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第137話

門番の兵士にも、巡回中の兵士にも。文官にすら、気付かれないように自分の部屋に戻ったのに。

そこには、ソファーに座って紅茶を嗜んでいる麗香さんがいた。

ひぇっ!何故だ!?どうしてだ!まさか、俺の計画が事前に漏れていた?!

だとしたら、どこで漏れた・・・。そう考えた俺の視線は、自然とロミーに向いていた。

すると、ロミーが俺を軽蔑するような目で見ると同時に、麗香さんが口を開いた。


「カエラ男爵がセルゲイの件で話しがあるので、貴方を呼んで欲しいと言われたんです。

・・・・・・・・色々と、話したいことはありますが、まずはカエラ男爵の下へ行きましょう」


麗香さんはそう言うと、スッと立ち上がって俺の首根っこを掴みそのまま歩き出した。

いつもなら、「ちょっ!麗香さん?!」って抵抗するところだけど・・・。

今の麗香さんは怒っている。ここで反抗的な態度を取ったら。うう、どうなることか(涙)。

まあもお、俺の男としての尊厳とかは完全に破壊されてるから。気にしなくてもいいか(笑)。

うん。気にしない気にしない。どうせ、気にしたところで尊厳が返って来るわけでもないし。

なんて考えていると、いつの間にかカエラ男爵の執務室に到着していた。

麗香さんが、ノックすることなく堂々と扉を開ける(汗)。


「あっ!やっと来てくれましたね。もう、凶悪犯罪者と二人きりにして!

私に何かあったらどうしてくれるんですか、麗ちゃん!」


そう言って頬を膨らませるカエラ男爵に対して、

麗香さんは「何言ってるんですか?」みたいな顔してる。

そう言えば、カエラ男爵の強さってどうなんだろう?蜘蛛人って亜人種だから・・・・・・。

種族的には中の上から場合によっては上の中くらいの強さはあるよな。


「カエラ殿は『金剛糸』と『無限生糸』、『完全操糸』と言う希少スキルが3つもあるのですから、

手負いの上、武装していない相手に負けるなど万が一もあり得ません」


麗香さんがまるで俺の思考を読んだかのような発言をした。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・やっぱこの魔物、怖いかも(汗)。

それにしても、カエラ男爵って希少スキルを3つも持ってたんだ。

そう言えば、隊員が持ってるスキルとか知らないな。

いや、それどころか麗香さんの持ってるスキルすら俺は知らない。

これって、信用されてないってこと?ちょっと傷つくかも(涙)。


「あっ!麗ちゃん!人様のスキル(手の内)をペラペラと喋るなんて。流石にライン越えだよ」


そう言うと、カエラ男爵は大きな溜息をついた。

そうか、スキルって知られると不味いのか。そりゃそうだよな、知られたら対策されるもんな。

俺って、こっちに来てそれなりに経つけど、知らないこともまだまだ沢山あるんだな。

歴史書を読んだり、魔帝国軍人としての常識や、貴族社会の基礎知識とかは麗香さんから学んだけど。

魔法やスキル、魔獣の生態や植生、魔物やエルフ、ドワーフと言う種族について。

それと、一番不自然なのが『異世界人』についての情報が少なすぎることかな。

意図的に隠されてるんじゃないか?って思うくらい、情報がない。

でも、歴史書には偉業を成し遂げた存在として記録されている。

う~ん。これもウィドーとか関羽将軍に関係してくることなのかな?


「なあ、勘解由小路家の御令嬢さんとべベール男爵家の当主さんよ、

そろそろ俺とそこの大将さんを無視するのをやめてくれねぇか?

それと、葉巻を貰えないか?ねぇなら、最悪煙草でも文句は言わねぇからよ」


堂々とした態度を取っているセルゲイに対して、ここだけは麗香さんとカエラ男爵の

「「凶悪犯罪者の立場でふざけたことを言わないでください」」と言う意見が一致した。

ハッキリ言って、二人の覇気?はとんでもないモノだった。

セルゲイと俺が委縮するレベルには(汗)。うん、やっぱ、カエラ男爵も強いんだなぁ~。


「まっ、それはさて措き、本題に戻りましょうか。セルゲイ・ヒラサワ」


席について、カエラ男爵から聞いた話をまとめると。

セルゲイ・ヒラサワの処遇についてなんだけど。これは、国家機密レベルの話しも関わって来る。

それは今、国内で多くの犯罪者が捕まり、深刻な人手不足が発生している。と言うこと。

反乱軍に加盟した貴族含め、深刻な食糧不足や金銭不足に悩まされ脱税を行う貴族が続出。

それに加えて、アザゼル宰相が内部調査を行ってみた結果。

武官や文官からまあまあ多くの(反乱軍の)諜報員が見つかり、またしても人手不足。

まあ、ハッキリ言うと金も食料も人手も時間も、何もかもが足りていないらしい。

そう、意外とヤヴァイのである!魔帝国(汗)。・・・はぁ。給料のためにも頑張らないと。

まあ、とにかく。実は人手不足を解決するために、今回半分効果のなくなっていた法律を

利用することになった。それが『魔帝国法第94条{借金奴隷制}』だ!

『借金奴隷制:罪人の犯した罪に値を付けて、その値=借金として返せるまで『保証人』の下で働く。

もし、途中で罪人が逃亡又は死亡した場合、残りの借金は保証人が負うことになる。

そして、この法を罪人以外に適応することを固く禁ず。』って感じの法律なんだけど。

保証人にとって不利な条件な上、奴隷と言う非人道的な観点から、この法は廃れていった。

まあ、ここまで言えば分かると思うんだけど。魔帝国では、犯罪者の徴兵が始まった。

と言っても、数が多すぎると暴走された時や逃亡された時に困るから、人数は少ないけど。

それで、セルゲイにこの法律を適応する案が出た。そして、俺がその『保証人』になる。

勿論、受けるも断るも俺次第だ。はぁ。これまた、難しい問題を押し付けられたもんだ。

確かに、セルゲイは強い。仲間に出来たら嬉しいけど。でも、凶悪犯罪者であることも事実。

それに、セルゲイの罪を金に換算すると・・・大金貨5300枚(53億円)に相当する。

流石に、53億の借金の保証人になるのは・・・。しかも、相手は俺を殺そうとして来た魔物だし(汗)。

でもなぁ。俺の部隊も大分損害を受けちゃったし。

俺自身も大穴方面に行くまでに怪我は治らなさそうだし。


「まっ、大将さんが中々判断に困るのも分かる。だからこそ、この場で俺の話を聞いてほしい」

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