デンキュウ La elektra lampo
悲恋を夢想しながらの昼寝を終えると、わたしの胸に豆電球がひとつ生えていた。
遠くから重々しい声が聞こえてくる。――ソレガオマエノ罪デアル、と。
わたしは恥ずかしかった。なんと小さな罪だろう。しかも力を入れても電球が点らないのだ。
もっと見栄えがよくなるよう、大きな罪を犯していればよかったと思った。
だから目を閉じて昔のことを思いだしてみた。
今回の生ではなく、前回の生である。一通りそれを見終ると前々回の生、さらにはその前の生……。
ああ、いったいなにを恐れてわたしはこうも平凡な人生ばかりをくり返してきたのか。
見れば見るほど惨めな気もちがふくらむ。いや、むしろなんの罪によって、こんなわたしに豆電球などが生えたのか?
そんな疑問が心に浮かんだ一瞬、はるかな過去に自分が犯した罪を思いだした。
わたしは赤ん坊で、そのわたしを守り慈しむ態度で胸に抱く母親に嫌悪を感じ、乳をのむ際に乳首を噛み切ってやったことがあったのだ。
目を開けると、十二月の夜の窓辺のように、胸の電球がおだやかな光を放っていた。
わたしは近いうちに自分が母になることを知った。
Fino