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ツミとバツ

作者: 縁花ノヂ

 あなたは言った「失くしたものは戻らない」

 

 その背後に二人の影を見た


 遠い昔に遠い場所で亡くしたもの

 

 一人残されたあなたに愛は分からなかった





 愛を見つけた。とても綺麗な愛だ

 愛が産まれた。とても尊い愛だ


 でも、愛の与え方は知らない。分からない




 お願いだから、謝らないでよ

 僕の前で泣かないでよ

 あなたは強い心と大きな背中だけ見せていて


 僕はもう十分にもらったから




 泣き言ですましたいな

 何もかも無かったことにして、明日を迎えたい

 そんなことは無理だ

 分かってる。でも、とにかく今は


 この重圧から逃れたい




 毎日あたまを抱えて、あなたは何を思ってるの?

 教えてくれれば手伝えるのに

 どうしてあなたは何も言わないの?

 僕は頼りない? あぁ、そうだよな


 嫌いなものは何でも残すから




 叫びたい。暴れたその気持ちをやり込めて

 今日も必至に生きる

 あと何回だ?

 あと何秒だ?

 分からない。もう終わらせたい

 

 残していいよな?




 勉強しなさい

 時間は守れ

 女を泣かすな、男を見せろ

 感謝をもって最後まで食べなさい……


 全部あなたが言ったことだ

 あなたが教えてくれたことだ

 今更だろ

 今更なんだよ

 あんたが守れてないだろ

 残すなんて


 「最低だ……」




 愛を泣かせた。とても罪深いことだ

 愛に諭された。とても愚かなことだ

 心にヒビが入る。音が遠くなる

 視界が揺れる。世界が揺れる

 言葉に打ち付けられた

 重く、重く、これが罪の重さか


 情けない。「ごめん」の一言も出てこない

 

 あぁ


 背を向ける

 遠のいていく

 今なら分かる


 愛は最後まで残してはいけなかった

 

 

 楽しかった。

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