倒れるカズと散策
洞窟に戻るとカズが横になって、うなされていた。
カズ「う…うぅ…」
伊藤さん「大丈夫?!(オロオロ)」
どうやら、肩の傷が痛む上に熱があるようだ。
とても立ち上がれる様子ではない。
俺「おんちゃん!」
おんちゃん「わかってるって。ケアル!」
先ほどと同様に緑色光がカズを包んだかと思うと、カズの顔色が少し和らいだ。
おんちゃん「あれ…?」
ポテンと音がした。
気づけば おんちゃんが、床で寝ていた。
すやぁ…
倒れたカズ、おんちゃんと看病役の伊藤さんを洞窟に残して、俺と矢野ちゃんは森に食べ物を探しに来ていた。
夕飯前にはなにか集めたいな。昼御飯を最後にお菓子はもうないのだ。
矢野ちゃん「小野寺くんの魔法スゴかったね。て か、魔法撃てるとか手品師の卵かな?」
俺「いや、おんちゃんは手先が器用なタイプじゃないから手品師は厳しい気がする。手品のグッズ買ってから一時間で諦めてたし。」
矢野ちゃん「そうなんだ。なら、なんでできるんだろね?」
俺「わからん。てか、俺たちにもできるかもよ?」
矢野ちゃん「いや、ムリムリ。この歳で中二病はやばいと思うし(笑)」
俺「うるせー、俺はよし幾三!ファイアー!!
天に向け、渾身の発声!一瞬遅れて周りがオレンジに染まった。
俺、矢野ちゃん「お。おおー?!」
できた!ついに俺も魔法使いに!!
まさか30歳前に実現するとは思ってなかった!
なにこれ?!五感付きの仮想空間かなにか?!
俺「矢野ちゃんもやってみ?!」
矢野ちゃん「ん…ファイア…!」
声が小さいせいだろうか、俺と比べて小さいが確かに発動した。
俺、矢野ちゃん「おおー!!」
俺「やるじゃん!」
矢野ちゃん「どもども。でもなんか小さかったね?」
俺「まだ完全に中二病が発症してないからじゃない?目指せ完全発症!」
矢野ちゃん「なんかイヤ(笑)」
正直、矢野ちゃんは発動できないかもと少し期待したが…ま、いいさ。
その後歩いていると、ドングリらしきものを地面に見つけるが、落ちているのは全部虫に喰われて穴だらけだった。
矢野ちゃん「樹に生ってるのなら大丈夫そうだけどなぁー」
俺「たしかに」
樹を揺すったり、蹴ったりと試すが、ドングリらしき実が落ちてくる様子はない。ならば…
俺「エアロ!」
矢野ちゃん「キャ!」
周囲の空気を巻き込むように手のひらからさきに空気の渦ができた。
ただ思ったより射程は短いが、威力は強く、風で折れた枝が落ちてきたので慌てて魔法を止めた。
矢野ちゃん「総司くん!やるならさきに言ってよ!危ないし!」
俺「あっはい。」
怒られちった、てへぺろ!(反省なし)
とはいえ、ドングリ(仮)は大量に手に入れられた。
その上、茶色い何かの卵も落ちていた。6つのうち割れてない2つを美味しくいただくことにして、鞄に入れた。
Lサイズはゆうにありそうだ。ありがてぇー。