ココロ Ho! MIa koro!
わたしの心に私有地の標示が立った。
結婚を前提に同居しているひとが、資金調達のためにわたしの心の一部を勝手に他人に売却したのだ。
自分の心を売らないところが、慎重な性格の彼らしい。
口論になりかけたけれど、いまの事業は絶対にうまくいく、世の中に必要になるものを先取りしているからだ、事業は借金をつくって営むのが当たり前で、どの会社もそうしていると説得され、まあみんなやっていることなら心配は必要ないのかもしれない、彼の成功がわたしの未来もつくるのだし協力しようと受け入れた。
彼はその後も同様にわたしの心を切り売りし、仕事の資金をつくった。
彼の帰宅は毎日遅く、帰らない日さえ珍しくなくなってきているので、事業が盛んになり忙しいのだなと思った。
さらに半年後、わたしは心をすっかり他人の権利に占められてしまったので、引越しをしなければならなくなった。
まだわたしが出ていかないうちから、以前はわたしのものだった心に建物がつくられはじめた。
彼はいずこへか去り、彼の心に移り住むことはできなかった。
わたしは行く当てもなく、自分の体のなかをこっそり放浪している。
今日も青空だ。
Fino
お読みいただき、ありがとうございました。
Gxis revido!