知られざる歴史 篇 ~外伝~
かつて、魔力に満ち溢れていたこの世界には『12の支配者』が存在した。
・空の支配者にして大気を治めるモノ:龍王 / 黄龍【コウリュウ】。
・12の支配者の中で最も素早いモノ:狼王 / フェンリル。
・極寒の地の支配者であり死の象徴:不死女王 / ヘル。
・動く山脈、終わりの見えない巨体:世界蛇 / ヨルムンガンド。
・地上の支配者にして巨人の戦士:巨人 / ティーターン(タイタン)。
・火の支配者にして火の精を統べる王:火の精霊王 / サラマンダー。
・風の支配者にして風の精を統べる王:風の精霊王 / シルフ。
・水の支配者にして水の精を統べる王:水の精霊王 / ウンディーネ。
・地の支配者にして地の精を統べる王:地の精霊王 / ノーム。
・動く島、海の支配者にして最も硬い存在:亀王 / アスピドケロン。
・世界の全てを知り、最も賢いとされるモノ:霜の巨人 / ミーミル。
・鈍く、脆く、弱い、影に隠れ潜むモノ:影の支配者 / ウィドー。
ある時、ミーミルとウィドーを除いた10の支配者達が3つの勢力に別れ、
世界の覇権を狙って争いを始めた。
サラマンダー、シルフ、ウンディーネ、ノームが結託した『四大精霊』。
黄龍、ティーターン、アスピドケロンが結託した『3大支配者』。
フェンリル、ヘル、ヨルムンガンド、が結託した『新世界3大王』。
しかし、12の支配者同士が本気で戦えば、世界そのものが崩壊する可能性があった。
故に、大戦は彼らの眷属が代理として行うことが、審判であるミーミルによって定められた。
龍族、獣人族、不死者、蛇族、巨人族、妖精・精霊族、魚人族、魔物・・・。
数多の種族が参加したこの大戦で、最初に敗れたのは巨人族であった。
ミーミルは自らの定めた『掟』に従い、巨人族を統べるティーターンを処刑し、
巨人族をこの世界から追放しようとした。
が、自らの勢力が弱まることを恐れた黄龍とアスピドケロンによって処刑が阻止されてしまう。
ミーミルの定めた『掟』が破られた結果、この大戦から秩序が失われ、支配者達が直接大戦に
干渉するようになってしまった。
大戦は以前とは比べようのない程過激なものへと変わり、大気が濁り、大地から緑が消え、
水が汚され、魔力が淀んだ。
戦場には数多の種族の死骸が転がり、力なき生命が暮らす地は獄炎の波に吞まれた。
荒廃した世界を見たミーミルは過ちに気が付き・・・世界に秩序を取り戻すことを自らに誓う。
ミーミルは最初に、どの勢力にも組していないウィドーに声を掛けた。
しかし、自らが12の支配者の中で最も弱いことを知っていたウィドーは、ミーミルの誘いを断った。
だが、自らと眷属だけでは力不足であると思っていたミーミルは、ウィドーに未だ知られざる力を
授けることを提案し、もう一度自らの勢力に誘った。
世界に溢れながら、誰もが利用法を理解していない力。
ミーミルはその『魔力』を操る方法をウィドーに授けることを誓ったのである。
それを聞いたウィドーは、ミーミルの誘いを受けることにした。
そしてミーミルは、即座にウィドーに魔力の扱い方を教えたのだ。
ウィドーには魔力を操る才があった。
影に潜み万物からの認識を完全に消し去ることの出来る能力と魔力を併用し戦うウィドーは、
いつしか、全ての存在から恐れられるようになる。
ミーミルは、それが抑止力となり戦乱が収まると思ったが、
・・・その時、ウィドーは既に力に吞まれていた。
ウィドーは、最初に過去に自らを虐げていた巨人族を滅ぼすと、他の支配者の眷属にも無差別に
襲い掛かるようになり、いつしかミーミルの言葉も聞かなくなってしまった。
最終的に、ウィドーは「お前達が出て行かなければ、この世界を滅ぼす」と告げ、
他の支配者を別の世界へと追いやってしまった。
その後、ウィドーの率いる闇の眷属に世界は支配されてしまい、1000年の暗黒の時代が訪れる。
しかし1000年後、突如別の世界から4名の人間が現れると、彼らによって地底へと封印されてしまった。
彼らの名は残っていないが、地球と言う惑星の古代メソポタミア文明・エジプト文明・インダス文明・
中国文明の人間ではないかと考えられており。
彼らは別世界(地球)へと追いやられた支配者達の使者であると言われている。
その後、何千何万と言う英傑達がウィドーを完全に滅するために送られてきたが・・・。
そのことごとくが、ウィドーを滅ぼすことの出来ないまま散って行った。