………」


 食べている最中、聞こえるのは自分の咀嚼音だけ。

 食事の最中に誰も話しかけてこず静かで心地よかった。

 たまに食べている最中に話しかけてくるからストレスが溜まることもあったから楽だ。

 しっかりと味わって食べることができる。


「午後からは組手だし疲れるだろうなぁ」


 午後からはクライシスも組手に参加するつもりだ。

 むしろ一人で他の生徒達全員と戦うつもりでいる。


「数が多いだけだし何とかなるだろうけど、やっぱり数がな……」


 クライシスからすれば勝てて当然だと判断しているが数が多すぎて面倒にも感じる。

 それだけ他の生徒達が弱いと判断していた。


「一気に終わらせるのもダメだし何時まで戦うか先に決めとくかぁ」


 相手は数が多いし途中で交代しながら休憩を挟んで回復も出来るから心配はいらないとクライシスは判断する。

 当然休憩している生徒たちは時間ギリギリまで襲わない。

 あとはその時間を何時にするかが問題だ。

 夕飯までは長すぎるしおやつの時間までは短いと思ってしまう。

 交代して回復できるから二時間は余裕のはずだ。


「休憩時間も必用だし三時間で良いか」


 夕方まで二時間も休憩もあれば回復して寮へと帰れるだろうとクライシスは判断した。

 そして組手の前に制限時間のことも教えることを決める。


「………流石に三時間も戦っていれば経験も積めて強くなれるよな?」


 相手が自分ひとりとはいえ格上相手に戦うのだから生徒たちも経験を積めて強くなれるはずだとクライシスは不安を誤魔化す。

 クライシス自身は様々な相手やそれらが連携して襲ってくる経験が積めて強くなれるはずだから利益があった。


 頼まれたとはいえ強くしなきゃいけないというのは面倒だなとクライシスは思う。

 相手のことを考えて導かなきゃいけない。

 また先生たちのことを尊敬してしまいそうになる。


 そしてやっぱり教師はなりたくないと思う。

 自分が一番大事だし他人のことを考えている時間があるのなら、その時間で自分を鍛えたいのだ。

 クライシスにとっても利益がなきゃ、やってられなかった。

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