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第159話

麗香さんの休んでいる部屋を後にした俺は、そのまま赤城や他の皆のいる客間に向かった。

赤城の話じゃ、俺と麗香さん以外に重傷の人はいないらしいけど。

それでも皆。特にリネットちゃんとか、ゴローとかの無事を確認しないと。

それにしても。これだけ強い魔物が揃っていたのに惨敗とは。

もしかして、ルシファンとか、フィアナさんとか想像以上の強敵なのかな?

いや、そうなんだろう。勿論、俺が油断してたって言うのもあるんだろうけど。

などと内心でつらつら反省している間に皆が休んでいるらしい扉の前に到着した

(赤城からそう聞いた)。

深呼吸をすると、取っ手に手を掛け。ゆっくりと扉を開く。


「おっ!ツェッちゃん。麗香ハンはどやった?」


扉を開けた先にいるのは、いつもの赤城。腹が立つような、安心するような。変な感覚だ。

部屋に入って、皆と顔を合わせ一通り話をしてみたけど、特に大きな問題はなさそうでよかった。

ただ、俺が安心したのを見計らったように音もなく近づいて来たアダムスが真剣な面持ちで

「これから、敵の情報をお伝えしたいと思うのですが」と告げる。

俺は頷くと、アダムスに誘導されて部屋の中央にある大きな机に向かった。

そこには、この主要防衛都ラデールの精密な地図が広げられていた。

う~ん。これって、最高レベルの機密情報に匹敵しない?他人である俺に見せちゃっていいの?

と思ったけど、状況が状況だし。何も言わないでおこう。


「ここに、オイゲン公爵邸があります。警備は総勢で70~100名程。全員が手練れ。

それと、敵は重要な物資を全て公爵邸に持ち込んだらしく、より一層警備が厳重になるかと。

最後に、警戒すべき人物が何名か。先程、ハインリッヒ殿が戦った

ルシファン、妖艶の魔女、神父、マザー、少女戦士、午後のティータイム、

第四防衛都市防衛軍指揮官アウグスト・ライフアイゼン中将、

元S級魔物協会員・現魔物協会ラデール支部支部長、三好みよし権蔵ごんぞう

最後に、あの場にはおりませんでしたが。公爵邸にメアリー・スカーレットらしき人物がおりました」


アダムスによると、S級魔物協会員の中でもトップクラスの実力を有し『覇者』の異名を持つ戦士。

現在は、この大陸の北側にある大海で『海賊狩り(海賊ハンター)』を生業にしているらしい。

海の戦士が陸に上がっても同じ実力を発揮できるか。と言う点においては個人差があるけど。

彼女は『発揮できる』側の魔物。・・・要約すると、この上なく危険な敵ってことだね。


「ハインリッヒ殿。これはつい先ほど持ち帰った情報。

時間が経過すれば、敵に更なる援軍の可能性もあります」


アダムスの言うことは最もだけど。こちらにも準備する時間が必要だ。現在の敵方の強力な戦力は9名。

俺の部隊で動ける隊長格は、行方不明の隊員の捜索、大穴方面への警戒、もしくは連絡が取れない状況。

麗香さんの怪我は直ぐには治らないだろうし。レギーには一度皇帝陛下の下へ戻って、

現在の俺達の状況を報告してもらいたい。リネットちゃんとゴローにはちょっと荷が重そうだし。

美紗貴は。美紗貴は・・・。手伝ってくれるのかな?一応、部外者だし嫌なら無理強いはできない。

となると。俺、ロミー、赤城、セルゲイ、ルイーサ、アダムス、ディーン、凛紬さん、クレイシーさん、

リーンさん、童子さん。二人ぐらいが、この拠点を防衛するために残ると考えると。

こちらも、動かせる強力な戦力は9名。う~ん。確かに、数日中に攻撃を仕掛けないとか。

でも。ここで勝手に決めたら麗香さんが怒るだろうし。

今日中にレギーに伝令を頼んでも、皇帝陛下の下へ着くのは2~3日後になるだろうし・・・。


「分かりました。2~3日で準備を整えようと思います。皆さんもそのつもりで」


俺の言葉に皆が頷く。さて、忙しくなるぞ!


って、思ったけど。レギーに伝令を頼んで。美紗貴にどうするか聞いて、

ゴローとリネットちゃんに残るよう説得し、この拠点を守る担当を決める。

ってのが終わったら。俺のやることはなくなった。と言うか、出来ることがなくなった。

クロイツェル一家の面々は結構忙しそうにしてた。赤城も、珍しく忙しそうにしてた。

俺のやるべき業務(部隊の行方不明者捜索の進捗状況の確認とか)を代わりにやってくれている。

・・・条件付きで。・・・「麗香ハンの傍におってやりぃな」だってさ。

はぁ。変なところで気を遣いやがって。

(ついでに、美紗貴はリネットちゃんとゴローの面倒を見ておくだってさ(要は攻撃には不参加)。

この拠点の防衛はリーンさんと童子さんの二人がすることになった。)


「フィアナ殿の相手は、私がします。」


麗香さんは、敵拠点への攻撃に付いて来る気だ。

なんなら「置いて行ったら殺しますから」とまで言っている。

俺としては、深手を負っている麗香さんを連れて行きたくないって気持ちもあるけど、

フィアナさんへの感情を整理するためにも、連れて行ってあげたいって言う気持ちもある。

はぁ。まあまだ、2日は残ってる。麗香さんの怪我の具合を見つつ、最終的な判断は当日にしよう。

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