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第117話

「強者と戦えると思って反乱軍の加入したって言うのに・・・。

はぁ。どいつもこいつも不甲斐ない雑魚ばかりじゃねぇか。」


テルク樹海周辺にあつ洞窟の一つ。その中に身を隠している反乱軍残党の指揮官。

傭兵王セルゲイ・ヒラサワは、魔帝国テルク樹海方面軍の弱さに落胆していた。

俺と同等かそれ以上の強者と早く戦いたいっていうのに・・・・・・・・・・・・。

はぁ。こんなしょうもない戦い、早く終わってくんねぇかな。

この戦争が終わったら、次はドワーフ共の国に行ってみるか!

あんな手足の短けぇチビ共の中に強者がいるとは思えねぇが、魔帝国内の強者とは戦い尽くしたからな。

なんて考えてると、複数の魔物の足音が近づいて来ることに気が付いた。

はぁ。どうせあいつらが、あの件でどうするか俺に聞きに来たんだろう。

などと考えているセルゲイの前に、不機嫌そうな顔をした大熊、ケンタウロス、大鬼が立つ。

セルゲイは三名の前で大きな溜息をついた後、懐から葉巻を取り出し先端を噛みちぎってから

ゆっくりと簡単な火魔法で炙り、それを口に加える。


「聞くまでもねぇと思うが・・・なんの用だ」


セルゲイがぶっきら棒に言葉を放つと、黒に塗装された鎧を纏ったケンタウロスが一歩前に進み、

口を開く。


「敵の本拠地であるべベールから離れた村は、殆ど襲いつくした。

べベール付近の村を襲うにせよ、大穴方面に撤退するにせよ・・・

今後どの様にするおつもりなのか、我々にご説明頂きたい。」


出たよ、元騎士だか何だか知らねぇが、真面目過ぎるんだよな、コイツ。

どうせ残りの二人も、ロクなことないんだろうな。いつも通りなら・・・。

大熊の方は「好物の食べ物がなくて、部下達が不満を持ってる」って言うだろうし、

大鬼の方は「私は兎も角、部下達が「女を抱かせろ!」とうるさい。殺さないことを約束するから、

村人の独身の女を2、3人誘拐させてもらえないだろうか?」って言うんだろ?

コイツら・・・名前何だったけな?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

っ!そうだ!思い出した!!ケンタウロスの野郎が『ベルニール』。

大熊の野郎が『龍造寺』、大鬼が『ボルグ』だっ!!!!

ベルニールの意見は、まだ分からんでもない。今後の方針を聞き、それに備える。

軍人特有の真面目さだが、それが軍人の美徳でもある。

だが、龍造寺とボルグの意見には些か疑問を覚えるな。

雇い入れる前に大金を渡したし、食い物と女には不自由するってことも事前に伝えたはずだ。

・・・まあいい、とりあえず今日も適当に誤魔化して、昼寝を満喫するとしよう。



~一方、地図製作のために動いているツェーザハルト達~


「ツェっちゃん。ツェッちゃん。少し休まへん?ワイら死んでまうで?」


やつれて目元に隈が出来た赤城が、俺の服をガッチリと掴んで疲労しきった目で見つめてくる。

が、俺はその手を容赦なく払い除けた。


「超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超超過酷な任務になるけど、大丈夫?

って最初に聞いたよね?今更弱音を吐いても、俺は無視するよ??」


俺がそう言うと、赤城は膝から崩れ落ち、そのまま地面に寝転がった。

そして、子供のように両手両足をジタバタさせながら

「寒い!歩くの疲れた!寒い!お腹すいた!寒い!携帯食飽きた!寒い!休みたい!寒い!眠い!寒い!寒い!サ・ム・イっ!!!!」

と超絶駄々をこねる。そんな赤城にチョップを喰らわせたやろうかとも思ったけど。

俺も含めて、皆が疲れ切っているため・・・特別に、今日だけ休むことを許可した。

確かに、一日何十キロって距離を歩きながら、精密な測量を、精確な地図を作る。

魔獣に襲われる危険性は殆どないけど、魔道防寒具の隙間を抜けてきた寒さが精神的な疲労を誘ってくる。

確かに、ブラック企業よりもブラックな仕事をしている自覚はあるけど。今は時間がないから、ね?

朝は日の出前(だいたい午前4時)に起床。朝食を数分で取って、地図の制作を開始する。

少しもミスをしたくないから、自分を含めて全員が全神経を集中させながら作業を行う。

測量と製図が終わったら、暫く歩いてまた測量と製図。昼食は歩きながら摂って、また測量と製図。

深夜(だいたい午前1時)に寝る(見張りは交代制)。そしてまた起きて、測量と製図。

皆、ミス出来ないし、ここまで精確な地図を作るのは初めてだから、相当精神的にきている。

・・・休憩は1時間取るつもりだけど、俺は20分程休んだから、地図に間違いがないかを確認しよう。

ああ、遅れたけど俺達の地図作りのやり方を伝授して差し上げよう!

まず、地図を作る地点に行きます。そして、俺が魔法で大まかな地形を確認します。

次に、測量士と周辺を歩きながら地図にその地形を細かく記載していきます。

俺達は地図作りで忙しいので、赤城と護衛二人程が周辺を警戒します!!!って感じ。

何十キロって距離を4日間ずっと歩いてるけど、未だに地図の6割程度しか完成していない。

えっ?!それでも異常な早さだって?・・・いやいやいや、ご冗談を(笑)。

さて、俺は地図の確認に戻るとしますか。

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