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お金のために配信者になります〜えっ、人気がないとお金はもらえないんですか?〜  作者: 霞風太
十四章 一日中デートしながら配信

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百十一話

「まずはここですね!」


 学園から出て最初に寄ったのは学園で最も近い本屋だった。

 立地のせいか漫画といった娯楽本は比較的少なく、その代わり参考書などは品揃え豊富だ。


「ここは参考書が豊富だと説明すれば良いですよね?次の店に行きますか?」


「そうですけど、ちょっと買いたい本がありますので待ってもらって良いですか?」


「大丈夫です」


 参考書が豊富な店だと知っているから次の店に寄ろうと提案するクライシスにシクレは買いたい本があるから入りたいとお願いする。

 クライシスもそれぐらいなら構わないと頷いて待つことにする。


「いらっしゃい!二人共、配信は今日だったか!?」


「いいえ。今日は本を買いに来ました。当日はお願いします」


 シクレの言葉に合わせて二人は頭を下げる。

 その様子に笑いながら頭を下げなくて良いと店長は言う。


「こっちは昔から学園の生徒を相手してきたんだ。そのぐらい構わないって」


 それならと遠慮なく配信させてもらおうとクライシスたちは心に決める。

 店内の様子も配信して良いのかと確認して快く承諾も受け、シクレも欲しかった本も買い店を後にした。



「それでシクレ先輩は何の本を買ったんですか?」


「秘密です♪」


 クライシスの興味本位の疑問に指を唇に当てて答えないことにするシクレ。

 少し興味があっただけなのもあって教えてもらえなくても気にならなかった。


「それで次は……」


「先ほどの店とは真逆で娯楽本が多く売られている店です。クライシスくんは何か買うものがありますか?」


「今は特に欲しい本は無いんですよね……」


「そうなんですか?なら欲しい店に寄るついでに良さそうな本が見つかると良いですね」


 シクレの言葉にクライシスは頷く。

 だが部屋には読み終わっていない本もあるし読み直そうと決めている本もある。

 それらより優先して読みたく鳴るような本があったら買うつもりだ。


「いらっしゃいませー。あっ、もしかして配信する予定の人ですか?」


「はい。当日はよろしくお願いします」


「はいっ。こちらこそ」


 店の中に入ると早速とばかりに挨拶される。

 年若く自分たちと変わらないぐらいの年齢の店員さんだ。


「店長ー!配信者さんが来ましたよ!」


「わかった!こっちまで案内してくれ!」


 声が聞こえてきた方に案内される。

 店員しか入れない場所まで進んでいき、少し大げさじゃないかとクライシスは首を傾げてしまう。


「その……。大丈夫ですか?先程から凄く緊張してますけど?」


「はい、大丈夫です。それよりも、この先に店長がいますので、これで……」


 そう言って足早に去っていく店員。

 その姿に確かに緊張や怯えが見える。

 何かしてしまったかと心配になる。

 もしくは店長が怖い人なのかと想像する。


「来てくださってありがとうございます。どうぞ、そちらにおかけになってください」


 やたらと丁寧に対応してくれる店長に少し疑問に思いながら言葉に甘える。

 机の上にはお菓子や飲み物も準備されていた。


「それでうちの店を配信したり紹介するんですよね?」


「はい」


「こちらも最大限配慮しますのでどうか暴れたり、うちの者に危害を加えないでください」


「危害を加えられない限りしませんよ?」


 どうやらクライシスの暴力に店側は怯えていたらしい。

 案内してくれた店員もクライシスがいつ暴れるかわからなくて怯えて震えていたのだろう。


「本当ですか?」


「はい。これでも俺が危害を加えたことがあるのは相手が危害を加えた相手だけですよ。自分から嫌いだらとか自分勝手な理由で危害を加えたことは有りません」


「それなら良いのですが……」


 こちらが危害を加えない限り何もしないと聞いて少しだけ安堵する姿を見せる店長。

 その姿にクライシスは配信でも危害を加えることはあっても相手が攻撃してからなのにと少しだけ苛立ちを覚える。


「だから危害を加えようとしないでくださいね?」


 だから危害を加えないように釘を刺しただけなのにひどく怯えられてしまった。



「怯えられたなぁ」


「危害をそちらが向けなければ良いだけなのに聞いていないのでしょうか?」


「実際の人となりは知らないから信じられないんだろうけど誰彼構わずに暴力振るわれると思われてたのはショックですね」


 ショックと言うが、そんなに落ち込んでいない様子のクライシスに本気で言っているのかとシクレは疑いの目を向ける。

 本当はまぁ、そんなもんだろうと諦めているんじゃないかと不安になる。


「…………私は誰彼構わず暴力を振るわないことを知っていますから!」


「えっ、はい……?」


 急に自分は貴方を知っていると言われクライシスは困惑する。

 よく一緒に配信しているし他の人よりも知っていると言われたら、そうだろうなとしか思えなかった。


「それで次の店はどこでしたっけ」


「次は………」


 クライシスは次の店を確認しながら次はどうなるかなと想像する。

 次も店員も店長も怯えていたら笑う自信がある。

 そしてシクレは次の店は怯えられないか不安になる。

 もし怯えられたらクライシスもショックを受けるだろうし、もしかしたら本当は嫌だったのにクライシスに怯えて許可を出したんじゃないかと心配になった。

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