第009話 初めての冒険 3
孝充達は子供達に案内され片道40分程掛けて孤児院に着いた
孤児院は町外れの荒れ地に建つ一見大きな倉庫の様な趣きだ
孤児院の回りでは荒れ地を開墾し
農作物を8歳以上位の孤児達10名程が作っていた
院長先生はアリルと云う名前で孝充と同年代位だ
先代の院長はアリルの母親で昨年病死したそうだ
そしてアリルは
此の孤児院に居る23人の孤児達を一人で面倒をみている
主な収入源は付近の住民達からの寄付と
農家からの作物の寄付等で運営しているらしいが
それでも生活はとても厳しく
お腹がすくと小さい子達が隠れて露店に行ってしまうのだそうだ
孝充は寄付と援助をアリアに申し入れ
露店で買って来た食料をアリアに渡すのだった
アリアは涙ながらに礼をいい
早速子供達を呼ぶのだった
「アリア
食べながらでイイから質問に答えて欲しいんだけど」
「はい
分かりました」
「大きな子達は全員人種族なのは何故なの?」
「それはですね
獣人だけ身長が150を超えると
強制的に国に連れていかれます
たぶん力が強いので鉱山で働かせるためにだと思います
なので身長が140を超えた頃に家出をさせてるからです
それで獣人を差し出さないから
補助金をカットされて生活が厳しくなったのです」
「成る程、概ね理解が出来たよ
だから小さい子達は獣人が多いんだね」
「なので
逃がしてる事がバレてるんだと思います」
「あのアリア、また質問だけど
トゥラワームは食べれるかな?」
「御馳走です
みんな大好きだと思いますよ
でも高いのでみんな食べれません」
「そうか
それじゃ此れをあげるよ
マジックポシェットだ
中にトゥラワーム10匹分の肉に小麦粉と野菜が入っている
他に塩、胡椒、砂糖も入っている
時間停止なので傷んだりはしないから安心して
肉の方はお世話になってるご近所さん達にも分けてもいいし
それとお金も少々入れてあるから」
それから孝充は今後も引き続き援助の約束をし
創造魔法で二段ベット25組寝具50組を設置して
孤児院を後にするのだった
「二三日したらまた顔を出すから」
「お姉ちゃんバイバイ」
「いやいや
俺、お兄ちゃんだからね
また来るねバイバイ」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「少々寄り道しちゃったけど
西門に向かいますか~」
『そうですね
寄り道も予定の内です』
「あいつ等やっと出て来たぞ
兄貴を呼んで来い!
直接西門に向かえと伝えろ!」
孝充達は西門でギルドカードを見せ
暫く歩いた後目立たない所でバイクを次元収納から取り出し
ミスリルダンジョンに向け走り去るのだった
それを見て
慌てるゴミール達
「なんじゃアリャ~~
馬やラン竜よりも速い!
・・・・・・・
おい!!
追い掛けるぞ!
走れ!!」
「エッーーーーッ!!
本当に追い駆けるんすか」
「当たり前だ!
みすみす金目の物を逃がしてどうするんだ!」
流石は現役の冒険者達では有る
地球のオリンピックで走らせたら
間違い無く全員ダントツの金メダルだろう
何せ装備や武器を抱えて地球のマラソン選手よりも
速いスピードで走れるのだから
『ゴミ達は随分と慌てているみたいですね』
「そうだな
随分と下手な尾行だったな」
そして忠勝が答える
『潰しましょうか?』
「いや
全員弱いからほっといても勝手に潰れるよ」
『確かにその通りです』
ミスリルダンジョンは西門から約60Kの山岳地帯に有る
孝充達は周りの景色を楽しみながら
のんびりと1時間程で現地近くに到着する
「未だ3時か
何か狩りでもしたいな
獲物はいないかな?」
『此処等辺りには大型のレッドボアと巨大三角サイが居ます
レッドボアがC+で三角サイがBランクの魔物です
肉は大変美味しく高価です
両方共に群れを作り行動しますので
見付けたら全部狩り捕りましょう』
孝充達は二手に分かれて狩りをする事になった
西に向かい左手を巴と忠勝
右手を孝充とナビ
狩りの時間は1時間
全員が飛翔魔法で上空に飛び立つ
「いたねレッドボア約40頭
そしてレッドボアの上空に巨大鳥が14羽!」
『アレはワイバーンです
Aランクの魔物です
少し生えている風切り羽が美しいので人気が有ります』
「よ~し全部狩るぞ!
俺はワイバーンを殺る」
言い残すと孝充は高速でワイバーンに向かう
早過ぎて孝充の周りの空気が燃え上がる
高速の炎が通り過ぎた後は何も残らない
14羽全て首を盗られ次元収納に収まってしまったのだ
下を見るとレッドボアが全て消え失せる所だった
ナビに襲われ全て次元ポシェットに収まってしまったのだ
「よし!ノルマ終了
未だ時間が有るね」
『近くに巨大百足がいますけど
Aランクの魔物です
血液は特級ポーションの材料になります』
「虫はチョット~~~~~(ーー;)」
『食わず嫌いですか?』
「百足は任せるよ
お願い
アッ!!
巨大蛇が死んでる→→→→→
俺、あれを回収するから」
百足をナビに任せ
大蛇に向かう孝充
「こりゃ~~100mサイズだな」
孝充が大蛇に近付くと近くに全高20mサイズの
銀色に光り輝く羽毛を持つドラゴンが死んでいた
ドラゴンは死んで未だ間が無いのか少し暖かい
両方回収するとドラゴンの体の下に60cm弱の卵が有った
孝充は悟った
たぶん卵を守ってたから相打ちだったんだろうな
「仕方が無い
此の卵は俺が育ててやるか」
卵を持つと魔力が急激に奪われ始めた
「ほう~
俺の魔力を吸収するか
中々やるね~~」
孝充は回収を終わらせ卵を抱えナビの元に向かう
「ナビ、終わったか?
俺は終わったぞ」
『そのタマゴは何ですか?』
「大蛇と相打ちしたドラゴンの卵だと思うけど?
何せドラゴンが死んでも守っていたからね」
『回収した物を見せて貰えますか?』
そしてナビが教えてくれたのは
大蛇は伝説のティタノボアだろうと
ランクSSSの上位種で力は若いドラゴン並
そして問題は相打ちした方のドラゴンだ
プラチナドラゴンで惑星ベラルータのドラゴンとは別で
惑星ベラルータ星系の代表で太陽のドラゴンだと思われる事
実際には創造神様でないと分からない事
もしプラチナドラゴンなら本当の名前がブリューナクと云う種類だそうだ
要はベラルータのエンシェントドラゴンの上位種になる
「へ~~そうなのか
オマエ凄い奴なのかも知れないんだぞ~」
孝充は能天気に卵に話し掛ける