第015話 戦争の気配 1
◇ここはクレーランド王国の謁見の間
「報告によりますと相当広大な面積の様です
下手をしますとローランシア大陸以上の大きさが有るやも知れません」
「ほう
擦ると宝の山かも知れんのう
それで何時頃出撃が出来るのじゃ?」
「今急ぎ奴隷兵の輸送船を20隻造らせております
後どんなに急いでも7日は掛かるかと思います」
「して新大陸上陸は
後どの位で可能なのじゃ?」
「早くて20日後
遅くとも25日後位になるかと存じます」
「無名の新大陸か~
余はとても楽しみにしておるぞ」
◇一方此方は秋乃島に帰っている孝充達
ナビからクレーランド王国の状況報告を受けていた
クレーランド王国軍の作戦概要は次の通りだ
参加艦艇数約200
先遣隊は獣人奴隷軍約1万
本隊は人族約2万
海上に竜母を180K事に配置しワイバーン連絡網を構築
秋乃島に到着次第奴隷軍を突撃させ橋頭堡の構築後本隊上陸
以後砦を構築し臨時本部とする
「随分と間の抜けた作戦だな
此方には海軍力が無いとでも思っているのか?」
『海軍力の事は考えていないと思います
剰え彼等は秋乃島を無人地帯だと思っている節が有ります』
「よし、ナビ!
西の海軍基地に直ぐ転移だ!
海軍力の強化を図り本日より名称を国防軍とする」
《面白そうだから俺も行く》
健介も面白がって着いて来る事になった
孝充は西の海軍基地に赴き
創造魔法で次々と艦艇を補充して行くのだった
ジェラルド・フォード改型ジェットポンプ推進高速魔導空母15隻
出雲改型ジェットポンプ推進高速魔導空母 15隻
秋月改型ジェットポンプ推進高速魔導イージス艦 30隻
はやぶさ型魔導ミサイル艇 90隻
おおすみ改型ジェットポンプ推進高速魔導輸送補給艦 30隻
他に小さなタグボート等を含め都合計250隻が召喚された
「この戦いはクレーランド王国で
街灯テレビを使い全て放映するからな」
『承知しました』
◇一方此方は商業ギルドのギルドマスター室
孝充達は海軍艦艇召喚後直にポートリアに転移していた
其処には他に
冒険者ギルドマスターと錬金ギルドマスターも同席していた
「買い物広場の商業ギルド直営店の壁にテレビを付けるのは
了解しましたが
申し訳有りませんがテレビと云う物が
皆目見当が付きません」
其処で孝充は板状画像端末を取り出し
飛翔ゴーレムに依り上空から撮影した物を見せるのだった
「俺が開発した魔道具ですよ
壁に付けるのはオオロラビジョンと云いまして
もっと巨大な物なんですよ
それで戦闘の状況をライブ中継して
お客様にも見て頂くのです」
「ここ此れは凄い
商品の宣伝にも使えますぞ!
分かりました
これはとても素晴らしいです
是非とも設置して下さい
それと
シャンプー類が売れ過ぎてとても足りませんので
宜しくお願いします」
「本日の納品は
シャンプー2万個、リンス2万個、石鹸5万個をお持ちしました」
「そんなにですか
助かります」
「錬金ギルドには
錬金用魔石2トン、薬草類20種計1トン
低級ポーション1万本、中級ポーション2千本、高級ポーション50本
をお持ちしました」
「有難いです
殆ど予約だけで捌けると思いますが
また追加注文をお願い致します」
「それで冒険者ギルドの方の依頼は
何ですか?」
「ハイ!
アッシリー金山坑内で大型の地竜が50頭程出て来ております
それと
バリガッテン村でレッドウルフが200頭程発生しているのですが
キングレッドが1頭混じって居る様なんです
それの討伐をお願いしたいのです」
「了解しました
2時間程で戻りますので
それと窓をお借りします」
云うや否や孝充達は二階の窓から飛び出した
冒険者ギルド依頼の為
飛び出して行ったのだった
「流石に孝充様達は仕事が早いな
商業ギルドの売り上げが10倍以上に伸びているぞ
それに今回戦争が起こったら
鹵獲した戦闘艦は全て商業ギルドで販売しても良いそうだ
冒険者ギルドも海のクエスト用に1隻如何だ?」
「そうだなそれは確かに云えてるな
真剣に考えるよ
そしてうちも今現在売り上げが5倍以上の伸びだ
今迄は強力な魔物達の討伐依頼は断っていたのだが
今では全て受ける事が出来ているのだ」
「それを云うならうちもだ
概算で7倍程売り上げが伸び
新しい顧客の会員がとんでもなく増えているし
外国からの注文が鰻上りだ」
「俺達三人は孝充様達を守り抜くぞ!」
「勿論だ!!
これだけワクワクするのは久しぶりだ!
楽しいぞ」
◇一方此方はクレーランド王国軍部の作戦会議室
「ボルトバ将軍!!
何とか先に新大陸の調査をお願いします」
「大丈夫だ!!
此方には新兵器の火縄銃と大砲が有るんだぞ
もし未開地に人間が居るとして
我々以上の武器を持っているとは考えられない!」
「でも
とんでもなく凄い魔導士が居たとしたら如何ですか」
「うちの王宮魔導士よりもか?
流石にそれは無いだろう
ガハハハハハッ」
「しかし
念には念を入れませんと」
「ドメル君は前任者のランペスト将軍の右腕だったらしいが
二人共慎重過ぎるんだよ
それに我々は王国の人間なんだよ
国民の為なんて云ってると
ランペストの様に更迭拘束が待っているぞ
お前もあのバカと一緒に地下牢に行きたいのか!
お前は少し黙っていろ
能力が無いのがバレるぞ」
その夜王宮地下牢に拘束されている
ランペストの一門45人が孝充達に救い出され
秋乃島に蟄居中の家族と共に転移したのだった
ランペスト達は拷問等で衰弱してはいたが
ポーションと孝充の治療に依り
一晩の内に回復するのだった
翌日になり王宮は
ランペスト達の脱走で大騒ぎに為っていた
「ボルトバ将軍!!
何か心当たりは無いのか」
「ハイ!陛下!
お恐れながら御座います
何時も陛下の考える作戦に異議を唱えていた
ランペストの右腕と云われた奴で有ります」
「それは誰か!?」
「ハッ!
それはドメル少佐で有ります
他のドメルの同期達や騎士達も
ドメル以外にはあり得ないと申して居ります!」
「そんな奴が居たのか
直に捕縛せよ!!」
その日の内にドメル少佐は捕縛され
尋問と云う名の拷問を受ける事になるのだったが
やはり深夜の内に
家族共々消え失せてしまったのだった