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第15話

「初めまして、ジブリエル・フォン・べべールです」


優しい声、優しい目、高身長でイケメン・・・好青年、圧倒的好青年‼

いや、竜人なんて名前してるから、もっとなんかこう、ガタイが良くて、険しい顔してるイメージ

あったんだけど(偏見)、なんだこの好青年は!

などと考えている俺の隣で

「竜人は絶倫らしいし・・・フフフ、いつかは」

と、フィアナとか言う淫魔サキュバスが早速心を射止められてる?

この人は一体どっちが狙いなんだ?顔?それとも下半身?・・・否、両方か!

まあそんなどうでもいいことは措いといて、今日いよいよ魔帝都に向けて出発する。

カエラ男爵は・・・カレリーナ伯爵家への紹介状を俺達に渡して、

そそくさとこの場を去っていった。

そろそろ本格的な冬の季節に突入する。

だから現在は何処彼処も忙しいのだ。

カエラ男爵も、普段の公務に加え冬備えのための公務も追加される。

そんな多忙の中にも関わらず、この数日間、感謝してもしきれないくらい良くしてもらった。

とりあえず、別れの挨拶を言う時間はあったし、御礼も言えたが、次に此処に来た時には

改めてしっかりとした御礼をしなければな。

などと考えていると


「この度はカエラ男爵様より、魔帝都までお背中に乗せて頂いての移送だと伺っております。

宜しくお願い致します」


と、仕事モード?真面目モード?の麗香さんがカエラ男爵と会った時以上に礼儀正しい

所作で挨拶する。

俺も麗香さんに続けて挨拶をしようと思ったのだが、割り込む隙間もない速さで、麗香さんは

俺とフィアナさん、リネットちゃんのことをジブリエルさんに紹介していた。

恐らく、俺達に会話させたくないのだろう。

特に、貴族の作法とか、話し方とかがわかってない俺とリネットちゃんには、貴族の前であまり

会話をさせたくないのだ。

まあ、仕方のないことではあるが・・・癪だ。

ああ、でもこのことを考えると、魔王様の補佐官になったと同時に、

貴族の教育とかも受けさせられるのだろうか。

地獄だな。

でも、未来のことは未来の俺が何とかしてくれるよな!

俺がそんなことを考えていると、目に前に大きな竜が現れていた。

どうやら、話を終えたジブリエルさんが早速竜化したらしい。


「では、失礼します」


そう言いながら、麗香さんはリネットちゃんを抱えて、ジブリエルさんの背中に一気に

飛び乗った。

10メートルはある高さを一回のジャンプで超えるとは・・・本当にあの人女性か?(失礼だが)。

フィアナさんは、背中に生えている蝙蝠コウモリの様な羽を使って、普通?に乗っていた。

二人がジブリエルさんの背中に飛び乗るのをボーっと見ていた俺は、はっとあることに気が付く。

俺、どうやって乗ればいいの?

梯子とかさ、今文句を言っても状況は解決しないけどさぁ。

そんなことを考えながら、ふとジブリエルさんの背中を見ると、早くしろよ、

と俺を睨みつけている麗香さんの鋭い視線と、小馬鹿にするような目で俺のことを見ている

フィアナさんが目に入った。

そして、それと同時に

「お兄ちゃんはどうやってジブリエルさんの背中に乗るのです?」

と、リネットちゃんが目を輝かせながら言ってきた。

急がねば、と言う気持ちに無理やりさせられた俺は、少々無茶な方法でジブリエルさんの背中に

乗ることにした。

前に話したと思うが、初期原型はその働きが大きい程消費する魔力が増える。

例えばこの様に、『浮遊』『付与』『上昇』を使って、人間サイズの物を移動させると、

相当な魔力を消費する。

が、リネットちゃんを楽しませるためには、多少の魔力消費も厭わない。

そして無理をしながらジブリエルさんの背中に乗った俺に掛けられた言葉は・・・


「お兄ちゃん、地味な魔法使うね」(Byリネット)

「技術としては凄いし、魔力をかなり持ってることも分かるけど、地味ね」(byフィアナ)

「そんなことはどうでもいいですから、早く空気抵抗を抑える魔法を使ってください」(by麗香)


であった。

アマリニモ、ヒドイ、コトバ、オレ、ナキソウ。

地味なことは認める‼が、コメントがあまりにも酷い。

本当に酷い‼皆に文句を言いたい‼‼

が、後ろ(麗香さん)から小突かれているので、昨日徹夜で頑張って考えて、今朝練習もして、

微調整までしたり、他にもあったらいいなと思う魔法も付け加えたりして、より快適に過ごせる

ようにした魔法を、誰にも褒められることのない中、私は使いたいと思います。

『結界』『範囲』『指定』『空気抵抗』『防』『保』『温度』『防』『音』で

『防抵抗・防音・保温合成結界』の完成である。

が・・・さっき魔力を多めに消費してしまったので、何時まで持つか不明。


「やっぱり、死喰鬼グール君の魔法って地味ね」


俺の心配を他所に、なんかとてつもなく酷いことを言ってくる人に対して、

内心腸が煮えくり返る思いをする中

麗香さんがジブリエルさんに、準備ができたことを伝え、俺達は魔帝都に向けて

出発することになった。



「うげぇ~」


説明しよう‼案の定、俺の魔力の限界が来るまで飛ぶことになり、異世界物定番の魔力切れを

起こしている真っ最中なのである!(二度目)

いや、愉快そうに解説しましたが、めちゃくちゃ気持ち悪いです。

二日酔いみたいです(ここまで酷いのは経験したことないけど)。

が、今までは違う。

今までは

「もう魔力が切れたんですか」+(溜息)と「死喰鬼グール君」+(小馬鹿にする様な笑み)

って感じの悪魔達しかいなかったけど、今は

「お兄ちゃん、大丈夫?」

と言いながら、背中を優しく擦ってくれる天使リネットちゃんがいる‼‼

もう、これだけで全然違う!

いや、マジで、これだけで気持ちの楽さが大きく変わってくるんだって!

まあ、それはさて措き、今日は野宿が決定してしまった。

スザンタークまで(飛べばだが)後数時間ってところなのに。

少しスザンタークに寄れるかな、と思っていたのだが、時間的にも寄る必要ない都市は避けて

行くことになっている。

異空間道具箱アイテムボックスのお陰で、魔帝都につくまでに必要な物はすべて

揃ってるしな。

今だけは異空間道具箱アイデムボックスが恨めしいぜ。

そんなことを考えていた俺だが、魔力切れの弊害か、急に眠気が襲ってきた。

皆が食事の準備をしたり、寝床の準備をする中、眠ってしまうのは申し訳なかったが・・・

眠気に抗うことは出来なかった。

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