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第89話

何かを期待した方には申し訳ないんだけど・・・ジークの領土に戻るまでの3ヵ月間で、

これと言って何かが起こることはありませんでした。

あっ!でも、ゴローはなんか、凄く大きくなりました(汗)。


「麗香ちゃぁぁぁぁぁぁんんんんんんん!!!!!!!!!」


帰って真っ先に出会ったのは、フィアナさんだった。

どうやら、諜報活動を終えて俺らよりも先にここに帰って来てたみたい。

腐っても魔王直属の部下なんだなぁ、と感心してしまう(汗)

それはさて措き、フィアナさんが奇声紛いの声を上げながら、麗香さんに抱き着こうとして、

躱されて壁に激突する。という、既視感のある光景を俺は黙ってみていた。

が、今回のフィアナさんは一味違ったようだ。

壁に激突しようと、頭にチョップを喰らおうと、何度も何度も立ち上がって、

麗香さんに抱き着こうとする。・・・無駄にへこたれないしつこさがどこぞの漫画の主人公みたいだな(汗)。

なんて思いながら、ボーっと二人のやり取りを見ていると、ポンと後ろから肩に手を置かれた。

振り返ってみると、安心した顔のジークが立っていた。


「麗香さんとお前、両方が無事でなによりだ」


ジークは、俺の顔を見ながら安堵の溜息をついた。

面と向かってそう言われると・・・なんだか照れくさい。

まさか、陰キャ高校生の俺が、異世界に来て青春的なことが出来るなんて、予想もしなかった。

でもまあ、ジークは俺にはもったいないくらいの、最高の親友だ。

俺は、親友の最高の対応に、少しだけ頬が緩んだ(ホント、少しだけだよ?)。


「・・・サンキュな、その、心配してくれて」


俺のその言葉にジークが驚き、でもそれ以上に

「ド陰キャだったお前でも、そんな表情出来るんだな」

と、意外そうな顔で言ってきた。

その失礼な発言に、抗議してやろうかと思ったけど・・・今は気分がいいし、やめておこう。

ふっふっふっ!俺はジークと違って、広ぉぉぉぉぉぉぉい心を持ってるからな!!

なんてニヤニヤしながら考えていると、ジークがサラッとヤヴァイ質問をしてきた(汗)。


「んで、麗香さんとはどうなったんだ?」


その言葉を聞いた途端、さっきまでのニヤニヤしていた表情から一変、

俺の顔は無表情で固まってしまった。

そして『何故知っている?』と言うオーラを、ジークに向かって全力で放っていた。

俺のオーラを感じ取ったジークは

「何年来の付き合いだと思ってんだ?お前が誰に想いを寄せているかぐらい、一目見れば分かるよ」

と告げる。

・・・そうだった・・・そうだったよ。こいつは、前世から超絶ハイスペック男子だったんだ。

俺に出来ないことも、こいつには出来た。まあ、生まれ持っての『才』ってことで、嫉妬とかはあまり感じなかったんだけどね(一切してないとは言ってない)。

でも、成績は良くも悪くもなかったけど、家族は普通だし、親友が二人もいて、

何不自由ない生活を送れていたし、ジークに嫉妬する理由なんて、殆どなかったようなもんなんだよな。

それはさて措き、うぅ~~~~~~~~~~ん、ジークになら、

麗香さんと付き合ったことを教えても大丈夫かなぁ。

俺は熟考した上で、麗香さんとお付き合いすることになった、ことを説明した。


「おお!おめっとさん!!ツェッちゃん」


すると・・・どこからともなく現れた赤城に、そう言われながら肩をポンポンされた。

こ、こ、こ、こ、こ、こいづぅ、盗み聞きしやがったなぁ!!!!

と怒りの表情を向けた途端、「あ、麗香ハンも無事に帰ってきはったんやな!」と言って、

某ゲームに出てくるメタルスライム顔負けの素早さで逃げて行った。

チッ、あの野郎、フィアナさんの質が悪いバージョンになっていってないか?

なんて考えながら、麗香さんの下へ逃げて行った赤城のことを睨んでいると、

「あはははは」と言うジークの笑い声が聞こえて来た。

すると、自然と赤城への”怒り(ヘイト)”はジークに移っていた。

んだけど・・・「なんにせよ・・・よかったな、大輝」と満面の笑みで言われてしまった。

そうすると、何だか、怒(八つ当た)りづらくなってしまう。

はぁ、消化不良感が否めないけど、今は柔らかいベッドで休みたい。

それと、ゴローのことについて相談できる人に会いたい。

俺はその旨をジークに伝えると、休める場所を教えてもらって、そこに行こうとした・・・んだけど。


「ええええええ!麗香ちゃんとハルちゃんが付き合うことになったってぇぇぇぇ!!!!!!」


と言うフィアナさんの叫び声が聞こえたんで、俺は急いで麗香さん達の下へと駆け寄った。

そして麗香さんの肩を掴みながら「付き合ってること言っちゃったんですかっ!」と聞いたら、

表情一つ変えずに「ええ。言ってはいけなかったのですか?」と首を傾げられた。

ああっ!あああっ!!ああああああああああっ!!!終わりだ。終焉だ。終末だあああぁぁ!!!!!

お喋り大好き、噂話大好き、口が軽い、人気者、口が超絶軽いっ!!!!!!!

そんなフィアナさんに『俺と麗香さんが付き合っている』と言うことが伝われば、

瞬く間に魔帝国貴族・・・いやっ!魔帝国中に噂が広まってしまう!!もう。終わりだ。

こんな状況でも、麗香さんは表情一つ変えないし、フィアナさんはギャーギャー騒いでるし、

赤城とジークに至っては「おもろそうやから見とこ」みたいな顔してる!!!!

あああああああぁぁぁあああああああぁぁぁぁぁあああああああああああぁぁぁぁ(涙)。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ツェーザハルトは、考えることをやめて、休める場所へと向かった。

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