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お金のために配信者になります〜えっ、人気がないとお金はもらえないんですか?〜  作者: 霞風太
十六章 夏休み 学園の課題

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幕間4

「おらぁ!」


「おぇっ………」


 腹に鈍い衝撃が奔り思わず胃の中のものを吐いてしまう。

 痛みで息がしづらくも呼吸をしようとして息を荒げる。


「きったねぇんだよ!」


 吐いたことに汚いと途中で頭を蹴られてしまう。

 どこもかしこも痛く集中も出来ない。


「ムカつくんだよ!」


 転がって倒れているところを何度も何度も蹴られる。

 うめき声しか上げられず、更に蹴ってくる相手はずっと苛立っているまま。

 このままやり過ごそうとしても終わりそうにない。


「死ねや!」


 思い切り蹴り上げられて浮いてしまう。

 このままだと死んでしまうことを直感する。

 そして思い浮かんだのは『やり返さなきゃ、いつか死ぬ』という言葉。


「あぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 死ぬかもしれないと想像して声を上げる。

 怖かった。

 ずっと辛い目にあってきて、これからも助かる保証はなく死んだほうがマシかも知れないのに、それでも死ぬのが怖かった。


「はぁ?うわっ」


 だから死ぬ物狂いで反撃に出た。

 拳を握りがむしゃらに突っ込んでいく。

 死にたくなくて、まだ生きていたくて。


「調子乗ってんじゃねぇよ」


 不幸なのは相手が圧倒的な格上なことだろう。

 もし本気で殺しに来ても圧倒する余裕があった。


 掴みかかった手を逆に握り腹に膝蹴りを思い切り叩き込む。

 その痛みに力が入らなくなり崩れ落ちそうになる。


「これだけ終わるかと思ってんのかよ」


「おげっ……!?」


 何度も何度も蹴り上げる。

 悲鳴を上げて音がでなくなるまで続ける。


「うぉぼっ……」


 声がでなくなっても、また出るまで蹴り、そして踏む。

 二度と逆らえなくなるようになるまで躾けるつもりだ。


「おい……!」


 意識がなくなっても殴り起こす。

 無視されたように感じて無性に腹立ちを覚えてしまう。


「起きろや!」


 何度も呼びかけても起きないのを更に殴る。

 繰り返し殴り顎が砕ける音がした。

 更に殴る。

 鼻血が流れてきた。

 殴る。

 耳から血が流れる。

 殴る。

 目がはみ出る。

 殴る。

 顔が歪む。

 殴る。

 頭から血が流れてくる。

 殴る。

 顎が外れたまま涎が耐えてくる。

 汚くて殴る。

 血が自分の制服に付着する。

 更に怒りを抱いて殴る。

 ズボンに何か濡れた感触がする。

 それが相手の小便だと気づいて殴る。

 変な匂いがする。

 大便だと気づいて手放すためにも思い切り殴り飛ばした。


「ちっ、クソが……」


 これ以上、漏らすやつと関わりたくないとその場から離れる。

 そのまま気分転換に友人と遊ぼうと連絡を取っていた。




 翌日。


「先日、同級生を殺した疑いがありますので任意同行お願いします」


「は?」


 家に来た警察にそんなことを言われて理解できなかった。

 手帳と写真を見せられる。

 写真はどうやら昨日躾けた奴でどうやら死んだらしい。


「調べたところ昨日過剰な暴行を加えたらしいですね。その結果写真の彼は死にました。詳しい話を聞かせてもらいます」


「………は?」


 何を言っているのか理解できない。

 死ぬなんて冗談だろうと思い笑おうとする。


「警察も暇なんですね。そんな冗談……」


「こんな冗談を誰が言うと思っているんだ!人を殺した責任はとってもらうぞ!聞いたところ明らかに様子がおかしくなったのに殴り続けていたらしいな!なんでそこで止めようと思わなかったんだ!」


 そうしようとして激怒される。

 その様子に段々と真実だと察してきて顔を青くする。


「来い。相手の家族もお待ちだ。そちらの家族も来てください」


「あの!?息子が人を殺したなんて本当なんですか!?」


「はい。最後の方は見ていた者もいるそうです。念の為に指紋も確認してもらいますがほぼ間違いないでしょう」


「そんなっ……」


 泣き崩れる母親。

 父親は息子に怒りを抱くが、もし嘘だったら許さないと警察も睨む。


「お前がァァァァァ!!!」


 そして警察署につくと憤怒の表情で掴みかかろうとする大人の男女が居た。

 途中で警察たちに取り押さえられており本気の殺意をぶつけられてビビってしまう。


「それでは指紋をとらせてもらいますね」


 殺人者にさせないために距離を離され指紋を取られる。

 途中で父親に本当は人を殺してないよなと確認され、母親からは手を握られる。

 そして結果は犯人だった。


「なんでそんなことをしたんだ!」


 結果がわかると父親は泣きながら怒り、母親はもう泣いて何も言えなくなっている。

 当然相手の両親は警察が抑えているが、いなかったら自分のすべてを使って殺しに来ていたかもしれない。

 そう思わせるほどの殺意が視線にこもっている。


「殺してやる!」


「なんで殺したのよ!貴方に何をしたっているの!?」


 何もしていない。

 最初はなんとなく気に入らなくて。

 何をしても反撃してこないから都合の良いストレス発散のための道具にしか思っていなかった。


「お二方、お気持ちはわかりますが、まずは法に裁いてもらいます」


「ふざけるな!」


「あなた達が人として正しくても法に則らないとあなた達まで犯罪者になります。そうなったら息子さんも悲しみます。ですからどうかこの場は抑えてください」


 人殺しだという証拠がある。

 両親からは失望した目で見られ、相手からは必ず殺すという殺意で見られる。

 おそらくは学校でも広まっているだろうし退学させられるだろう。

 これからどうやって生きて行けばよいのかわからなくて足元が崩れ落ちてしまいそうだった。

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