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青春ミクスチャー ~自殺少女と格闘家~  作者: owlet4242
第二章 高校血風録 ~血みどろ羅刹編~
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青春キメラは咆哮する【後編】(修正済)

さぁ、いじめっ子解体ショーの始まりや(歓喜)

「行ってきまーす!………誰もいないけど。」


 施錠を確認して家を飛び出す。


 ついに次の日の朝が来た。審さんたちのいない朝だ。


 いよいよ、いじめっ子との最後の日々が始まる。


 やつらがいつ仕掛けてくるのか分からないが、警戒は万全。昨夜の《夢渡り》で、神界組とも今後の展開に関しては会話済みだ。


(コンディションはオールグリーン(もんだいなし)だ。さぁ、いつでも来い)


 戦いの予感に沸き立つ胸を弾ませて、俺は学校への道を駆けていった。



◇◇◇



 校門の教師に挨拶をして、靴箱に向かう。靴を上履きに履き替えて、階段へ。二階に登る。突き当たりまで廊下を進んで2-Aの扉に手をかける。


 もはや俺にとってもルーチンワークと化した、いつもの朝。


 俺は扉を開ける。


 そして、強烈な違和感。


 この違和感を俺は知っている。これは俺が登校初日に覚えた、あの違和感だ。


 皆の視線が一斉に逸れる。


 俺は注意深く教室を観察する。


 臨戦態勢。


(どこだ。どこから来る)


 視線を教室に巡らせ、果たしてそれはすぐに見つかった。


 それは俺の机の上。鎮座するのは一輪挿しの細身の花瓶。


 花瓶に活けられた花は一輪。満開のオニユリ。


 その花言葉は、「侮蔑」と「嫌悪」。


 すぐに俺は理解した。これは御厨の宣戦布告。奴はその猛禽のごとき素早さで俺に戦いを挑んできたのだ。


 尋常ではない判断力。魔性の傑物。


 しかし、御厨は不運だった。


 御厨の不運、それはボタンの掛け違い。奴は常に他人よりも一手上を行く。あらゆる環境と人物を巻き込んで、自分が頂点の巣を作り支配する。磐石の絶対王政。


 そして、それこそが御厨の不運。


 御厨は気付いていないのだ。


 俺が御厨の巣の外から来た人間だということに。


 俺は席に向かうと、まず机の脇に鞄をかける。ルーチンワークができるなら、まずはそこからこなすべきだ。


 そして、ここからはルーチンの外。いよいよやって来た決戦の時。


 俺は自然な動作で花瓶を手に取る。周囲の生徒はますます俺から目を逸らす。まあいい。どうせ後で嫌というほど俺を見ることになる。


 花瓶を手に取った俺は、ある場所へと一直線に向かう。そこはこの教室で唯一、俺に視線を送るやつらがいる場所。すなわち、御厨とその取り巻きの席である。


 真っ直ぐに御厨の席に向かう。奴が俺に視線を送る。猛禽類の眼光に蛇の笑み。いつも通りの御厨だ。これからそいつをズタズタに引き裂ける。そう思うだけで心が踊った。


 御厨の前に立つ。奴が俺を見上げる。奴はまだ自分が俺よりも上だと思っている見下した態度。


 けれども実際は、今のこの立ち位置こそが俺たちの関係を正しく示している。


(俺が上でお前が下なんだよ、クズ)


 その思いは胸に秘めたまま、俺は努めて平静な顔を作ってから口を開く。


「御厨さん」

「何かしら」

「この花は御厨さんが?」

「ええそうよ。貴女に似合うと思ったから。お気に召して?」


 御厨が満面の笑みでこちらに笑いかける。もはやその背後の悪意を隠そうとはしない、獰猛な笑顔。


 だから俺も満面の笑みでそれに応える。そこで御厨の表情が変わる。そこに浮かぶのは疑念と困惑。


 でもそれも一瞬。どうせすぐに、苦痛に変わる。


「ええ、私とっても気に入ったわ。でもねーー」


 俺は喋りながら、花瓶を御厨の頭の上に差し出す。


「ーー花瓶が悪いわ」

「なっ!?」


 御厨の驚愕の声を聞きながら、俺は御厨の頭の上で花瓶を逆さにひっくり返す。凍ったように、周囲の人間が静止する中で、花瓶の水が重力に従い奴の頭に注がれる。それに一瞬遅れて落ちたオニユリが、御厨の頭を彩った。


