百三話
「クライシス!今週末に鍛えてくれるってマジか!?」
「昨日もいったけどマジ。参加したいやつは好きに来て」
「おう!」
週末に1日中鍛えてもらえるのか確認するクラスメイトたち。
クライシスの首肯に気色満面の笑みで雄叫びを上げる。
そんなに嬉しいものなのかと首を傾げてしまう。
「…………まぁ、良いか。今日はもう鍛えないで週末の準備にするか?集中して鍛えないと効果は見込めないし。疲れが溜まりすぎても問題だろ?」
「…………そうか?」
「むしろクライシスくんの準備のほうが大変なんじゃない?一人で何人も相手をするわけだし」
「特に必要なものは無いと言ってたけど、たしかに……。本当に何も必要は無いんだよな?」
「無いから安心して」
ちょっと食器やスプーンなどのカトラリー、後は食料の準備をするぐらいだ。
何人来ても良いように大量に準備する必要はあるが逆に言えば、それぐらいだ。
お金も大量に余っとぃる。
「なら良いけど……」
ちょっと不安になるクラスメイトたち。
1日中ということは最低でも昼は食べるはずだ。
何も準備しなくて良いと言っていたが、どうするつもりなのか疑問だ。
「昼とかどうするんだ?」
「食料とか買ってくる。何人かは一緒に料理も作ってもらうつもり。それ用の人も頼む必要はあるかな」
「………買ってくる?」
「学校の勝手に使うのもアレだし、そもそも足りるかもわからないしな」
「「「「「ちょっと待て!」」」」」
クライシスの考えを聞いてクラスメイトの全員が必死に止める。
流石にそこまでしてもらうのは気が引ける。
先に確認しておいて良かったと安心さえしていた。
「………どうした?」
「流石にそこまでしてもらうのは気が引けるんだが?」
「普通に弁当持参とかにしない?」
「別に良いぞ」
「えぇ〜。一緒に作ったほうが楽しくない?」
「そんな体力あるのか?」
「それはそう」
「いや、皆で作ってもらう!」
「料理の時間で鍛える時間も減りますよ」
クラスメイトで意見を出し合っていると教師が入ってくる。
そして皆で作ってもらうという言葉にクライシスは、その時間がもったいないと否定の声を上げる。
「いや〜。クライシスくんにはそうかもしれないけど協力する機会はあればあるだけ良いからな!特にパーティ戦やタッグ戦に挑む者たちは。だから組み込んでくれ」
「………わかりました」
「あと食料はこっちで準備するから安心してくれ。君が自腹で用意しなくて良いから……!」
先生も教室の外から聞こえていたんだなと察する生徒たち。
何でもかんでも生徒が準備するのも肩身が狭いだろうなと同乗する。
「何人来るかわかりませんよ?」
「わかっている。だが最低でも前日までには締め切ってもらって良いか?あとから乱入は無しで」
「…………良いですよ」
「すまんな」
まぁ良いかと教師の提案を受け入れいるクライシス。
そんなクライシスを見て教師は善意に乗っかかる上に色々と口出しして迷惑だろうなと謝罪する。
「料理は決まったもの……。カレーで良いか」
「そうだな。また後で話をするかもしれないけど頼む」
また話し合いかとため息を吐くクライシス。
だが教師たちも学園別の戦いに勝ちたいんだと考えるとしょうがないかもしれないなと諦めていた。
「悪いな、放課後に来てもらって」
「大丈夫です。それで内容は週末に作る料理で大丈夫ですか?」
「そうだ」
放課後、クライシスは教師に呼び出される。
そこには呼び出した教師だけでなく他にも多くの教師たちがいた。
「料理を作るグループはタッグかパーティでまとめて、それ以外はソロ同士や大会に参加しない者たち同士で集めてもらってよいか?」
「………もう先生たちも参加して指示出してよ。面倒くさい」
「いやでも。お前が主導で始まったし……」
「それに茶々入れたりアドバイスされても邪魔だと思って嫌だろ?」
「はい」
「………はい、って」
茶々やアドバイスでも邪魔になると即答されて微妙な表情になる教師たち。
何年も教えてきたのに、それが邪魔だと思われるのはプライドが傷つく。
「これでもお前より多くの人を鍛えてきたんだけどなぁ?」
「なら後日、教えてあげれば良いじゃん」
クライシスに嫌味を言うが知ったこっちゃないと言い返される。
「後日に本当はこうした方が良いってバカにしながら教えたら?当日にやったら混乱起こるから止めろって思うけど」
「………言いたいことはわかるけど先生のこと嫌いだろ」
「そんなことは無いですよ」
クライシスの否定に思わず疑いの視線を向ける教師たち。
正直そこまで言うのなら隠さなくても良いのにと考えてしまう。
むしろ嫌いと正直に言ってくれたほうが気楽だ。
「はぁ……。話を変えるけど人数は決まってないんだよな?なら申請した奴だけにしよう。事前に人数がわかってないと食料がどれだけ必要かわからないし足りなくなったら問題だぞ」
「良いですよ。じゃあ参加したい者たちは先生たちに申請するようにします。飛び入り参加はなしで」
「あぁ、それで大丈夫だ」
クライシスの提案に頷く教師。
その後も週末の訓練について話し合っていた。




