表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お金のために配信者になります〜えっ、人気がないとお金はもらえないんですか?〜  作者: 霞風太
十六章 夏休み 学園の課題

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

149/294

幕間1

「おい!ちょっと面貸せよ」


 席に座っていると、いつものように声を掛けられる。

 ニヤニヤと笑っており、ちょっとと言いながらいつものように殴ったり蹴ったりと暴行を加えるのだろう。

 周りは目の前の男と同じ様に笑っている者もいれば、関わりたくないと目を逸らしている者がいる。


「おい!聞いてんのか!?」


 胸ぐらを掴まれて顔を合わせられる。

 不機嫌そうな表情で、いつもなら恐ろしく感じていた。


「聞いてんのかああ゛っ!!?」


 顔を合わせるということは顔が近くにあるということで顔の部位を狙いやすくなっている。

 だから、まずは目を指で貫いた。


「「「「「「「………きゃぁぁぁぁぁぁ!!!!?」」」」」」」」


「「「「「「「………うわぁぁぁぁぁあぁ!!!!?」」」」」」」


 目を潰された光景に周りから悲鳴が聞こえてくる。

 それをどこか他人事のように聞きながら、もう一つの目を潰す。


「いぎぃあぁ!!!」


 前に見た配信で見たとおりだ。

 自分が仕返しされると夢にも思っていないから反撃をモロに食らっている。

 痛みで悶え転がっているのを見ると自然と笑みが浮かぶ。


 そうして思い出す。

 何日も何日も暴行やお金をカツアゲされたこと。

 弱みを握るために全裸にされたり、その写真を理由に虫を食わされたこと。

 まだまだ今までの仕返しが済んでいない。

 逃げられないようにマウントを取る。


「死ね」


 拳を振り下ろしながら自分でも驚くくらいの冷たい声が自然に出た。

 何度も何度も拳を振り下ろし肉を叩く感触が返ってくる。

 その度に聞こえてくる悲鳴がまだ生きていることを伝えてくる。


「ぶっ……。ぎゃっ……。ごっ……。ぶぶっ……。あびっ……。やめ……」


 取り敢えずは音が聞こえなくなるまで殴ることに決める。

 周りは誰も止めようとしていない。

 それは邪魔も入らないことを意味して都合が良かった。





 どのくらい殴り続けていたのだろう。

 男の悲鳴がだんだんと小さくなってきた。

 あと何発殴れば完全に黙るのかと思いながら殴り続ける。


「もう止めろ!殺す気か!?」


 腕を掴んで止めて来たのは教師だった。

 イジメられているのを知っているし見ないふりをした。

 何なら笑いながらやり過ぎるなよと口にしていた。


「イジメられていたからってやり過ぎだろうが!!」


 今の自分は逃げられないためにマウントを取っている。

 そして腕を掴んでいる教師は少し腰を下ろしながらも立っている。

 丁度良く股間がもう片方の腕が当たる位置にあった。


「うるさい」


 だから殴った。


「お゛っ………」


 股間を押さえて崩れ落ちる教師。

 完全に地面に倒れる前に髪を掴む。


「ごっ……!?」


 そのまま頭を床に叩きつけた。

 直後に赤い液体が床に垂れ落ちたのを確認し、それは鼻血だと直感する。

 一発で鼻血が流れてきたことに驚きつつも、それから何度も床に叩きつけてから放り投げた。

 別の相手に意識を向けたことで思い出したことがあったからだ。


 まずはマウントを取っていた男のポケットをまさぐる。

 そして目当ての物を見つける。

 この中に自分の裸の写真などが保存されている。

 パスワードなどはわからないが本人に聞けば良い。

 そう考えて視線を向けると両眼から血を流していた。


 最初に潰してしまったことを思い出しながら、他のやつに聞けばよいかと考える。

 仲が良くて普段から一緒にいる奴なら予想できるやつもいるかもしれない。

 そう考えて自分をイジメているときにいつも隣にいた相手に聞くことにする。


「なぁ、こいつのパスワード知っている?」


「…は、はぁ?知るわけねぇだりょっ……!」


 知らないらしいので言い切る前に頭を机の角に叩きつける。

 本当かどうかは知らない。

 だけど、これで下手な知らないアピールはできなくなる。

 嘘を言ったら攻撃されてしまうからだ。


「し、知らない!指の動きなんて、そんなの見てないもん!」


 真っ先に知らないと主張する声。

 それを切っ掛けに納得できる理由で主張してくる。


「うぇっ……」


「でもお前写真とか動画とか持ってるよね?」


 だから最初に主張した女の子の首を片手で掴んで締める。

 よく一緒にイジメてきて、一緒にその光景を複数人で笑いながら動画や写真に撮っていた一人だ。


「俺はイジメてきた奴らも笑っていた奴らも黙ってみていた奴らも全員覚えている。黙ってたやつから割るようになった奴も。笑っていた奴らが黙るようになった奴も」


 絶対に忘れないし、忘れられない。

 だから誰も彼もがモンスターと同じ敵としか見れなくなった。


「質問を変えるけど写真や動画は持っている?なら寄越せ」


 顔を青白くさせながら頷く女の子。

 解放されてぜー、ぜーと息を吸っているところに蹴りを叩き込む。

 安堵して息を吸っている姿が気に食わなかったせいだ。


 その行動に誰も口を挟めないし止める者もいない。

 単純に反撃に出た男の子が怖いからだ。

 今までイジメを見てきた。

 だけどふざけて遊んでいるだけで、それには殺意がなかった。


 だけど今の男の子は違う。

 本気で殺しにくる確信があるせいで怖くてしょうがなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