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お金のために配信者になります〜えっ、人気がないとお金はもらえないんですか?〜  作者: 霞風太
十六章 夏休み 学園の課題

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百二十一話

「次は市役所に行きましょう」


「わかりました。次は話を聞いてメモをするだけで良いですよね?」


「………そうですね。何人も話を聞けるとは思えませんし。相手をしてくれた人だけにしましょう」


 シクレの意見にクライシスは頷く。

 学園のように何度も気楽にいけるような場所じゃないし、事前に連絡をしなきゃいけないのだ。


「どんな対策をしているのか楽しみですね」


「………はい」


 シクレは良い話を聞けそうだと期待し、クライシスは全く期待していない。

 どうせ何を言っても口だけだろうと考えていた。



「はじめまして。君たちが話を聞きたいと連絡してきた学園の生徒かな?」


「はい」


「そうです。イジメの問題と対策について話を聞きに来ました」


 わかった、と頷いて担当者に着いてくるように指示される。

 職員以外は入らない奥へと進み、階段を上り案内された先は三人で使うには広い部屋。

 少し勿体なく感じてしまう。


「わかった。取り敢えず好きな席に座って話を聞いてくれ」


「はい」


「ありがとうございます」


 二人が座るのを確認すると担当者は頷き、後ろからはどうぞという声と一緒に飲み物を渡される。

 シクレは緊張していたのか最初から直ぐ近くにいたのに女性に気づいていなくて驚いていた。


「メモとかは大丈夫ですか?」


「あっ、はい!」


「今から取り出すので、ちょっと待ってください。…………大丈夫です」


 メモ帳を取り出し机の上に置くクライシス。

 シクレもメモをする準備は出来ている。

 その様子を確認してホワイトボードに書きながら話し始めた。




「…………こんなところでしょうか?」


「ありがとうございました」


「どんな対策を取ろうとしているか今まで知らなかったので勉強になりました」


 二人の言葉に満足気に頷く。

 ついでだから二人からもイジメの対策について、どう思うか意見を求める。


「前々からしているんですよね?」


「ん?そうだな」


「でも俺もここにいるシクレ先輩も知らなかった。イジメの対策をしていると誰もが知っているようにしないと効果は無いと思います」


「…………なるほど」


「あとはイジメに対する法を定めて執行したり、他にはイジメの証拠を集めれるような道具を生徒全員に渡すとか」


 まぁ、無理だろうなと思いながらクライシスは提案する。

 イジメの証拠なんて動画を撮るにしても生徒全員に渡すとしたら、どれだけの費用がかかるのか。

 証拠を消すために壊されたら、それの修理でも金額がかかる。


「良い案だけど費用がね」


「あっ、やっぱり?」


 予想通りに提案を否定したことにクライシスは何も驚きもなかった。

 良い案があったとしてもお金の問題で否定するのは予想できていた。

 きっとこれからもイジメの対策に金をかけることなく結果を出せないままなのだろう。


「君は何かありますか?」


「私はもっとポスターだけでも設置するべきだと思います。あとイジメの被害者がどうなったかも」


「なるほど。ポスターを増やすですか。……良い案ですね。直ぐに実行できそうです」


 ポスターなら費用もクライシスの案より金もかからないだろうし実行しやすい。

 だが今のポスターの数でも少ないだろうかと疑問だ。


「ポスターの数は今のままだと少ないか?」


「少ないですよね?」


「少ない。学園だけでなく会社や駅にもしつこいぐらい合った方が良いと思います」


「少ないか……」


 ポスターの数が少ないと言われて担当者はちょっとショックを受ける。

 それは後ろにいた女性も同じだった。


「具体的にはどのぐらい必要だと思う?」


「施設の階数ごとに一枚は必要だと思います。一階なら一枚、二階なら二枚というように」


「なるほど……」


 たしかに量は多いが、そのぐらいなら楽にこなせる。

 ポスターを貼る場所は学園と生徒たちがよく使う店だけで十分だろう。


「他に何か意見はないかい?どれも参考になるから、もっと聞きたいんだが」


「イジメだと思っていたのが実際は犯罪だと知らせるとか?暴力は暴行罪に繋がるだろうし、私物を壊されるのは器物破損。隠したり盗んだら盗難だし」


「流石にそのぐらいはわかっているだろ」


「?わからないからやっているんだと思いますよ?それに隠れて本人には誰がやったか分からないようにやるから被害者は言えないんだと思いますし。盗んだ本人が違ったら冤罪で自分が悪人にされてしょうがなくなるし。つうか共謀して盗んだ相手が別の相手に託して自分は違うと言ってくるし」


「………どうすれば良いんでしょうね?」


「クラスか学校全体を訴えるとか?あとは無関係だろうが関係なくクラス全員を半殺しや拷問して聞き出すとか……。自分は関係ないと見てみないふりする奴もいるし」


「ダメだよ?」


「教師より強くないと途中で止められるから失敗しますよ?」


 その言葉に背筋が凍る。

 先程からずっと経験してきたように語る。

 イジメの内容も。

 そして反撃の内容もだ。


「イジメられたことがあるんですか?」


「………まぁ」


「………そうですか」


 きっと当時の教師がいなかったら本気で殺していたのだろう。

 それだけイジメの被害者は加害者に強い恨みを持っている。

 そしてイジメの被害者は今もいる。

 目の前の彼のように力を持ったらと考えると恐ろしい。

 今にもイジメの復讐で死者が出るんじゃないかと不安になった。

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