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第146話

「すまねぇ。お前、あんまし強そうに見えなかったから」


アレから、ずっと自分の武勇伝を語り続ける・・・オルマン君?さん?に静かに切れた麗香さんは。

あれは、口にするのも恐ろしい。うう、正に般若。うん。まあ、察してくれ。

そう言うことで、オルマン君の顔はボコボコに腫れあがっている。

そこまでするか。と思ったが、これがいつものやり取り・・・らしい(汗)。

ボコボコにした麗香さんもそうだけど、一ミリも動じてないオルマン君も怖い。


「えっと、それで。どうして、こちらに。私に何か用ですか?」


引きつった顔を何とか取り繕いながら告げた俺に、

オルマン君は何かを思い出したのか「あっ!」と声を上げる。


「そうだったぜ。・・・俺は陛下からの命で、お前に同行することになったぜ!

俺は伝令。つまり、お前から陛下に伝えたいことがあったら、俺を頼ればいい。

ああ、陛下からお前に伝えたいことがあった場合は、俺の弟のレザーが伝令をするから問題ないぜ!」


なるほど、確かに。そう言う役目を担ってくれる魔物が一人くらいいてもいいかもな。

それに、麗香さんの同僚で200人衆の中でも10人程しかいないネームドの一人。

見た目は俺より幼そうなのに、多分、俺より遥かに強いんだろなぁ(涙)。

まあ、事情は分かったし。一応、これから一緒に働くわけだし、挨拶だけはしておくか。


「分かりました。これからよろしくお願いします」



アレから色々とあったが、なんとか第四防衛都市ラデールに到着出来た。

ただ、問題はどうやって街中に入るか。

現在、七都防衛ラインの全ての都市は、全ての魔物の出入りを規制している。

赤城曰く、前回は賄賂を渡して入ったらしいけど。何度も通用する手じゃない。

と考えていると、急に俺達の目の前に二人の男女が現れた。

全く気配を感じることが出来なかった。

辛うじて、麗香さんとリネットちゃん、セルゲイ、そしてオルマン君が反応出来てたくらい。

警戒している俺達を見た女は、両手を上げて敵意がないことをこちらに伝えて来た。


「初めまして。私はリーンと言います。こっちは弟の童子。

分かりやすく言いますと。私達の父は、アダムスです」


一瞬で全てを察した俺と赤城は、麗香さんとリネットちゃん、セルゲイとオルマン君に

警戒を解くようにお願いした。

そして、赤城と顔を見合わせた俺は二人に近づいて、詳しく話を聞くことにした。


「私達は、父から貴方様方を案内するように、と言われて来たのです」


なるほど。・・・でも、ここで案内を受ければ。確実に手を組む流れになりそうだ。

それに、得体の知れない相手に借りを作るのも怖い。けど、もしアダムスが味方なら。

いや。アダムスが敵だろうと味方だろうと、重要な情報を握っているってことは分かってる。

奴ともう一度直接会えるなら、会っておくべきだな。

俺が赤城の方をちらっと見ると、赤城も同じ意見だったんだろう。軽く頷いた。


「分かりました。仲間に事情を説明したいので、少々お時間を」


俺がそう言うと、女は頷いた。俺と赤城はそのまま麗香さん達の所に戻り、

アダムスが俺達に接触して来て、協力関係を結びたいって言ってきたって説明した。

流石に、療養中に不法侵入してきて、勝手に話を進められた。とは言えないからね(汗)。


「事情は分かりました。私は問題ありません。貴方の判断に従います」


麗香さんはそう言ってくれた。・・・いや、この言い方だと語弊があるかな?

「問題ないデス!」「マスターの仰せのままに」「指揮権はあんたにあるし、いいぜ」「ワン!」

「私は隊長の命令に従うだけです」「主様のお望みとあらば」「俺は大将の決めたことに従うぜ!」

と、答え方は様々。・・・それにしても、いっつも展開が急だよな。

でも、人生ってそんなもんか?知らんけど。

それはさて措き、「主様のお望みとあらば」ってなんだよ。

メイドって設定に浸りすぎだろ、我が妹よ。はぁ。まあ、悪こと、では、ない、よな?

まあ、全員からの承諾はもらったし、アダムスの子供達?に都市内部まで案内してもらうか。


ハッキリ言って、凄いスムーズに移動できている。

彼らは、外壁周りを巡回している兵士に絶対見つからないルートを通り。

外壁から少し離れた繁みにある、ボロ小屋へと俺達を案内した。

俺が不思議に思っていると、リーンさんはボロボロの暖炉の中に体の半分を入れ。

そして、ゴソゴソと何かを探して何かの装置を作動させた。

すると、小屋の外からゴロゴロと石と石が擦れる音が聞えて来た。

慌てて外に出てみるも、何も変化はない。

リーンさんが井戸を指差す。


「こちらです」


俺達が、井戸の中を覗き込むと。地下通路があることに気がついた。

リーンさんは滑車に付いている縄を利用して、華麗に下に降りて行き。

あらかじめ用意していたランタンに火を灯すと、降りてくるように手で指示をする。

・・・原理はよく分かんないけど、なんか中二心を燻ぶられる何かがあるよ!この装置。

戦争が一段落して、ウィドーとの戦いがもし、何とかなったら、研究してみるのもいいかもな。

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