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お金のために配信者になります〜えっ、人気がないとお金はもらえないんですか?〜  作者: 霞風太
十四章 一日中デートしながら配信

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百八話

「はぁ………」


 クライシスは学園から去った後、ダンジョンに潜りため息を吐く。

 生徒である以上、日が暮れていると今までは注意を受けていたが今回はなかったことにラッキーだとは思っている。

 それはそれとしてため息を吐きたくもなる。


「ピギュッ!?」


「ギュオッ!?」


「ピィ!?」


 ずっと自分以外の誰かが戦っているのを見ていた。

 中には自分も戦いたいと思った生徒もいたが我慢しなきゃいけないことにストレスを感じていた。

 だから今クライシスはダンジョンで暴れていた。


「ギュビ……!?ギュビ!?」


「ギュルル……!?」


 音もなく仲間が死んでいくのに迷宮のモンスターは悲鳴を上げる。

 一体何が起きているのか理解できず困惑していた。


「ギュ……!?」


「ギュピ!?……キュピキュピ!?」


 そして最後の一匹となるともう何もかもが理解できずに、この場から逃げようと行動をし始める。

 だがクライシスはそれを見逃すことはなくモンスターの首に手をかけ骨をへし折った。



「まぁ、こんなもんか……」


 モンスターの集団に一切視認させることなくクライシスは全滅させる。

 もしかしたら途中で認識されるかもしれないしれないと考えていたが、そんなことはなかったことにクライシスは少しだけ満足げな表情を浮かべる。


「このまま今日は奇襲の練習でもしようかな?」


 相手に認識されないというのは便利だ。

 隙だらけで警戒もしていない。

 偶に警戒していても、どこか油断がある。

 そして、いつどこで攻撃されるかわからない。

 だから奇襲というのは絶好の攻撃するチャンスだ。


「…………いた」


 目の前には都合よく人型のモンスターが見つかる。

 組手では煙やら壁やらを自分で作り出して隠れ奇襲を仕掛けていた者たちもいた。

 それを見てクライシスも自分でもやってみたいとなった。


「ゴ……!?」


 そういえば奇襲を仕掛けていた者たちは誰もがスピードが優れていたなということを思い出すクライシス。

 突撃してすれ違いざまに攻撃したり、攻撃したら直ぐに別の場所に移動したりと並より速度に優れていた。

 そんなことを思い出しながらクライシスも圧倒的な速度で近づいてモンスターの首を切り落とす。

 何が起きたのか分からずに死んだのがモンスターの最後の表情を見て察せてしまう。


「さて、どこまで気付かれずにモンスターを殺していくことができるかな?」


 奇襲がどこまで成功できるのかと楽しくなってくるクライシス。

 気付かれたら失敗したとしてダンジョンから帰るつもりだ。

 もはやミニゲーム気分である。


「どこまでいけるか楽しみだ」


 自分は奇襲なんてあまりしないから技も未熟でどうせ直ぐに終わるだろうなとクライシスは考えていた。



「終わらない………」


 そして数時間後、クライシスは深くため息を吐いた。

 様々なモンスターを相手に奇襲を仕掛けたが未だに成功しかしていない。

 それどころか普段では手に入るのも稀なレアドロップばかり落ちている。

 それの回収にも時間がかかってしまった。


「なんで……?」


 普段なら何時間粘っても落ちないレアドロップが今は大量に落ちている。

 レアだから勿体なくて回収するが普段からこうなら良いのにと不満を持つ。


 これはもう適当な時間で切り上げた方が良いなと考え直した。

 ドロップの回収に全く対処できる気配もないモンスター。

 何時まで経っても終わらないのは飽きが来るし、もう帰って寝たい。


「………帰るか」


 そうと決まればダンジョンから脱出することに決める。

 そして脱出のために進んでいるとばったりと十数体を引き連れているモンスターと出会う。


「なんでだよ」


 脱出すると決めた瞬間、モンスターに気付かれたことにクライシスは思わず毒づいた。

 そして武器を振り上げているモンスターを筆頭に全てを一瞬で殲滅した。


「面倒くさいなぁ?」


 クライシスからすればダンジョンから脱出しようと決めたのに次の瞬間から襲われるのはひどく面倒だ。

 思わず不機嫌にもなってしまう。

 大量にドロップが落ちるが回収するのも面倒くさい。

 放置することにする。


「もう知ったことじゃないなぁ?」


 もう奇襲をするつもりもない。

 今までは慣れない奇襲を常にしかけていたから時間もかかった。

 だから今までよりも進む速度が上がる。


「グル……?」


「ギュ?」


「ピギュっ!?」


 モンスターを見つけても倒さずに素通りし、どうしても邪魔になったら殺して突き進む。

 それだけ最初の何倍も速度が違う。


「あっ、お帰りですか?」


「あっはい」


 ダンジョンから脱出すると目の前にギルドの受付がいた。

 普段ならギルドに居るのにダンジョンの前までいることに疑問を持つ。


「お疲れ様です。飲み物とタオルをどうぞ」


「………ありがとうございます」


 ギルドの受付がここまでしてくれることに首を傾げるクライシス。

 困惑しながら受け取る。


「今日はダンジョンに挑んでいるのはもう君だけですよ。夜も遅いですしギルドで泊まっていきますか?朝早くに戻れば学校にも間に合うでしょう?」


「………そうですね」


 朝、生徒たちを鍛える前に次の日の準備はしていた。

 訓練を監視するのに疲れるだろうと考えたからだが、今となっては都合が良い。

 正直に言って、もう眠くてしょうがない。


「じゃあ仮眠室に案内するので、そこで休んでください」


「………ありがとうございます」


 ギルドの受付に甘えて仮眠室のベッドに倒れるクライシス。

 数秒もしないうちに寝てしまっていた。

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