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カエリミチ En la revenvojo




 教会でつかの間祈った帰り道、半裸体の、大きな男たちによって、順番待ちの列に誘導された。


 男たちの、油をかぶったようにつやつやした、黒く光る肌に恐れをなして、声ひとつあげずにおとなしく並んだ。


 前方では、地面に数人が仰臥ぎょうがして、その手足を例の男たちに、人形をあつかうように動かされている。


 なにかを念入りに調べているらしいが、いったいなにごとがあったのだろう。


 となりの人が言うには、狂犬の生まれかわりのごとく滅法めっぽうおそろしい奴がいて、世界地図に穴をあけるための凶器を持ってうろついているらしい。


 ああ、それはわたしのことだと直感した。


 調べられたら簡単ににわかってしまう、すぐになに食わぬ顔で捨ててしまおうと思ったが、自分のどこにそんなおそろしい物があるのかわからない。


 どんどんわたしの順番がせまってくる。


 発見したら、きっと男たちは小学生のように大きな声で言うだろう、


 ――あーッ、こいつ※※を持ってるぞ! 


 ぞっとする考えにふるえた。とんでもない、すぐに捨てなくちゃ、とあわてて自分の身体のあちこちをさわる。


 凶器だなどと言われているが、わたしにとってそれはだいじな物である気がした。だけど大勢のなかで指をさされてさらし者になるくらいなら捨てることを選ぶつもりになった。


 たぶんそれが悪かったのだ、わたしの中にあった物が、身をひそめるのをやめてしまった。


 あたりが静かになったので顔をあげると、人々が輪をつくりわたしをとり囲んでいた。


 そして皆がわたしを凝視ぎょうしして、指さしている。


 彼らの口が大きな声をあげるべく開かれていく。あーッ、こいつ※※を―― 





 Fino








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