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10名の反逆者 

かつて私は、ウィドー陛下の眷属であった影の一族の族長の娘で、

ウィドー陛下に仕える暗黒騎士でもあった。

最初、弱き者に手を差し伸べるウィドー陛下を見て、

あの方を尊敬し、命尽きるまで仕えることを自らに誓った。

けど、今では陛下に弓を引く存在になってるとは、かつての私は考えもしなかっただろうな。

ウィドー陛下は、時間が経つにつれ、他人からの搾取を楽しむようになっていった。

お爺様から聞いた話では、あの方はかつて最弱のレッテルを張られ、搾取される側だったらしい。

故に、最強になってからは他人から搾取するようになってしまったのではないだろうか。

それでも、最初は犯罪者や強者から搾取する程度だった。

けど、時間が経つにつれて陛下は誰彼構わず、搾取を行うようになっていった。

そんな時に、異界から訪れた4名の戦士がウィドー陛下と矛を交えることになる。

私達影の一族は陛下を裏切って彼らに協力し、大穴に陛下を封印することに成功した。

その代償として、一族の多くは陛下の前に倒れた。そして、『繁殖能力も失った』。

今では、私に『同化』し殆ど自我を失った同胞が少し残っている程度。

そして私自身の肉体も、そう長くは持たないだろう。

最近は頻繁に凶悪な魔獣が襲撃を仕掛けてくる。陛下の復活が近づいているのだ。

劉備陛下や、張飛・関羽将軍もこの世界を守ることに尽力してくださっている。

私を含めて10人と少なくはあるが、強力な戦士達もいる。

あとは、恐らく最後になるであろう異界の戦士達次第、か。


「おい爺さん!今日こそは俺が勝つからな!!」


野太さの中に、凛とした女性らしい声の混ざった怒号。いつものが始まったか。

私達は基本5人1組に分かれ、大穴から出ようとするS級を遥かに凌ぐ実力を有する魔獣を討伐している。

2組に分かれ、4時間毎に交代している。現在は1組目の番で、メンバーは。

老兵殿、蛮族殿、博士殿、指揮官殿、武士殿だな。皆、私と同等かそれ以上の実力を有している。


老兵殿は気が付いた時には、同志として私達と共にウィドー陛下と矛を交えていた。

(老兵殿=野太い声の主に怒号を浴びせられているお爺さんのこと。)

使い古された弓。錆や欠けている部分の一切ない『剣と盾』装飾は青が基調。

腰には『投げナイフ』と、使い道のよく分からない『魔道具』、そして矢を仕舞うための鞘。

S級上位の魔獣を遥かに凌ぐ存在しかいない、大穴では着ていても無駄であろう年季の入った皮鎧。

何よりも、老人とは思えない程の逞しい身体。しかし、そこに刻まれた傷跡の数々は・・・・

彼が多くの年月を戦いに投じて来たことを伺わせる。

ここにいる誰よりも才能を感じないのに・・・私はどうしても、彼に勝てる気がしなかった。

それは、ここにいる者の多くがそうであったと思う。

非凡な凡人。矛盾しているのは分かるけど、それが一番彼を形容するのに相応しい言葉だと思う。


蛮族殿は・・・性格は粗々しいけど、それにはちゃんとした理由がある。

(蛮族殿=老兵殿のことを爺さん呼ばわりしている、野太い声の主。)

彼女はあまり、自分のことを話してくれないから、多くのことを知ってる訳じゃないけど。

戦乱の時代に産まれた、とある蛮族の長の娘。当時、彼らは蛮族ながら国家に並ぶ力を有していた。

しかし、どこにも住み着かず、移動しながら勢力を拡大していく彼らは、

国家からすれば厄災そのもの。故に、連合討伐軍に部族の殆どを滅ぼされる。

でも、当時の転生者に保護されて、その身を捧げ共にウィドーと戦うことを誓った。

そして当時の転生者との間に子を授かったらしいんだけど。

その転生者。つまり蛮族殿の婿殿は、ウィドーとの戦いによって命を落としてしまう。

しかも、彼女はその『ショック』からか、流産してしまったらしい。

彼女はひとしきり涙を流した後、ウィドーを滅ぼすことに身を投じると誓った。

これは、彼女のことをよく知っている魔物から聞いただけだから、正しいかどうかは分からない。

・・・陛下も、昔はこんな惨いことをなさる御方ではなかったのに。


博士殿は、少々変わった方ではあるが、私達の中では一番の知識人でもある。

全身をボウゴフク?なる物で包んでいて、身長以外は特に何も分かっていない。

自分のことを語らない方でもあるし、聞いたところで答えてもらえないだろうしね。

戦闘能力こそ私達の中で最も低いけど、魔道具製造技術と魔法陣への理解は

この世の常識を一変する程の物らしい。実際、彼の魔道具は私達の戦いに大いに貢献している。

まあ、彼自身は私達を『同僚』程度にしか思っていない。いや、下手をするとそれ未満かもしれない。

彼はここ大穴を資源の宝庫と言い、そこに住まう魔獣を素材又は実験台と呼ぶ。

はぁ。私も彼を仲間と呼びたくはない。が、陛下を相手するに当たって必要な存在でもある。


指揮官殿は、ゴーレム使い。多くの者と同じく詳しい素性は分かっていない。武士殿も同様だ。

ただ、ウィドーに対するに当たって、これだけ優れた者達も多くないないだろう。

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