「これで少しはましになったね」


 笑みを崩さないまま、御厨に告げる。奴はしばらく阿呆のように口を開いていたが、口を閉じて肩を震わせる。その顔は憤怒一色。今までに見たことのない表情だ。


「あ、あなーーー」

「ーーー死ねよ」


 御厨の口からでた声が意味をなすよりも先に、電光石火の速さで俺は動いた。


 花瓶を逆さに持ち替えて首の部分を握りしめると、躊躇なくそれを御厨の頭に振り下ろす。花瓶は即席の鈍器に変わり、容赦なく御厨を打ち据えた。


 花瓶が砕け、欠片が舞う。


 絹を裂くような悲鳴は一体誰の喉から漏れたものか。御厨か、取り巻きの二人か、それ以外か。しかし、そんなことももはや俺にとっては些事に過ぎない。


「今までのツケを全部払ってここで死ね!」

「がっ!?」


 そう叫びながら、俺は何度も花瓶で御厨を殴る。


 殴る。


 殴る。


 殴る。


 殴る。


 花瓶が完璧に壊れたあとは手の中の破片を捨てて、拳でさらに殴る。


 殴る。


 殴る。


 殴る。


 殴る。


 御厨は反撃してこない。頭を抱えて踞り、ただ震えている。やるだけやっておいて今さら弱者ぶるその態度が、さらに俺を激昂させる。襟首を掴んで顔を引き寄せ、反対の手で前髪を掴んで無理やり顔を起こす。


「あれだけのことをやっておいて、今さら被害者面か! 最後まで悪党らしく暴れてみろよ! できるだろ、おら!」


「ひいぃぃぃ………!」


 御厨と目が合う。奴の喉からは掠れた悲鳴が漏れる。その顔を流れる液体は花瓶の水だけではないだろう。醜く歪んだその顔面は、ようやく奴の内面に相応しいものになっていた。


 俺は御厨を床に投げ捨てると今度は立ち上がって、御厨にひたすら蹴りを入れる。足は普段から人間の体重を支えている場所だ。当然蹴りの威力はこぶしの比ではない。


「もっと泣け! 喚け! 今までにお前がやってきたこと、その分だけの悲鳴を上げろ!」


 最初はローキックを入れていたが、慣れない体が疲れてきたので、途中から踏みつけるような前蹴りに変わる。


 ここまでやってもまだ俺を止めに入るやつはいない。御厨の取り巻きですら離れてこちらを見ている。奴に人望が無かったのか、あるいは巻き込まれたくないのか。恐らくどちらも正解だろう。


「こらー!! なにをしとるかぁ!!」


 大声を上げて教師が教室に入ってくる。生徒指導の高槻先生だ。


(………潮時か)


 俺はすでに息があがった体を何とか落ち着けて、近づいてくる先生を真っ直ぐに見つめる。


 そして、残った力を振り絞って声を張る。


「先生! 私、御厨にいじめられています! だからこれはその反撃です。正当防衛なんです」


 自分の剣幕に対して怯まず主張をする俺に、高槻先生は一瞬戸惑うような表情を見せた。


 しかし、すぐに真剣な顔に戻ると重々しく口を開く。


「………分かった。理由はじっくりと聞かせてもらう。だからこちらに来なさい。とりあえず場所を変えよう」


 有無を言わさぬ口ぶりだが、その言葉の中には優しさや真摯さのようなようなものが見え隠れする。


 油断は出来ないが、恐らく高槻先生は敵ではない。無駄に抵抗して心証を悪くするよりも、ここは大人しく従う方が得策だと俺は判断を下した。


「はぁ、はぁ…………。分かりました、私もお話ししたいことが色々あります。行きましょう、先生。」


 俺は高槻先生に従って教室を後にする。部屋を出るときに、まだ床で震える御厨を鋭い視線で威圧することも忘れなかった。


(………さあ、債は投げられた。ここからは俺の独壇場だ。徹底的に叩いてお前の立場を分からせてやるからな)


 廊下に出ると、騒ぎに気付いて教室から身を乗り出してこちらを覗き込む生徒達の視線を一身に受ける。


 しかし、俺は怯むことなく前を向く。


 俺は正しいことをしたのだ。罪人のようにうつ向く必要が、一体どこにあるだろう。


 威風堂々、肩で風を切りながら、俺は教室を後にした。

うわああぁーん!疲れたもーん!


とりあえず書きたいところまでは書いたので僕、満足!


某感染症の影響で自宅待機が延びたので一気に仕上げましたが、恐らくここからはゆっくり投稿になります(確信)


返事とかあれば頑張るので、よろしければ感想・コメント・評価オナシャス、センセンシャル!

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