第018話 戦争の気配 4
ドメル少佐は
クレーランド王国から360K地点の洋上に居た
今ドメルが乗船しているのはイージス護衛艦朝雲で有る
この艦は同時に25の敵に対し攻撃が出来る優れモノだ
この様な艦を何隻も製造出来る
秋乃島の魔導科学力にドメルは畏怖していた
また速度は海上を50ノット以上で進むのだ
地上で走る速さに換算すると100Kを超える
そしてこの艦はダウンテクノロジーで態々作られている
近日就航するアマテラスは秋乃島の魔導科学の集大成だ
孝充とランペスト大統領の武器に関する話し合いで
同席していた時に孝充から
秋乃島の防衛大臣としてドメルに是非協力して欲しいと頼まれていた
またその時に聞いたのだが
秋乃島の最高責任者は獣人から選び出したいそうだ
孝充本人に関しては其れだけは絶対にやりたくないのだそうだ
そして健介もやりたくないそうだ
その時ドメルは思ったのだが
普通上にと上がりたいと考えるんじゃないのかと
正直自分との価値観の相違に戸惑っていた
武器に関する話し合いで
新生クレーランドに配備する主な装備は
80m級魔導駆逐艦 25隻
40m級魔導魚雷艇 25隻
汎用型魔導ヘリ ブラックホーク25機
輸送型魔導ヘリ チヌーク 25機
零式魔導レシプロ戦闘機 200機
零式魔導小型高機動車 100両
零式魔導六輪装甲車 100両
零式魔導軍用スーパカブ 2000両
その他各種装備品等
他に施設部隊用各種重機
農業改革用乗用耕作機
等を独立後に天照で持ち込む事に為っているのだ
その他民間用車両に関しては
道路網、鉄道網の完成目処が立ち次第納品する事が
商業ギルドと取り決められている
導入車種(第一次出荷分)
魔導スーパカブ 10万台
魔導3人乗り三輪スーパカブ 10万台
魔導軽トラック 2万台
魔導4人乗り系バン 2万台
魔導2トントラック 1万台
魔導マイクロバス(公共用) 5千台
以上が出荷される予定で有る
◇一方此方は略予定通りに360K地点に到着した
連絡用竜母ビーラス船内
其処に居たのは船長のポーリスと副長のドウリだ
彼等は士官学校時代のドメルの同期でも有った
そしてドメル捕縛の立役者でも有ったのだ
詰り無実の友人を売った見下げた人物達なのでも有る
「オイ!ドウリ
ドメルの一族も一緒に出奔したらしいぞ」
「そうか
そこ迄は知らなかったよ」
「俺も先程の本隊との打ち合わせで
知ったばかりだからな」
「これで奴も終わりだな
ランペストなんて融通の利かない爺に肩入れするからだ
我々同期の出世頭も消えて
俺達にも運が向いて来たな」
「我等の未来に」
「乾杯」
その日の深夜
ドメルと特殊部隊10名は又しても転移して
連絡用竜母を襲い拿捕してしまうのだった
やがて夜が明け
捕えられ眠らされていた兵士達も目が覚める
「なっ何だ!!
何故捕えられているのだ!!」
「騒ぐな!!
お前達は全員
秋乃島海軍に捕縛された」
「どっドメルか--!!
キサマ--!!」
それから三日後の昼
クレーランド王国海軍の本隊が秋の島沖に到着したのだった
「予定よりも1日遅れか
しかし巨大な大陸だな」
「ボルトバ将軍!!
報告します!!
我が艦隊が全周囲を囲まれています」
「何だと!!」
「何かが此方に向かって飛んで来ます
鳴き声をあげながら飛んで来ます」
「貴艦等は秋乃島の領海を大きく侵犯している
直ちに抵抗せずに臨検を受け入れよ!!」
「え~い
何をしている
騎竜隊を直ちに上げろ!!
攻撃開始だ!!」
ワイバーンが直ぐに飛び上がると
連絡用ヘリは直ちに引き返すのだった
「恐れをなして逃げたか」
「将軍!!
敵船が此方に向かって来ます
それに変な物も大量に舞い上がりました」
次々に舞い上がる騎竜隊
その数240騎
全騎舞い上がった次の瞬間
秋乃島の攻撃ヘリ群からミサイルが多数発射される
クレーランド軍からは何かの光が当たった様にしか見えない
そして騎竜隊は爆発と共にバラバラに砕かれ海上に落下する
ワイバーンの姿が上空から消えてしまったのだった
「な!何だと!
艦隊戦用意
我等の砲撃は無敵だ!!」
その時発砲音が鳴り響き
50m級巡洋艦が1隻吹き飛ぶのだった
鬱蒼とした煙が消えると
其処には巡洋艦の残骸のみが浮かんでいたのだった
また連絡用のヘリが現れ
抵抗するのならば一斉射撃で貴艦等を全滅させる
とっ云われ動揺するボルトバ将軍
暫くした後
また砲撃音が鳴った
次に70m級重巡洋艦が爆発したのだ
「抵抗しなければ撃たない
抵抗しない艦は全員で白い布を振れ
振らない艦は全て撃沈させる!!」
やがて1隻の艦が布を振り始めると
雪崩を打った様に次々と降伏の意思を伝え始めるのだった
降伏艦には次々と特殊部隊が転移で乗り込み
拿捕して行く
尚奴隷兵の船は醜悪な環境状態だったので
最初にタグボートに曳航され西の港に向かうのだった
ボルトバ将軍の乗る旗艦は最後まで布を振らなかったが
やがて諦めて降伏を受諾するのだった
最後に残ったボルトバ将軍の旗艦に特殊部隊20名と
ドメル少佐が転移した
「全員侵略行為の為捕縛する!
抵抗はしない様に!」
「貴様はドメルか!!
裏切る気か!!」
「裏切られた覚えは有っても
裏切った覚えは無い!!」
「何だと--!!」
「特別に俺が直接隷属の首輪を付けてやろう
人として卑怯で姑息な奴には首輪が良く似合うな」
この日クレーランド海軍の本隊は全て
拿捕されたのだった
後にクリーニングされ
大砲や火縄銃と共に商業ギルドに渡され
外国に全て販売され
販売代価は全て新生クレーランド国の国庫に入るのだった
西の港にクレーランド海軍を曳航した後
秋乃島海軍は全速力でポートリアの港に向かい
その日の夜の内に港を閉鎖し
クレーランド王国に降伏する様伝えるのだった
翌日になり
見た事も無い大型船が大量に港を閉鎖しているものだから
港は上へ下へと大騒ぎになるのだったが
それを鎮めたのは
商業ギルドの直営店のオーロラビジョンだった
尚王国側が放送の邪魔をしない様に警護に付いたのが
冒険者ギルドの冒険者達で有った