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ソラマメ/シカクスイ/ワナ



 Faboj




 空豆のさやから出てきた空言そらごとを、村営の店で売子うりことして売っている。


 親や親戚一同からは、恥ずかしい、もっとまともな職業に就きなさいとさんざん責められ、コンデンスミルクをアンデスのコンドルの口に注ぐ仕事を紹介されたりもした。


 わたしはなんだかむきになってしまい、目的も愛着も持ってはいない売子の仕事を続けている。


 人はめったに来店せず、好んで買ってくれる常連客は、いまのところアンデスのコンドルだけだ。




 *  *  *




 La kvarangula piramido




 ここではない世界の話。


 けわしい山々に囲まれた、広い盆地があった。


 古い言い伝えによれば、その一帯は神の履物はきものらしい。


 ある時代の王が、悪戯心いたずらごころから、その地に四角錐しかくすいの建物をつくらせた。


 しかしなにごとも起きなかった。


 さらに千年が経った頃、ある日とつぜん、盆地を黒い影がおおった。


 たっぷりとした質量の物体が、地に降りてきた。


 今なお頑丈がんじょうさを維持している四角錐は、星そのものと言ってよいほどの重さを受けてもよく耐えた。


 とたん、世界一面に響く大きな声! 


 それはまるで獣が苦痛に吠えるようであったと生き残りは言う。


 そして果てしなく巨大ななにかが、世界にむけて倒れこんできた……。




 *  *  *




 Kaptilo




 誘われているのだと、こころせねばならない。


 あの星のまたたきをみていると、胸のなかが甘く、また、重くなる。


 なんだか、忘れてしまったたいせつな思い出を、いまとりかえさねばという気分がふくらむ。


 だがそれこそが、わななのだ。


 星を見あげて、一歩でもそちらに踏みだしたら、――星から長い舌が伸びてきて、するり!


 ひとを巻きとって、一瞬で空にもどっていく。


 なにくわぬ顔で光っている星どもめ、だまされるもんか。


 ひっく。もう一軒寄っていこう……。





 Fino










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