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第126話

さて、今度は素早く発動できる上、当たればそこそこな威力の『風斬』を絶え間なく撃ってる訳だけど。

彼にはあまり効果がないらしい。と言うか、魔導師との戦いには慣れているっぽい。

最初こそ、この世界に馴染みのない無詠唱魔法に戸惑っていたけど。すぐ慣れられた。

魔力もこの世界平均で見たら、上位の方にはいるだろうけど。無尽蔵とまでは言えない。

それは多分、彼も理解してる。と思う。だって、さっきから回避メインで戦ってるからね。

う~ん。だからこそ、それなりに大きめの魔法を撃つチャンスもあるけど・・・。

『泥化』は雪のせいで効果が薄くなってるし、

空間座標とかの移動したら効力を失う魔法も発動できない。

かと言って、魔力を練り込むだけの余裕はないし。数を撃ってみても何故か見事に避けられる(汗)。

『並列思考』みたいなスキルが存在してくれてたら、もっと楽だったんだけどなぁ。


「ちっ!お前、魔力量多すぎるだろ!」


彼は息も絶え絶えと言った感じで、声色には苛立ちと焦りが入り混じっていることが分かった。

アニメとか漫画とかの主人公なら、ここから一気に攻勢を仕掛けて、優勢に立つんだろうけど。

決め手に欠けることは変わらないし、下手な行動をすればこっちが不利になるかも。

だって、相手は傭兵王だよ?きっとまだ、何か奥の手を隠してるはず。

選択肢は、このまま時間を稼いで援軍を待つか。何か仕掛けてみるか。鉄鎖を使う近接戦を行うか。

一番安全なのは時間稼ぎ。短期決戦を狙うなら、何か仕掛ける。一番あり得ないのは、近接戦だな。

味方の状況は分からない。だが、敵がこっちに来ていないってことは、負けてはいないんだろ。

てかそもそも、麗香さんが負けるなんて想像できないしな。

でも、味方がこっちに来ていないってことは、勝ってもいないってことだな。

うんうん。あっちは狙い通りってことだ。援軍が来るまで耐えれればいい訳だし。

最悪、要塞化した村に立てこもれば、最低でも数時間は耐えられるはずだ。

・・・今は戦闘が始まってから数時間ってところか。援軍の第一陣の到着予定は4~5時間。

後、最低でも1時間は耐えないとか。はぁ。麗香さんや赤城の方は持っても、俺が持たんな。


「おい!てめぇ!余裕があるからって、俺との戦闘に集中しねぇとはどういうことだ!!!」


と言う怒号と共に、一本のナイフが俺の眉間を目掛けて高速で飛んで来た。

うん。油断してた俺が悪いけど。頬っぺた『ビュッ』って。結構ゴッソリと肉を持っていかれた。

本来なら発狂してそうだけど、あの不名誉なスキルのお陰で耐えられた(涙)。

あーあ・・、俺達の戦闘のせいで周りの雪が真っ赤になってるよ(血で)。

・・・もう。そろそろ、降伏を勧告してみるか?いや、挑発と取られかねないか。

それにしても、彼は仲間のことを一切気にしてないのか?


「あんたは、仲間のことが気にならないのかっ!」


ふう。やっぱり、魔法の合間に話そうとすると、早口になってしまうな。


「あっ?当たり前だろが。アイツらは所詮、盗賊だぞ?金で雇っただけの連中でもあるしな。

ルールも守らねぇ、勝手な行動を起こす。所詮、犯罪者でしかねぇ奴らさ。

俺が気に掛ける程の奴らじゃねぇ」


それにしても、高速で動きながら普通に会話するって。スゲェな、傭兵王。

そうか。そうだったな。敵の大多数は彼に雇われた盗賊。犯罪者だ。

傭兵以上に捨て駒として使われるよな。まあ、自業自得と言えばそこまでだけど。

でも、中には高額の賞金首や元魔帝国軍の騎兵隊もいる。油断できない相手ではある。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

いやいやいや。今はそんなこと関係ない!今は戦闘に集中しないと。


「・・・さて、俺の体力もそろそろ限界だ。ここら辺りで、決着をつけさせてもらうぞ!!」


彼はそう言うと、俺の魔法を回避しながら剣を鞘に仕舞った。

うん。アニメと漫画のパターンから予測すると『抜刀術』!みたいなのがくるな!!

これがスピードが速く、一撃必殺って言うのがイメージだけど。

現実でそうなのかは不明。と言うか、俺は知らん。

それより。回避するために、足に『加速』の魔法。全身に魔力を軽く纏わせて、防御力を上げよう。

特に、動脈が流れている部分と臓器、頭には大量の魔力を流しておこう。

まあ、体中傷だらけで、見た感じ既にヤヴァイけど。・・・スキルのお陰で冷静でいられる。

さてと。今、彼は隙を伺っている。

体の防御力を上げて、足に『加速』の魔法を付与し終わるまでは、魔法を絶やさず、彼から目を離さず。集中。集中。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

よし!間に合った。と、思った瞬間。彼が今までの数倍の速さで詰め寄って来た。

被弾は最小限に抑えているモノの、ある程度は受けている。だが、その速度が落ちることはない。


「ちっ。防御魔法・・・か」


彼はそう言うと同時に、俺との地面に倒れ伏した。そして、あらゆる傷口から、血が流れ出る。

どうやら、あの常軌を逸した動きの代償らしい。

あれだけの魔法を連続している中、防御魔法を一瞬で施すとは思っていなかったんだろう。

・・・それより。俺も。なんだか。眠くなってきた。

そう思った瞬間。意識が闇の中へと飲み込まれていった。

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