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第147話

地下通路は、それなりに広かった。と言うのも、多分、童子さんが原因だろう。

見た目からして、恐らく鬼人。いや、鬼人の上位種。身長がだいたい2m30~40㎝くらい。

小さな通路じゃ、とても通れそうにない。まあ、今の通路でもギリギリ通れてるって感じだけど。

暫く地下通路を歩いていると、地上への梯子?が見えて来た。


「上の様子を確認してきます」


リーンさんはそう言うと、一人で梯子を上って行った。

そして・・・なんて言えばいいのかな?床扉?ハッチ?を少し開けて、軽く上の状況を確認し。

何の問題もなかったのか、リーンさんがそのまま上に登った。

俺達に手で登って来るように合図を出すと、自分は部屋の外の確認へと向かう。

上に登ると、そこは普通の一軒家の一部屋?だった。

アレか!アニメとか漫画で秘密の通路を隠すためだけに、

借りられてたり、管理されてたりする定番のヤツ!

ん?さっきから語彙力が死んでるような気がするけど、まっ!そんなことどうでもいいか!!

部屋の扉を少しだけ開けて、外の状況を確認したリーンさんは

「大丈夫。怪しい魔物や、騎士はいないみたいです」と言って、こちらへ戻って来る。

そして、どこからともなくカツラと香水、メイク道具を取り出して机の上に並べ始めた。

全員が不思議そうにその光景を見守っていると、準備を終えたリーンさんがこちらに向き直る。


「勘解由小路様とリネット様、オルマン様とヒラサワ様は

この辺りでも顔が知られている可能性がありますので、今から変装して頂きます」


リーンさんは、リネットちゃんと麗香さん、オルマン君とセルゲイに近くの席に座るように促した。

すると、麗香さん、リネットちゃん、セルゲイの三人は俺の顔をジッと見てくる。

・・・どうやら、意見を求めてるようだ。

(オルマン君は、リーンさんの指示に従って席について、一足先に変装を始めてる。)

うん。困った。困った。・・・本当に困った。どうしよう。こういう時はどうすればいいんだ?

よし!こう言う時は、適当にそれっぽい顔して頷いておこう。

と言うことで、適当に頷いたら、三人は大きな溜息をつきながらも席に着いた。

ふぅ。俺の対応は間違ってなかった。けど、なんか睨まれてる気がする。

もしかして、適当に返事したことがバレた?いや、まさかな。流石の三人でも、ね?

暫くボーっとしていると、いつの間にか見知らぬ別人が椅子に座っていた。

最後に、その四人にリーンさんが香水を掛けようとしたんだけど。

四人とも、すっごい渋い顔をして香水を見つめていた。


「・・・それ、どうしても付けないといけないんですか?」


今までに聞いたこともない様な、嫌そうな声で麗香さんが訊ねる。

よくある質問なのか、リーンさんは表情一つ変えずに淡々と答えた。


「獣人の中には、一度会ったことのある者のニオイを覚えている者もおりますので」


それを聞いた四人は、渋々香水を受け入れた。

なるほど、流石異世界。変装一つ取っても俺達の世界と考え方が違うんだな。

そうして、全くの別人が出来上がった。リネットちゃんは金髪の美少女に。

麗香さんは・・・・・・・・。えっと、本が好きそうな。その、メガネ黒髪の、お姉さん。

オルマン君は、活発そうな少年。セルゲイはどこにでもいるおじさん。って感じ。

それと、一応全員の武器は俺のアイテムボックスに仕舞うことになった。

(ただ、オルマン君は自分のアイテムボックスに。)

戦闘になったらすぐに取りだせるようにしておかないと。うう、責任重大だな。

まあ、全ての準備が終わって。早速、俺達はアダムスのいる場所へと向かうことになった。


家を出て、暫く歩いていると。大穴の方から大きな鐘の音が聞こえて来た。

すると、慌てたように町の住人が建物の中に入り、武装した魔物が大穴の方に走って行く。

・・・騎士。って言うよりは、冒険者とか傭兵って身なりの魔物が多いな。

なんて考えていると、リーンさんが壁際に立って姿勢を低くするように言ってきた。


「彼らの邪魔をしてはいけません。去るまで壁際で大人しくしておいてください」


面倒事は避けたいってことで、皆リーンさんの言葉に従って壁際に立つ。

でも。面倒事と言うのは向こうからやって来ることもあるもので。

40人そこそこの集団の先頭(リーダー格)が、俺達の方にわざわざ寄って来た。

ああ。大穴の方に急いでんじゃないのかよ。こんなところで俺らに絡んでる暇なんてないだろ。

と思っても。相手が大穴の方に行ってくれるわけでもなく、俺達は完全に囲まれてしまった。


「おうおう。こんな時に女を連れて外出かい?兄ちゃんたちよぉ」


おうおうおうおう。絡み方が完全にモブ・チンピラじゃありませんか。

愚痴愚痴と文句を言ってくる奴らに、麗香さん、リネットちゃん、オルマン君、

セルゲイは完全に切れていた。

俺は内心、この三人が切れて手を出さないか心配で、気が気じゃなかった。

が、そんなことは気にしなくてもよかった。いや、気にするべき相手を間違えていたと言うべきか。

奴らは、図体がデカい割りに何も言い返してこない、童子さんに標的を絞った。

最初は、ガンを飛ばしながら、怒号を浴びせる程度だったんだけど。

チンピラの一人が、童子さんのスーツっぽい服に痰を吐いた。

その瞬間、童子さんは痰を吐きかけて来た相手の胸ぐらを掴む。

すると、別の男が剣を抜き童子さんに向ける。

が、その剣を童子さんは握り潰し、剣向けて来た男を一瞬にして殴り飛ばしてしまう。

そして・・・後は。まあお察しの通り、大乱闘の始まりですよ(涙)。

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