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第120話

「クソっ!なんてことをしやがったんだ!!」


俺は目の前にいやがる、馬鹿野郎を全力で殴りつける。

コイツは、この大鬼は、民間人だけには手を出すなと言う俺の命令に背いた。

ここに来て盗賊混成部隊の弱点が出てくるとは。

デカいだけの単細胞がフザケた真似しやがって!

俺は苛立ちを紛らわすように葉巻を取り出すと、先端を噛みちぎって初級火魔法でじっくり炙る。

クソッ。最近、葉巻の消費量が増えてきやがった。最悪、煙草で我慢しねぇとな。


「・・・いいじゃねぇか。女の一人や二人抱くくらい」


コイツ、全く反省してやがらねぇ。もう一発殴っておくか。

まあいい。殺しさえしなければ、最悪なんとかなるだろう。

さて、この馬鹿のことは放っておいて、問題は新たにやって来た敵の指揮官さんだ。

他の奴らと大きく変わりないだろうと踏んでいたんだが・・・。

最近、敵の斥候の数が異常だ。しかも、すばしっこい奴らばっかで中々捕まえられねぇ。

前に、斥候を見つけて捕まえようとしたことがあったが、結局逃げられちまった。

それに、俺らに関する情報は十分に集められたはずなのに、未だに動こうとしない。

何かを準備してるのか、それとも何かを待っているのか。

なんにせよ、今までの雑魚とは一味違う指揮官様のようだ。

はぁ。やっと楽しめそうな敵が現れたかと思ったんだが。次は、こっちに問題が発生しやがった。

美味い飯が食いてぇだの、娯楽が足りねぇだの、ふざけたことを言いやがって。

・・・兵力が足りねぇからって、盗賊なんかを雇うんじゃなかった。

・・・もし、敵がこの盗賊混成部隊の弱点を見抜いていたら。・・・最高だな。


「おい、セルゲイの旦那。良い情報を持ってきてやったぞ」


言いながら現れたのは、山猫族野郎か。名前は確か、ゼフ・ベールマンだったか?

まあ、そんなことどうでもいいか。


「なんだ。今は苛立ってんだ。言うならさっさと言いやがれ」


山猫野郎は軽く溜息をつくと、自分の得た情報を話し始めた。

「旦那が警戒して襲わなかった村に、大量の物資が運び込まれているのを見たぜ?

何人かの騎士が駐留してるのもな。多分だが、奴ら拠点をべベールからあの村に移す気だぜ?」

・・・果たして、そうかな。確かに、大軍を配置できる上、防衛もしやすい立地にある。

まだ襲ってない村々にも近いし、ここを前線の拠点にするのは良策と言える。

だが、戦略とはそんな単純なもんじゃねぇ。


「旦那。まだ情報は喋りきってないぜ?

アイツら、食糧以外にも酒や煙草と言った娯楽品も持ち込んでやがる。

最近、この大鬼みたいに不満が溜まってる奴らが大勢いるんだろ?

敵の本体は別の場所にいるみたいだし、襲うなら警備の少ない今じゃあないかい?」


・・・確かに、不満が積もりに積もって全体の士気が下がっているのも事実だ。

いや、敵は斥候を大量に配置してやがる。俺らの状況を理解していないとは思えねぇ。

分かる。罠だってことは分かる。だとしたら、敵も特上の『餌』を用意したもんだ。

俺が喰らいつかなくとも、今、目の前で山猫野郎の話を聞いて笑みを浮かべている、この単細胞みてぇな奴が、勝手に行動する可能性はあるな。

これが全て計算されたことなら・・・ハハハ、今回は楽しい戦いなりそうだ。

俺はそう思いながら、腰に提げている鞘から剣を抜き、この外道を真っ二つに切り裂いた。


~ 一方 主人公達 ~


「補佐官様も、大胆なことをお考えになりますね」


ラッセマンさんは、困ったような、呆れたような、そんな苦笑いを俺に見せた。

確かに、自分でも大分無謀な作戦を立てたなぁ、とは思うよ?

自分達の生活に必要な物資を、『餌』として使う。

下手をすれば、負けた上に大量の物資を失うことになる。

でももう、どこも物資は不足しているし、わざわざ罠のために買い寄せるなんて出来ない。

それに、セルゲイは安い『餌』じゃ釣り出せない。食料・娯楽品・言い方は悪くなるけど『女』。

更には、それらが置かれているのは兵士の少ない場所。しかも、その物資は敵軍の重要な物資である。

ここまで美味しくすれば、罠だとわかっててもセルゲイは出て来ざるを得ないだろう。

これで理想の戦場に敵を誘き出せる。後は、戦術でどう勝利を収めるかだ。

セルゲイはこれを罠だと見抜いて来るはず。だから、それ相応の策で対応してくるだろう。

でも、結局戦わないといけない運命は変わらないから(涙)。


「補佐官様、それでは私も別動隊の方に合流してきます」


彼はそう言うと、別動隊を隠している村の方へと馬で駆けて行った。

・・・はぁ。改めて考えると、とんでもない賭けに出てしまった。

ここで、簡単に作戦の概要を説明しておこう!

①戦場となる地の村の住人に、近くの村に避難するように説得する。

(家畜を置いていけないとか、家を捨てられないとか。当然の反発を受けたけど・・・

何とか説得して、村を離れてもらった。

後、幸いこの村には妊婦さんや不健康な魔物はいなかったので、移動に支障はでなかった。)

②この村に、べベールに保管してある軍の物資を運び込む。

(酒とか煙草みたいな娯楽品は、商人から高額で買い取った。・・・経費で、落ちるよね?)

③認識阻害系の魔道具を持たせた精鋭を村の周りに配置!

(敵と互角に渡り合うために、600名ほどに魔道具を渡した。

勿論。魔道具を購入する金も、宛もないため。自作しました。

・・・また、俺、私財、使った。・・・経費で、取り返せるかな?・・・流石に無理か。)

④近くにある、既に襲われた村の跡に別動隊を配置する。

(一度襲った村のことなんて、気に掛けたりしないだろ?

こちらで戦闘が始まると、伝令を向かわせて、敵を挟み撃ちにする予定。)

後は、臨機応変に対応!って感じかな?

かなり説明を省いたから分かりにくかったかもだけど・・・だいたいこんな感じ。

戦略シミュレーションゲームをイメージして練った作戦だから、上手く行くか分かんないけど。

まっ、麗香さん、フィアナさん、赤城に、俺の部隊、本体の中から精鋭を数百名。

出来ることはやり尽くした。俺も強くなってる!はず?だから?まあ、うん。多分。大丈夫?

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