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第90話

ジークの領土に戻ってから、早・・・3日?

はぁ。魔帝国に帰る準備やらなんやらで、この3日間、とんでもなく忙しかったから、記憶が曖昧だ。

まっ、魔帝国にいた頃は、重労働と過労のせいで、記憶が飛ぶこともあったし、

曖昧ってだけならまだましだな!

帰ったら、ゆったりとした休暇が欲しいなぁ・・・まあ、無理なんだけど。

やめだやめ!今は貴重な休憩時間。無駄なことを考えるより、しっかりと休息を取ろう!!

もう、俺にはそれくらいしかないわけだし。

なんて考えていると、俺の部屋(ケムラート邸の客室)の扉がノックされる。

それと同時に「俺だけど、入っていいか?」とジークの声が聞こえて来た。

俺は、きっとあれが終わったんだろうな、と思いつつ「ああ」と短く返事を返した。

すると案の定

「これに問題がないか確認してほしいんだ。皇帝補佐官殿」

とふざけた口調で言いながら、俺に分厚い紙の束を渡してくる。

俺は大きめの溜息をつきながら、紙の束を受け取った。

ジークと二人きりの時は、何だか前世(地球)に戻った気分になる。まあ、悪い気分ではないけど。


ジークから渡された紙の束は、『皇帝陛下に向けた・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。』

要約すると、今後のジーク達の方針を記した”密書”みたいなもんだ。

手紙の内容を簡単に説明すると

『私達は、今年は越冬と戦の準備に専念します。そして、戦争と越冬によって、疲弊した王国に対して

宣戦布告し、それと同時にレティシア姫を新王国の女王に即位させます。』

的なことを、政治絡みのややこしい文章で書いてあるのだ。

えっ?なんで元一般高校生の俺がそんな文章を読めるのかって?

それは麗香さん・・・(以下略)。

それはさて措き、ジークがここに来た目的は、こんな物の確認を俺にさせるためじゃあない。

だって、何度も言ってると思うけど、ジークは前世から俺よりも優秀な奴だから。

俺が気が付くようなミスをするような奴じゃない。

と言うことで、さっきから隣で異様に機嫌よくしているジークさんに、直接問いただしたいと思います。


「で、ジーク殿の来訪の真の目的はなんなのでしょうか?」


呆れた声でジークにそう聞くと『ニマァ』みたいな擬音が付きそうな気色悪い笑顔を浮かべて、

「よっくぞ聞いてくれたぁ!俺はなっ!!この時を待っていたのだぁ!!!」

ジークはこのテンションのまま俺に対して説明を始めた。

要約すると

『今まで恋バナできる人がいなかったんだ!でもぉ、ハルトが麗香さんと付き合ってくれたからぁ~、

やっと恋バナが出来るってわけぇ!!』

と、いうことらしい。あと、表現を緩くしてるけど、もっとキモイ喋り方してたから。

いい歳して、ホントにこいつは(汗)。

って言うか、俺とジークって同い年・・・ではないよな?

進化のお陰で、大人な様に見えるけど、俺は産まれて?死んで?骸骨人スケルトンだから何って言っていいか分からん。

けど、この世界に来て?から10年くらいしか経ってない。

でもジークは人間だし、見た目からして20代?と言うことは、異世界転生のタイミングが

10年以上開いてることになる。

・・・それくらいの時差は仕方ないのかな?まあその辺は、神様にでも会わないと分かんないね。

うん!特に問題はないし、気にしなくていいか!

なんて考えていると、ジークが俺の体を揺さぶりながら「き~い~て~る~?」とウザ絡みしてくる。

恋バナに付き合ってやる前に、一発殴っておこうかな?

(この後、一発殴ってから、しっかりと恋バナしました。)



ジークと主人公が恋バナしてるのと同じくらいの頃!

女子会(エイネ・レティシア・麗香)が開かれていた!!


「・・・ですのよっ!ジークったら本当にもう!」


レティシアは、自らが姫であることを完全に忘れて、一人の女子として恋バナをしていた。

と言うのも、エイネがフォールの酒を無断で女子会に持ちこんだのが・・・

原因と言えば原因である(汗)。

最初こそ自分達が王族・貴族であることを忘れずに会話していたのだが、酔いが回り始めると、

言葉遣いは緩くなり始め、話の内容も愚痴へと変わって行った。

そして、完全に酔いが回る頃には、話の内容は恋バナへと変わっていた、と言う次第である。


「・・・フォール君は、ジークと違って色々と不器用だったけど。優しさだけは、世界一だったわ」


レティシアや麗香が、お酒を水で割って飲む中、エイネだけはロックでお酒を飲んでいた。

だからこの3人の中でエイネが一番、素の自分に近かったと言えるかな?

そんなエイネは、愚痴を零すような口調で、フォールのことを淡々と語りだした。


「女が外交官なんてするもんじゃない。そんな風潮のある中、フォール君だけは私のことを尊重して

くれた。ううん。それだけじゃない。フォール君は、私の犯したミスを気付かれない様にフォロー

してくれたり、どんなに多忙でも私のことを気に掛けてくれたり・・・・・・・・・・・。

ああ見えて、本当はとっても真面目で優しくて、私なんかには勿体ない、良い夫なのよ」


エイネはそう言い終わると、グラスのお酒を一気に飲み干し、そのまま机に突っ伏して眠ってしまった。

公爵夫人が見せてはいけない様な姿。

しかし、レティシアも麗香も、そんなことは一切気にしていない。

何故なら、エイネの話を聞いて自分達の『思い人』と『将来』のことを考えてしまっていたからだ。

そんな二人は、見る見る内に顔を真っ赤にして、エイネと同様、グラスの中のお酒を一気に飲み干し、

机に突っ伏してそのまま眠ってしまった。


(そんな、女子会があったことなど知らない、ツェーザハルトとジークは、

お互いの恋人の良い所合戦と言う、小さな戦を繰り広げていた。

ついでに、フォールは公務・冬備え・武器や兵士の調達に奔走していた。)

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