第127話
っ!腕、腕、腕、腕ががががががああああああっ!!!痺、痺れ、痺れ。・・・・・・・・・・・・。
痺れてるけど・・・。多分、『忍耐の極致』のお陰で、そこまで辛くない?
めっちゃ役に立つけど、なんか嫌なスキルだよなぁ。
それはさて措き、これは初めてのパターンだぞ。
今までは戦闘後、気絶した時には何故か麗香さんの膝枕の上?で目覚めてたからな。
軽く目を開けてみたけど。今回は不思議なことに麗香さんの頭が俺の腕の上にある。
でも、それ以外にも突っ込みたいところが無限大にある。
半裸で包帯まみれの状態で、暗い密室のダブルベッドの上に、付き合ってる彼女と二人・・・。
これは喜ぶべき展開、なのだろうか?確かに美人だけど。俺のことを片手で殺せる魔物だよ?
まあ、襲う気もないけど。どうすればいい?二度寝するか?このままボーっとするか?
「起きていることは気が付いていますよ。いつまで寝たふりをする気なんですか?」
麗香さんは、人差し指で俺の額を突っついてくる。
う~ん。何だろう。麗香さんが、こんなに少女らしい行動?をするとは・・・。何かあったのかな?
勝手な行動ばっかしてたから、滅茶滅茶怒っているものとばかり思ってたけど。
いや。やっぱ変だ。いつもの麗香さんと180°違う!何か、何か、ヤヴァイことが。
「今。失礼なこと考えていたでしょう?・・・はぁ。貴方は本当に鈍いですね」
麗香さんはムッとしたような顔をして、更に激しく額を突っついて来る。
くっ!ますます分からない。麗香さんは一体、何が目的なんだ?何をしようとしている?
「はぁ。貴方、私がカザル王国での任務中に倒れた時、とても心配してくれたでしょう?
私が目を覚ました時なんて、涙まで流して・・・。まあ、それはいいんですけど。
・・・今まで、貴方は何度無茶をしてきましたか?何度私に介抱されてきたと思います?
その度私は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
麗香さんは、自分が何を言ってしまったのかを理解したのか。
それからは口を閉じたままで部屋を出て行った。
今、史上最高峰のツンデレを見た気がするけど・・・口にしたら殺されそうだから黙っておこう。
でも。そうか。心配してくれてたんだな。麗香さん。
そう言えば、告白も麗香さんの方からしてきたしな。一応、好かれてはいるのか?
それなら、申し訳なかったな。ちゃんと気持ちの整理をしてから返事をするべきだったか?
いや。俺はちゃんと麗香さんのことが好きだ!それだけは断言できる。
何しろ、前世から俺が好きになる女性はと言えば・・・
エ〇ァのア〇カとか、キル〇キルの纏〇子とか、ガ〇パンの西住ま〇とかの、
気が強かったりしっかりしてるタイプだったからなぁ。
まだまだ一杯いるけど。これ以上は法律に抵触しそうだからやめとこ。
要は、麗香さんは俺の理想とする女性という訳だ。
先に言っておくが、俺は別にMでもマ〇でもないからな?
ああいう性格の女性が好みであるだけだからな?勘違いするなよ?
それはともかくとして、これからどうすべきだ?もう少し休むか。
いや。俺が気絶した後どうなったのか、死傷者や反乱軍はどうなったのか、
事後処理のこととかを考えると、制服に着替えてカエラ男爵に会いに行くべきだな。
「ツェっちゃん!起きたって聞いたから来たでぇ~」
「麗香ちゃんと二人きりで暗い密室で寝てたって聞いたから、来たわよ~」
はぁ。面倒なヤツと『超・絶・面・倒なヤツっ!』が、ノックもせずに入って来やがった。
前者は見舞いついでに、副隊長としての仕事をこなしに来たと考えたら許せるけど・・・・。
後者は今すぐボコボコにぶん殴ってから、窓の外へ放り投げたい。
・・・けど、今は魔力も体力もない。あちこちが傷だらけで、体が思うように動かない。
「ねぇねぇ!麗香ちゃんの抱き心地はどう・・・っ痛い~!!」
はっ!無意識の内に手が出てしまっていた。
だが、後悔はない!!むしろ、俺の無意識を褒めてやりたい!!!!
しかし、ここでしっかり何もなかったと『断言』しないと、あらぬ噂を立てられかねないな。
「はぁ。いつも通り、何もありませんでしたよ。俺が起きたら、直ぐ出て行きましたしね」
俺がそう言うと、フィアナさんは「ちぇっ。つまんない」と、何故か不貞腐れてしまった。
この淫魔、もう、マジで意味分かんない。麗香さんはよく、この魔物と長い間一緒にいられたな。
いやまあ。本気で悪い魔物だとは思わないけどよ。・・・いや。もう。なんかいいや。
「まあまあ、ツェッちゃんもフィアナハンも落ち着いてや。
何も無かったんは確かにおもんないけど(小声)。
今はツェっちゃんが無事に目を覚ましてくれたことと、戦いに勝てたことを祝おうや?な?」
なんか途中、余計なことを言っていた気がしたけど。・・・まあ、今回だけは許しやろう。
さらっと、戦いに勝てたことを教えてくれたしな。ひとまず、それで良しとしよう。
さて、死傷者の数や、事後処理はどうなっているのか、今後の方針についてとか。
赤城に色々と聞いた後、今後の方針についてや・・・書類仕事くらいなら、休みながらでも出来るだろ。