反乱勢力“か”皇帝陛下篇 第7話
少しずつですが、体調がよくなってきたので、連載を再開したいと思います。
ご迷惑とご心配をおかけてし、申し訳ございませんでした。
「さて、今日諸君に集まってもらったのは、作戦の変更を伝えるためだ」
何時もの地下室。何時ものメンバー。しかし、今回はそこに一人加わることになる。
黒色でスライム状の体、低く唸る獣のような声、得体の知れない雰囲気を纏う者。
それに、スライムにしては異様に知能が高い。亜種や希少種ではなく、変異種か?
まあそんなことはどうでもいい。問題は奴の持ちかけて来た提案だ。
数日前、突然私の前に現れたこのスライムは、驚くような提案をしてきた。
「ツェーザハルト・フォン・ハインリッヒを殺す方法を教えてやろう」と。
奴は私が聞くまでもなく、自らの目的を喋って来た。
「諸君達と方法こそ違うが、私も魔物が繁栄を期す世界を願っている。
ただ、それを成すためにはツェーザハルトがあまりにも邪魔過ぎる。
私からの提案を受けてくれるのなら、君達だけでは知り得なかった情報を差し出そう」と。
普段なら、得体の知れない魔物の話など鵜呑みにしないのだが・・・。
このスライムの纏う雰囲気は、かつて戦ったどの敵よりも異様だった。
強さは一切感じない。だが、一歩踏み込めば、底のない深淵に吸い込まれてしまう。そんな風に感じた。
そんな異様さを纏いながらも、奴は『強者』と言うよりは『全ての生物を超越した何か』の様だった。
実際、奴の素性を探ってみても何一つとして分からなかったのだ。
名前、出身、年齢、正確な種族情報。そんな基本的な情報ですら・・・。
怪しいことこの上ないが。とりあえず、協力する振りをして、話だけでも聞いてみることにした。
(そして、現在に至るわけだ。)
「作戦内容の詳細は、このスライムが説明する」
私がそう言うと、スライムは体をうねらせ。ゆっくりと話し始めた。
「では。まず最初に、君達だけでは知り得なかった情報を教えてやろう。
君達の軍が皇帝の軍から勝利をもぎ取ろうとした時、謎の魔物に邪魔されたのを覚えているだろう?
アレは私の宿敵でもある『関羽 雲長』と言う男だ」
・・・スライムの話は、驚かざるを得ない情報を多く含んでいた。
謎の男の正体、我々でも知り得なかった皇帝軍の情報。
始めは、信頼に足るかどうか分からない情報ばかりだったが・・・。
奴は、我々の極秘情報すら掴んでおり、諜報に関しては妖艶の魔女をも凌ぐものだと言える。
怪しさは増したが。向こうが協力的な内は、こちらも友好的に接するほうがよいかもしれない。
だが。私も、少女戦士すら奴の実力を計りかねてるのは、不安だ。相手に不確定要素が多すぎる。
奴についてはこれからも慎重に様子を伺いつつ、今回は奴の提案に乗ろう。
相手の実力が、こちらの予想を上回っていることも事実だしな。
私は、一層真剣な顔をして、奴の話に耳を傾ける。
「・・・関羽はツェーザハルトと繋がっている。仲間と呼べるかは分からないが。
少なくとも、良好な関係であることに間違いはない。
もし、ハインリッヒが危機に陥れば、自ずと関羽も出てくるだろう。
そうなれば、君達の勝率は絶望的なモノになる。が、安心したまえ。
関羽とその仲間は私が引きつけておこう。その間に、君達はハインリッヒに奇襲を仕掛けろ。
ハインリッヒも、その仲間も確かに強い。だが、油断しているところに攻勢を仕掛ければ。
君達の勝率は格段に高くなる。奇襲を仕掛けるタイミングは・・・・・・・・・・・・・・」
奴の計画は、単純かつ大胆なモノだったが。最も効果的なものだった。