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ツクル Produkti
自分を神と言い張る存在に、えらく怒られた。
彼が新しい世界をつくるために用意していた材料を、わたしがつまみ食いしてしまったのだ。
とくにおいしそうに見えたわけではないのに、なぜぱくぱくと食べてしまったのか、自分でもよくわからない。
彼が本当に言葉通りに神であるなら、新世界を次々に生み出すことにばかり夢中にならず、以前つくった世界のこともときどき気にかけてやるべきだと、不快に思ったからかもしれない。
きっと、彼がかなり前につくりもう忘れてしまった世界では、そこに住まう人々が神に感謝をささげたり、神を畏れたり、神を愛したりしているにちがいないのだ。
わたしは彼のそういう気移りの癖が嫌いなのだが、気がつけば彼に、今日の晩ごはんのおかずになにをつくってほしいか訊いている。
その髪を撫でたりしている。
Fino