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お金のために配信者になります〜えっ、人気がないとお金はもらえないんですか?〜  作者: 霞風太
十六章 夏休み 学園の課題

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百二十六話

「クライシスくん………」


「いじめる奴が一番悪いのはわかるけど……」


「まぁ、良いんじゃない?調べてみたらクライシスくんより周りの環境が悪いって意見が多いし」


「たしかにそうみたいだけど……」


「もう問題が起きなきゃそれで良いよ」


 クライシスの配信のあと、いじめの復讐について世間がどう思っているのか調べる配信者たち。

 自分たちはイジメられた経験もないからよくわからないところもあり最終的に自分たちに被害がなければそれで良いと結論を出す。

 調べた様子だと被害はでなさそうで安心もしていた。


「実際に一番悪いのはいじめっ子ですよね?単純に自分がいじめられて被害にあいたくないから口にしないだけで」


「そんなことは……」


 自分はいじめられたことはないがいじめられていた子たちのことを思い出す。

 自分には関係ないと見捨てたこともある。

 目をつけられたくなくて見て見ぬ振りをしたこともあるし促されて加わったこともある。

 それを思い出して恐怖で肩を震わせる。

 もしかしたら、それを理由に殺しに来るんじゃないかと想像したせいだ。


「それよりも最近のいじめについて調べませんか?どんな風に変化が出たのか気になりますし」


「変化って……」


「?これまで以上にいじめが酷くなるのか、それとも減ったのか気になりません?少なくとも復讐されることは学んだわけですし」


「復讐されるかもしれないのにひどくなるんですか?」


「だからこそ、そんな考えも持たないように酷くすると思いますよ」


 抵抗を考えることも出来なくするほどいじめるか抵抗される前に殺すか。

 いじめっ子も殺されたくないから先に殺してしまうこともありえる。


「それってやり過ぎたら死なない?」


「はい。でもそんなのは誰もが知っていることでしょう?」


「知らないが!?」


「?いじめを苦にして自殺というのは精神的に追い詰めすぎた結果じゃないんですか?物理的か精神的なの違いでしか無いでしょう?」


「………たしかに」


「………そうかもしれないけど」


 でも故意で殺しているわけじゃない。

 ひるがえって復讐で殺すのは最初からそのつもりだからぜんぜん違う。


「でも復讐で殺すのはやり過ぎだろ。いくら何でも殺すつもりはなかっただろうに」


「?そっちのほうが残酷じゃね」


「わかる。殺す気がない分、純粋に苦しめて殺したってわけだから残酷すぎる」


「やっぱいじめってクソね」


「…………」


 純粋に苦しめた結果殺すいじめの方が酷いと意見に全員が納得する。

 子どもが虫を踏みつけて遊ぶのが脳裏に浮かんで気分が悪くなった。




「クライシスくん……」


「どうしましたシクレ先輩」


「大丈夫だったんですか?」


「?何がでしょうか」


「いじめられて苦しくなかったですか?」


 寮へと帰る途中、いじめが辛くなかったと聞かれて苦笑するクライシス。

 思い出せば辛い苦しいよりもウザかった記憶のほうが強い。

 何をしても近寄ってくるし邪魔をして面倒だった。

 それにキレて手を出したら親が出てきて怒られたのがムカついた。

 教師もそれに乗っかって説教するのが心底嫌だった。


「いじめより反撃したあとが一番面倒だった。やりすぎだって怒るし、どんな理由でも手を出したらダメだって説教してくるし」


 そういえば反撃して怒られるのも嫌だから耐えていたこともあったなとクライシスは思い出す。

 被害者は俺なのに理不尽に怒られことを思い出して腹が立ってくる。

 当時もたしか悔しかったはずだ。


「そうですか……」


 クライシスの話を聞いていじめを耐える理由の一つがわかって頭の中にシクレは記憶する。

 夏休みの課題としても大事な情報だ。


「ある意味では親もいじめに協力しているんですね」


「そういえばそうですね。ただ単にしつこく聞いて嫌われたくないだけかもしれませんけど」


 本当にどうしようもないなとシクレは思う。

 いじめを無くすなんて無理なんじゃないかと諦めてさえいた。


「はぁ………」


「そういえば、そろそろ学園の生徒鍛える頃か。…………面倒くさい」


 思わずため息を吐くとクライシスも面倒くさそうにぼやく。

 夏休みも一週間に一度は学園に来て生徒を鍛えるよう頼まれたことを思い出した。


 少し気分が暗くなったし、どんな形でも体を動かしてスッキリしたい。

 キツイが自分も参加しようと思う。


「クライシスくん、その日私も参加しますね?」


「わかりました。ちゃんとタオルとか水とか持ってきてくださいね。結構厳しく行く予定なので」


「えぇ、わかりました。精一杯がんばります」


 クライシスが厳しいと言ったら厳しいのだろう。

 夏休みだし放課後の訓練より辛くなるのだろうと覚悟する。

 同じ学園の配信者たちも誘って頭をスッキリさせようとシクレは企む。

 きっと他の皆もいじめのことを調べて気分が重くなっているはずだ。


「同じ学園の配信者なら誘っても大丈夫ですよね?」


「別に構いませんよ」


 それなら問題は無いなとシクレは寮の部屋に戻ったら早速連絡しようと決める。

 当日までに覚悟も決めないと行けないなと今から集中し始めていた。

 そしてクライシスは今からやっても疲れるだけじゃないかと思って見ていた。

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