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お金のために配信者になります〜えっ、人気がないとお金はもらえないんですか?〜  作者: 霞風太
十六章 夏休み 学園の課題

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百二十話

「まずは私達が通っている学園からですね」


「その次は近くの学校と塾などでしたっけ」


「はい。良い話を聞けると良いのですが」


「…………」


 クライシスとシクレは一緒に行動して話を聞くことになった。

 当然ながら他の配信者がそうなるように仕向けていたし、そのことにシクレは感謝しながらも押し付けられたことに不満を覚える。

 最低でも、あと一人は欲しかった。


 そしてクライシスはシクレの良い話をと聞いて無理だろうなと考えていた。

 どうせ誰に聞いても同じようなことしか言わないし実行もしていない。

 実行していても形だけで本気で何とかしようとしているわけでもない。

 どうせ無駄だろうなと思っていた。


「さてと何処から行くべきか……」


「職員室で良いと思いますけど、いない者がいても聞きたいことをプリントして提出してもらえば良いでしょうし」


「……良いのでしょうか?」


「学園からの課題ですし、それで協力しなかったら教師を悪者できますよ?」


「……先生たちのこと嫌い?」


「……別に」


 あっ、これは嫌ってはないのだろうが思うところはありそうだなとシクレは理解する。

 どうせ訓練のことだろうなと思うが、それはそれとしてプリントはどうするのか疑問だ。


「ここでコピーすれば良いんじゃないんですか?よく考えたら他の塾や学園でも同じことをすれば時短になるんじゃ?」


「たしかに……。でも実際に行って挨拶するのも大事だと思います」


「それもそうか」


 会話をしながら職員室へと歩いていく二人。

 やっぱり実際に会って頼んだほうが快く協力してくれるだろうなと話し合っていた。



「すいません、先生たちはいますか?」


「どうした?」


「自由研究の課題で先生たちの意見も調べたいんですけど今大丈夫ですか?」


「それなら全然オッケーだけど何が聞きたいんだ?」


「取り敢えずプリントを渡すのでそれに記入してくれたら嬉しいです」


「わかった」


 クライシスたちの訪問と頼みを教師は快く受け入れてくれた。

 課題で聞きたいことがあったり意見を求められることもあるから、そのぐらいなら容易い。


「ふぅん。プリントだけ?」


「?はい」


「人数分はあるんだよな。ならちょっとこっち来てくれ」


「?」


 クライシスとシクレの二人は顔を見合わせて自分たちを呼んだ教師へと近づく。

 そして一枚の紙と箱を渡された。


「先程作ったけど教師の一覧表と書いたプリントを入れる箱。一覧表の横にはチェックシートもあるから提出した教師には印をつけてもらうようにしたほうが良いと思うぞ」


「………ありがとうございます」


「一応期限とかはあるか?あるなら、この日までにと書いておけばよいし。そこのホワイトボードにデカく書いても良いぞ」


「えっと……。ありがとうございます」


 自分たちでは気付かなかったことを指摘して修正してくれる教師にありがたく思いつつも、まだまだ詰めるべきところはあったと二人は恥ずかしくなる。

 教師は恥ずかしそうにしている二人を見てまだまだ未熟だから当然だろうと微笑ましげだ。

 ただクライシスに関してはその部分があったことに少し安堵していた。


 やはり戦闘以外ではまだまだ学ぶことがあるんだと。

 他の教師にも伝えて戦闘以外のことについて熱心に教えていけば良い。

 なんなら自分たち教師も鍛えてもらっている側だし少しぐらい問題は無いはずだ。


「出張している教師とかはいないんですか?」


「うん?そうだぞ。少なくとも一週間以外に教師は一度は全員職員室まで来るだろうし。あと自由研究の課題だろ?それなら直ぐに提出してもらえると思うぞ」


「えっと。それじゃあお願いします」


「わかった。それじゃあ1週間後にまた来てくれ。箱はここに置いておくから」


 プリントと箱をホワイトボードの近くに置く教師。

 ありがたく思いながら二人は頭を下げて職員室から去っていった。



「いや〜、思った以上にクライシスくんは未熟でしたね」


「えぇ。思えば暴力で解決するというのは、そのあらわれだったんでしょうね」


 シクレとクライシスが去った後職員室にいた他の教師たちと会話する。

 内容はクライシスの未熟な部分について。

 自分たちが教えるべき部分があったことに教師たちは笑みを浮かんでいる。


「とりあえず鍛えるべきは交渉術でしょうね。今回ので交渉に関してはまだまだ未熟だということがわかりましたし」


「えぇ。全くです」


 シクレもクライシスもまだまだ未熟。

 だからこそ教えがいがある。


「あんまり暴力で一方的に交渉すると嫌われますし、まずは無償で引き受けることも教えたほうが良いでしょうか?中にはそのことに恩を感じて、それからは便宜を図ってくれることもありますし」


「あるある。結構助けられたことに感謝してくれる人いるよな」


「渡しなんてこの前、昔助けた農家の人に野菜を送られましたよ」


 こういう身近な人の実話を話していけばクライシスも理解して納得してくれんじゃないかと教師たちは予想する。

 今度、その顔を向き合わせて話してみようと考える。

 頭は悪くないのだ。

 きっと理解してくれると信じていた。

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