第101話
なんかもう、色々と面倒になった俺は、部屋の隅で待機しているAG74 を指差した。
するとロルフさんは俺のことを放り投げて、AG74に駆け寄った。
「おうおうおうおうおうっ!!!!!起動しとるではないかっ!異常は・・・ないっ!!!!
ぬおおおおおおおおおおおおおおおおっっっっっっっ!!!!!!!すっばらしぃっ!!」
AG74の体を舐めまわすように見たロルフさんは、雄たけびを上げた。
うん。AG74が少女型だったら、確実に変態扱いされてるぞ、このおっさん。
(※男の娘型でも十分変態扱いされるので、注意しましょう。)
俺はAG74に「ロルフさんの質問に適当に答えるように」と命令して、自分は仕事を始めた。
雪崩を起こす程の仕事。・・・はぁ。3日後には大帝都貴族資料館に行く予定があるのに(涙)。
3日後
俺は・・・仕事を・・・終わらせ・・た・・・これも・・・・・・・AG・・・7・・・・4の・・・
・・・・・・・・・・助けが・・・・・・・・・・・・あったから・・・・・・・・・・・・・・
・・・(涙)。
もちろん、寝る暇なんてなかった。
そんな俺の「1時間の仮眠を」と言う願いは聞かれることなく、麗香さんに引きずられながら
大帝都貴族資料館へ行くこととなる。
メンバーは、俺、麗香さん、リネットちゃん、AG74、ゴロー、ルイーサ。
つまりは、魔帝都にいる俺の部隊員全員ということだ。
(※フィアナはツェーザハルトの部隊員ではない。今まで行動を一緒にしていたのは、他に仕事が
なかったからである。現在は、アザゼルに頼まれた仕事をこなしているので、魔帝都にはいない。)
まあ、AG74は正式な部隊員じゃないんだけど。そもそも、物品扱いだし。
というか、AG74を正式な隊員にしようとしたら手続き上に新たな課題を作ってしまうことになる。
そもそも、AG74が『机上の空論』と言われている技術の成功例な以上、世の中にAG74の存在が
知られたら・・・今以上に辛い生活になることが目に見えてる。
(その辺をロルフさん達は(俺以上に)理解してたから、他言はしないって言ってくれた。)
とりあえず、AG74は対外的には『従者?侍従?』ってことにしてる。
・・・服装はメイド服なのに、戦闘能力は麗香さん並み。うん!頼もしいね。
ただ。妙に麗香さんと気が合ってるところとか、雰囲気がちょっと麗香さんに似てるところとか。
かなぁ~~~~り心配な部分もあるけど。まあ、俺一応マスターだし、大丈夫・・・だよな?
なんて考えていると
「いつまで私に引きずられるつもりですか?早く自分の力で歩いてください」
と、麗香さんに怒られてしまった。
はぁ。この感じ「俺達、付き合ってます」って言っても信じてもらえなさそう。
「マスター、自分で歩くのが面倒ならば、私が運んで差し上げましょうか?」
悪意を感じる!AG74の発言・・・いやっ!声色には悪意が籠っている。
しかもこの悪意。麗香さんのモノと同系統。ああ。いつも嫌な予感だけは的中する。
これ、アレだ。AG74の性格。殆ど麗香さんのパターンだ。
でも、(マスターに)直接手を出すことが出来ないから、少しベクトルの違う悪意になってる。
ああ。お終いだ。麗香さん、フィアナさん、赤城に続いてAG74。
はぁ。俺って、人間関係の構築、下手くそなのかなぁ(涙)。
いやいやいやいや!!!麗香さんもフィアナさんも、最初は仕事上の関係で向こうから接触してきた。
赤城も急に挨拶だとか何とか理由を付けて、向こうから俺の方に近づいて来た!!!!
俺から関係を持とうとした例ないじゃんっ!全部相手側から来てるんじゃん!!!
「えっ?ハルトお兄ちゃん歩くの嫌なの?リネットが運んであげようか?」
俺はリネットちゃんのその言葉を聞いた途端、全力で否定した。
麗香さんやAG74に酷いことされるのは、もう諦めて受け入れる。
でもねっ!リネットちゃんに悪い印象を持たれるのだけは避けたいっ!!!!!
リネットちゃんは純粋で良い子な『マイ・エンジェル』だから、嫌われるわけにはいかないっ!
それに、リネットちゃんがそんな発言をしてから、あからさまにルイーサの顔が引きつってる。
ルイーサにまで色々と変な勘違いをされたくないっ!!!!
(ツェーザハルトが麗香の尻に敷かれているのは、部隊の全員が知っている。)
はぁ。まあ、なんやかんやありながらも、無事に大帝都貴族資料館に到着した。
なんと言うか・・・圧巻の一言だね。
石造りの建物に、色んな模様?彫刻が入ってるんだけど・・・まあ、兎に角凄い。
厳かさと歴史が、重力となって自分に圧し掛かってきている感じ?
あと、警備が凄い。戦時中で兵士が不足してるのに、ここの警備の数は戦前と変わってないんだって。
なんて感心していると、建物の中から出て来たケモミミと尻尾を生やした老紳士?が一直線に
こっちに向かってくる。
そして俺達の前に来ると、見事にジェントルマンなお辞儀をしてこう言った。
「初めまして。この大帝都貴族資料館の直接管理を任されております、
ゼレ・フォン・カレリーナと申します」