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お金のために配信者になります〜えっ、人気がないとお金はもらえないんですか?〜  作者: 霞風太
十二章 代表の決定と情報開示

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九十一話

「ふっ!」


「おっそいなぁ?」


「はぁ!」


「甘いって」


「そこぉ!」


「惜しい惜しい」


 放課後、クライシスは同じ事務所に所属している配信者たちと訓練をする。

 とはいっても戦っているのはフレールとヤーキ、そしてビースだけで他の二人は離れたところで眺めている。

 一応怪我をしたら回復させるつもりで待機しているのもある。


「やっぱりクライシスくんは強いですね」


「はい。かなりの時間を三人相手に一人で相手しているのに未だに一撃も食らってませんし」


「そのうえで反撃もしていない」


「はい」


 戦っている四人を眺めながら感想を言い合う二人。

 あまりの余裕っぷりに今から混ざっても何も苦にならないんだろうなと思ってしまう。


「どうした?俺はまだ反撃してないだろう?何を疲れているんだ?」


「そこっ!」


「今だ!」


「おぉ!!」


 三人同時に攻撃をクライシスへと向けてくる。

 一人は正面から、もう一人は後ろから挟み込む形だ。

 最後の一人は上空から襲ってくる。


「逃げるスペースが無いなぁ。…………そこで確信を抱いて気を抜くのはダメだろう?」


 クライシスの言葉を聞いて三人全員がほんの少しだけ気を緩めてしまう。

 そのせいで一瞬だけ動きが遅くなる。


「ぼぎっ!?」


「げっ!?」


「どぼっ!?」


「だから、こうして掴んで止められてしまう」


 クライシスは一人の腕を掴み振り回す。

 残った二人はそれに巻き込まれて吹き飛ばされてしまい、武器として振り回された一人も最後には投げ出されてしまう。


「ダメだろう?戦いは終わってないのに油断しちゃあ。だから、こうして反撃を食らう」


「………申し訳…ありません………」


「クソっ」


「まだまだぁ……」


 反撃を喰らいつつもそれぞれが立ち上がる三人。

 その様子に観戦していたシクレとミテラはそれぞれがいつでも回復できるように準備を始める。


「それで?まだ反撃は一回しかしてないけど、まだ続ける?」


「当然!」


 クライシスの疑問に一人が答えを返すと他の二人もそれに頷く。

 先程まで回避ばかりだったのに反撃されたということは、それほど追い詰めることができたということなのだ。

 この調子で続けたいという思いもある。


「なら、もっと集中したらどうだ?」


 真正面から突撃して殴りかかるビースを首を傾げて避ける。

 その一瞬後にフレールが後ろから身体を横にずらして避ける。

 更に身体をずらした位置にヤーキの大剣が迫ってくるのを剣身の腹を叩いて逸らす。


「っと。………おぉ」


 見事な連携に感心していると更に三方向から魔法が襲ってきた。

 それを回転しながら叩き落としているとそれぞれ別方向から襲ってくる三人が見えてクライシスは苦笑する。

 魔法を回転しながら撃ち落としたり複数の魔法が撃ち込まれているせいで煙が舞い上がったり生じたなかに突撃してきたからだ。

 つまりは目眩ましをされたのに三人ともクライシスがそこにいると襲ってきたのだ。

 これ幸いと補足される前にその場から離れる。


「「「っ!」」」


「個に対する連携は良くなってきたなぁ?」


 空振りし、そこにいないことに気づいた三人にクライシスは褒め言葉を送る。

 それに嬉しそうな反応をするのが一人、悔しそうな反応をするのが二人いる。


「さてと《(サークル)》《(セルフ)》《(プロテクション)》」


「は?」


「何を……」


「今から魔法で攻撃するために決まっているだろう?」


「え」


「《(ファイア)》《(サンダー)》《(アクア)》《(ウインド)》《(ハンドレッド)》《(バレット)》」


 それぞれ速度も属性も違う魔法が三人に襲いかかる。

 視界を埋め尽くすような数のそれに三人もそれぞれ全力で魔法で障壁を作って防ぐ。


「防ぐのは最低でも一人でも良いだろう?多くても二人。残った一人で後ろから奇襲を仕掛ければ良いだろうに?魔法の数の多さに焦りでもしたのか?俺も視界が塞がれてしまっているから奇襲できるだろうになぁ?」


 クライシスの言葉を聞いて失敗したと思ってしまうフレールとヤーキ。

 たしかに全力でなら一人か二人でも防げた。

 そして魔法の多さで相手も同じように視界が塞がれているのなら奇襲ができたかもしれないと反省する。


「適当なことを言わないでよ!どうせ対策をしているんでしょ!私達の行動のほうが正解よ!」


「否定はできないなぁ?」


 だがビースは違う。

 クライシスの言葉を否定し自分たちの判断は間違いではないと叫ぶし、クライシスはそれを聞いて否定しない。

 実際、自分を中心とした障壁を張っているから対策をしている。


「クソ野郎……!」


「別に良いだろう?戦っているんだし本当のことを言う必要はない」


「それで騙されたらバカにするくせに……!」


「当然」


 クライシスの返しにイラッとする三人。

 殴りに行きたいが魔法を防ぐのに必死でそれもできない。


「防ぐのに必死になりすぎて眼の前からはいなくなっているのに気づかなかったらなぁ?」


「………え」


 後ろからクライシスの声が聞こえて思わず振り返る。

 そこには裏拳を叩き込もうとするクライシスがいた。

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