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第154話

都市中に放たれた魔獣。相当な被害が出ているのでは?と思ったけど・・・

今のところ、死体一つ見当たらない。どうやら、人的被害は殆ど出てないみたいだ。

そう言えば、ウィドーと最初に出会った時も、俺を殺そうとはしていたけど、

麗香さん達には手を出そうとしてなかったよな?

まあ、俺のことを守ろうとした時点で容赦なく攻撃してきたけど。

・・・何百体といる魔獣の全てが、魔物を襲っていない。

と言うことは、魔獣共は完全にウィドーの指揮下にあるってことだよな。

魔法で支配しているのか、スキルで支配しているのかは分からないけど。

でも。もし魔法で支配してるなら、極端に効率の良い魔力の運用法があるのか。

それとも、人知を超えた膨大な魔力を保有してしているのか。

何にしても、地球の偉人達を破って来た力は伊達じゃないってことだよな。


「あそこだ。お前の仲間は協力者の二つ目の拠点で籠城しているようだな。

民間人もいるようだ。・・・私は屋根にいる奴らを殺る。

ゴーレムを貸してやるから、地上にいる奴らはお前が殺れ」


彼女はそう言うと、地面を強く蹴って、一瞬の内に屋根に上ってしまった。

・・・はぁ。俺は異世界に来て、種族進化もして、スキルも一杯手に入れたのに。

未だにチートの領域に辿り着けない(涙)。まあ、現実なんてそんなもんだよな。

さて、と。今戦っている魔獣は並みの魔獣の数倍は賢い。

単純な魔法だけじゃ、簡単に回避されるか、受け流されてしまう。

足を止める魔法。『泥化』や『結界』・・・は駄目だな。

『泥化』でも、あの魔獣達の脚力なら簡単に抜け出せるし、

『結界』だと中で暴れられたら、簡単に壊されちゃうと思う。

よし!あれで行こう。

俺は地面に手を置いて、地面の中に魔力の網を張り巡らせる。

さっきの戦いでコツは掴んだし、より素早く出来るようになったZE!

十分に魔力を地面に張り巡らせた俺は、さっきと同じ要領で地面を引き裂く。

相手の不意を突いたとはいえ、奴らの瞬発力は文字通り人の領域を越えている。

だから、裂けた地面の壁を蹴って登ってこようとするけど。


「そうはさせるか!」


その壁に『泥化』の魔法を掛ける。

すると、流石の奴らもバランスを崩して裂け目の底へと落ちて行った。

数体は素早く反応して、裂け目に落ちなかったけど。そいつらはゴーレム達が片付けてくれた。

はぁ。ゴーレムを残してくれていなかったら、恐らく俺は死んでたな。

それはさて措き、裂け目の底へ落ちて行った魔獣共に対しては・・・。

裂け目を閉じて、圧死させる。惨い方法かもしれないけど。

こちらも手段を選ぶ余裕はない。そんなことをしている間に殺されてしまう。

弱肉強食、異世界は大抵そんなもんよ。


「お前は、特殊な魔法の使い方をするな。異界では魔法も発達しているのか?」


魔獣を倒し終わって一息ついていると、背後から急に声を掛けられて、驚いて転んでしまった。


「・・・お前。・・・いや、何でもない」


ああああああ!!!!!!諦めた声。突っ込むことを諦めた声(涙)。

うう。確かに、どんくさいことは認めるけど。ああ(涙)。

で、でも。今まで色んな強い魔物とか、魔獣とも戦ってきたし、弱くはないと思う。多分。

それにしても、麗香さんとの訓練である程度の気配察知は出来るようになったと思ってたんだけど。

はぁ。地球の平和な国の一般家庭で育った俺じゃ、流石にプロの気配は察知できないか。

まあ、ここまで戦えるようになったのも、麗香さんのスパルタ教育あってだし。

俺一人だったら、せいぜいC級冒険者止まりだったんだろうなぁ(涙)。


「さて。お仲間が建物の中でお待ちだぞ。私はこの周辺を一回りしてくる。

・・・ここには、奴の分身体がいる可能性がある。くれぐれも一人で出歩くなよ」


彼女はそう言うと、何体かのゴーレムを残して一瞬で姿を消した。

ははは。やっぱり、ここに来るまでは俺に合わせて走る速度を落としててくれたんだな(涙)。

はぁ。ルシファン達は取り逃すし、自分の弱さを思い知らされるし。泣きたくなってくるよ。

仕方ないか。とりあえず皆と早く合流しよう。麗香さんのことも気になるし。

俺は建物の扉に手をかけて、ゆっくりと開いた。


「動くなっ!・・・って、ツェッちゃん!!よかった、無事やったんやな!!!」


・・建物に入って真っ先に出会うのが赤城とか。はぁ。カワイイ彼女に出迎えられたかった。


「なんやなんや。ワイの顔見て不満そうにするとは。ツェッちゃんも酷い奴やで」


赤城はそう言うと、安堵の笑みを浮かべた。俺も、大きく溜息をついて安堵する。

麗香さんの容体もまあ、一応。大丈夫らしい。・・・よかった。

俺はそのまま、赤城に案内されてクロイツェルさん達の下へと向かう。


「いや~。ワイらもな、魔獣がやって来たんで、ツェッちゃんのとこに行こうとしたんやけど。

急にな、美紗貴ハンが 「私の知り合いがハインリッヒ様を救出に向かっているので、

皆さんは麗香様のことだけに集中してください!」 って言ってな。

皆、困惑したけど。ロミーハンも、そうや!って言うしで・・・・。

ワイらも迷ったんやけど。結局、魔獣共から逃げるので精いっぱいでな・・・。

そんで、どやったんや?美紗貴ハンの知り合いは来たんかいな?」


何故か、赤城は楽しそうに話し掛けて来る。

はぁ。赤城と言い、美紗貴と言い・・・。

まあ。結果として、みんな無事だったわけだし、文句を言うのはやめよう。


「ああ。美紗貴の知り合いが助けてくれたよ。本当に・・・・・・・・・・・・・」


俺が話しながら歩いていると。急に視界がグルグルと回り出して。そのまま倒れてしまった。

どうやら。戦い終わって、安心したら、力が、抜けて・・・・・・・・・・・・・・・・。

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